第302回 地震による火災で避難するときに知っておきたいこと
今年も間もなく「3月11日」がめぐってこようとしています。
東日本大震災から9年。多くの方が犠牲になった未曽有(みぞう)の災害を忘れることなく、防災意識を新たにしたいですね。
大きな地震が発生した際に心配されることのひとつに「火災」があげられます。
特に市街地では建物の過密化が進んでおり、深刻な被害が想定されます。地震によって火災が広がり、身に危険が迫ったとき、私たちはどのように行動すればいいのでしょうか。
今回は、地震による火災発生時の避難方法をまとめます。
2020.3.4更新
地震で火災が発生!「避難場所」と「避難所」どちらに避難すればいい?
大地震などの災害が発生。
危険が迫っています。どこを目指せばいいのでしょうか。
避難する場所の名称は自治体によって異なります。
内閣府の防災情報によると、大きく分けてふたつ。「指定緊急避難場所」と「指定避難所」があります。
・指定緊急避難場所(避難場所)
指定緊急避難場所は、「地震」「大規模な火事」「津波」「洪水」など、災害の種類によって施設や指定される場所が異なりますが、災害によって迫りくる緊急の危険から逃れ、安全を確認できるまで避難する場所のこと。
具体的には大きな公園や広場、団地や大学の敷地など、広くて安全な場所や、安全な構造の建築物などです。
地震などで火災が延焼拡大した場合の避難場所は、火災による熱や煙による被害を考慮した広い場所(広域避難場所)が指定されています。
「避難場所」に移動する前に、近所の人たちが集まって様子を見るための「一時(いっとき)集合場所」や「一時避難場所」が指定されている地域もあります。
・指定避難所(避難所)
指定避難所は、被災によって自宅での生活が困難になったときに、災害の危険がなくなるまで寝泊まりする場所のこと。
具体的には、学校の体育館や公民館など、災害の影響が少なく、外部からの救援が届きやすい公共施設が指定されています。
避難?自宅待機?地震発生時の避難行動の基準
避難場所、避難所への避難行動は、被災の状況によって異なります。
東京都を例に、対応を確認しましょう。
<大きな地震が発生!>
[状況1]火災の危険がない
自宅に被害がなければ、そのまま自宅で待機して様子を見ます。
自宅に被害があり、生活ができない場合は、「避難所」へ避難します。
[状況2]火災が広がってきて危険になった
[状況3]役所・警察・消防から避難の指示があった
「一時集合場所」に避難し、火災の危険がなくなるまで様子を見ます。
「一時集合場所」に火災の危険が迫ってきたときは、「避難場所」に移動して、鎮火を待ちます。
[状況4]危険で「一時集合場所」に行く余裕がない
直接「避難場所」に避難し、鎮火を待ちます。
火災の危険がなくなったら、自宅に戻ります。
自宅に被害が及んで生活が困難な場合は「避難所」へ。
わかりやすくまとめると、火災の危険が迫ったときは、まず「一時集合場所」へ。
「一時集合場所」が危なくなったときは、「避難場所」へ。
自宅が被害を受けて、生活が継続できなくなったときは「避難所」へ。
自宅に火災が及ぶ危険がなく、生活ができる場合はそのまま自宅にとどまります。
今回は東京都を例にご紹介しました。
避難する場所の呼称や避難のタイミングなどは、地域によっても異なります。
お住まいの市区町村のホームページや、地域のハザードマップで確認しておきましょう。
地震による火災が発生したときは、地域全体に大きな混乱が予想されます。
やみくもに行動するのではなく、最初にどこに向かえばいいのかをしっかり確認しておきたいですね。
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地震は、自宅にいるときに起きるとは限りません。
会社や学校にいるとき、街を歩いているときなどでも安全に行動できるよう、滞在時間が長い場所や、よく行く場所についても、避難方法を調べておくのがおすすめです。
また、外出先でも近くの避難場所・避難所を表示してくれるアプリや、災害情報を確認できるアプリなど、防災アプリもいろいろあります。
災害発生時の連絡手段である災害用伝言ダイヤル(171)や、災害用伝言板(Web171)をはじめとした災害用伝言サービスについても、使い方を確認しておいてはいかがでしょうか。
さらにご家族や友人などとも安否確認方法を話し合っておきましょう。
いざというときに備えておくのが「防災女子」。
もしもの事態を考えて、安全に避難できるようシミュレーションしておきましょう。