自分らしい「死」とは「生」とは
こんにちは、セコムの武石(たけいし)です。
「在宅看取り」をテーマにした連載の第4回。
締めとなる今回のテーマ「あなた自身のこと」です。
これまでの連載では、在宅看取りを考える家族に向けて、よくある疑問や不安へのアドバイスなどをまとめました。
看取る家族として、悔いなく見送るためには本人の意思を尊重することが大事なポイントです。
在宅看取りについて連載してきました。
さてこの先、あなたにもそのときがきたら、あなたはどうしたいですか?
自分が介護されることや、ましてや終末期について考えるなんて、「まだ早い」と感じますか?
病棟勤務の看護師から在宅介護の世界に転向し、たくさんの死と向き合ってきました。
穏やかな最期を迎える人もいれば、そうでない方もいます。
人生がいろいろであるように、人生の終わりも人それぞれ。
本人が望まない最期は、残された家族にも後悔や苦しみを残してしまうこともあります。
自分はどのように最期を迎えたいのか。
そのために今、何をすれば良いのか。
死について考えておいて損なことはありません。
自分なりの死生観を持つことは、より良い生き方を見つけるヒントにもなるはずです。
【あわせて読みたい!シリーズ「在宅看取り」】
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・在宅の看取りって実際どうなの?看取りのリアル
・看取りの不安や疑問に答えます
● 「死」をタブー視しがちな日本人
近年、「終活」という言葉がカジュアルに聞かれるようになりました。
元気なときから自分自身の介護や終の棲家のこと、延命処置をどうするのかなどについて考えておくことが推奨されるようになりつつあるようです。
「アドバンスケアプランニング(ACP)」や「リビングウイル(生前の意思)」といった言われ方もします。
まだ老後という年齢ではない方にとって「死」を考えるのは、現実味がないかもしれません。
死には恐怖や不安などイメージがありますし、縁起が悪い、負のものを考えたくないという価値観もあるでしょう。
いつか自分も「死」の当事者になります。
「死」は「生」の延長上にあるもので、誰もが避けられない現実です。
死と向き合うことは特別なことではないと意識していれば、自分らしい人生の終わり方が見つけられるように思います。
● 「死と生」とその両方
「死生観」という言葉は、死に対する考え方のみを指しているわけではありません。
死ぬことと生きることに関して、行動や判断の方針となるような考え方や価値観のことです。
つまり、「死」も「生」も両方を考えることを意味しています。
自分は何のために生きるのか。
より良い人生を歩むために何をすれば良いのか。
死を意識すると、限りある時間のなかで自分が何をすべきなのか少し具体的になります。
「これをやらずには死ねない」と思うことが見つかったり、「いつかは...」と思っていたことを実現する原動力になったりすることもあるでしょう。
生きていることへの感謝の念がわいたり、死に対する恐怖が緩和されたりする人もいるでしょう。
身近な人の死に接することで、死を間近なものとして考えるようになった人も少なくありません。
死について考えることは、生について考えることです。
死と生に向き合うことで、自分らしい人生の終わり方が見つけられるように思います。
● 自分なりの「死生観」の見つけ方
死生観を持つことは、決してネガティブなことではありません。
限りある時間を有効に使うため、より良い人生を歩むための指針になるものです。
あなたの考え方や価値観がどんなものか、自分に問いかけてみましょう。
・あなたが大切にしていること、譲れないことは?
・生きるうえでのモットーは?
・「これだけは嫌だ」ということは?
・病気になったときに望む医療やケア、もしくは望まない医療やケアは?
・自分が意思表示できないときはどうしたい?
・自分の代わりに意思決定してほしい人は誰?
・死が近づいてきたときに一緒に過ごしたい人は?
・どこで、どんな最期を迎えるのが理想?
すべての問いに答えを用意する必要はありません。
ライフステージが変わったり、家族構成が変わったり、環境が変わったりすることで自分なりの答えが見つかることもありますし、考え方が変わることもあります。
まずは意識的に考えることが、自分なりの死生観を見つける第一歩です。
もちろん死生観があっても、理想どおりの最期を迎えられるとは限りません。
人生はままならないものですし、うまくいかないことのほうが多いくらいです。
でも、死生観を持つことで、自分なりにうまくいかない現実と折り合いをつけたり、少しでも理想に近づくために何をすれば良いかを考えたりすることができると思います。
死は人生の集大成。
自分らしい生き方や在り方を積み重ねていった先にあるものなのではないでしょうか。
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