
第430回 都市型水害とは?「ハザードマップ散歩」で事前の備えを
「都市型水害」ってどんなリスク?
都市型水害とは、都市部で発生する浸水被害のことを指します。
特に多いのが「内水氾濫」と呼ばれる現象で、川があふれるのではなく、大雨が下水道や排水路の処理能力を超えることで、道路や住宅地が冠水してしまうケースです。
舗装された道路が多く、地下構造物や排水口が密集する都市部では、夏期に頻発するゲリラ豪雨や線状降水帯の影響で、都市型水害が急激に発生するリスクが高まっています。
「近くに河川がないから」という理由で、自宅や職場のまわりが安全だと思い込んでいませんか。
都市部にも「低地」は存在しており、土地のわずかな高低差によって水がたまりやすくなっている場所があります。
そんな場所を把握するときに役立つのが「ハザードマップ」。
各自治体のホームページや防災アプリで閲覧でき、色分けされた地図で浸水の深さや範囲がひと目でわかるようになっています。
ただし、地図を眺めるだけではイメージしにくいことも多いため、ハザードマップと照らし合わせながら実際に歩いてみて、どんな場所が危険か、どこに逃げればいいかを体感しておくことが大切です。
「ハザードマップ散歩」で見ておきたい4つのチェックポイント
ハザードマップを印刷して、ぜひ一度自宅や職場周辺など、日常の生活エリアを歩いてみてください。次のポイントに注目しながら歩くと、防災のヒントがたくさん見つかります。
(1)道の傾斜や土地の高低差
都市部では、一見すると平坦に見えても、実はわずかな傾斜のある道がたくさんあります。
意識して眺めると、「この道、じつは下り坂だったんだ」「このあたりに水がたまりやすそう」といった気づきが、実際に歩くことで得られるはずです。
水がどちらに流れるか、どの方向へ逃げると安全か、避難ルートの判断材料にもなります。
(2)アンダーパス(※)や地下通路などの構造物
地下に通じる道路やトンネル、アンダーパスは、浸水しやすく閉じ込められるリスクもあります。
普段よく通る場所でも、「雨の日は避けるべき道」として意識しておくことが大切です。
※ 交差する鉄道や道路などの下を通過するため、周辺より低くなっている道路のこと
(3)マンホール・側溝・排水口の位置
大雨時には、水があふれ出したり、噴き出したりするケースが報告されています。
蓋が外れたマンホールに落下する事故なども起きており、歩行者にとっては、足元の危険として見逃せないポイントです。
ハザードマップを見ただけでは所在が確認できないので、実際に歩いて確認しておきましょう。
(4)高台や避難先へ向かうルートの確認
水害が発生した際には、高い場所へ避難することが原則。
しかし、都市部では土地の高低差が複雑です。
わずか数mの違いで浸水リスクが異なります。並行した道でも、1本違うだけで浸水の有無が変わってくるのです。
事前に複数のルートを確認し、安全な道順を把握しておきましょう。
また水害のときの避難所は、地震のときの避難所と異なる場合があります。
水害に対応した避難先が設定されている自治体もあるため、確認しておきましょう。
ハザードマップだけを見ながら歩くと、現在地が把握しにくい場合があります。
スマホの地図アプリなどで位置情報を確認するといいでしょう。
都市型水害の備え「いますぐできること」
本格的な「ハザードマップ散歩」に取り組む時間がなくても、まずはいつも利用している道をちょっと意識しながら歩くだけでも、多くの気づきが得られます。
また、家族と連絡を取り合う方法や、集合場所、避難の判断基準を話し合うことも大切です。
いざというときに慌てず行動できるように、普段から確認しておきましょう。
<今すぐチェックしておきたいポイント>
□自宅・職場周辺のハザードマップを確認する
□安全な避難ルートを実際に歩いてみる
□浸水のリスクがあるアンダーパスや低地を把握する
□家族との連絡手段・集合場所・避難のルールを話し合う
□災害時の情報収集方法(防災アプリ・自治体SNSなど)を確認する
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都市型水害は、河川がそばになくても起こります。
「自分の生活圏で起きたら?」という視点で備えることが、防災への第一歩です。
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