在宅の看取りって実際どうなの?看取りのリアル

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在宅の看取りって実際どうなの?看取りのリアル

こんにちは、セコムの武石(たけいし)です。

終末期をどのように過ごすのか、介護の専門チームと具体的なシミュレーションを繰り返しましょう。「在宅看取り」テーマに連載しています。
1回目は、本人の気持ちを確認するために家族が何をしておくべきかがテーマ。
「どこで」看取りをするか?という看取りの前段階についてまとめました。

2回目の今回は、在宅看取りの実話を交えながら「実際の終末期の在宅介護」がどのようなものか「看取りのリアル」に迫ります。

「在宅で看取りって大変そう」
「本当にできるの?」

不安が和らいで、看取りのイメージが変わるかもしれません。

【あわせて読みたい!シリーズ「在宅看取り」】
看取りの前に家族がやっておくべきこと

● 自宅でのエンドオブライフケア(終末期医療)ってどんなもの?
エンドオブライフケアとは、病気や老衰などで人生の終わりが近づいてきた方に対しておこなう医療やケアのこと。
積極的な治療をおこなうことよりも苦痛緩和を優先し、自分らしく、穏やかな気持ちで過ごしていただくことを主としています。
看取りを見据えた在宅介護も、エンドオブライフケアのひとつです。

家族のケアも受けながら、住み慣れた自宅で最期を迎える。
人生最期のときを自宅で迎えるということは、病院や施設と違って、慣れた場所で他人に気兼ねせず自分らしく過ごせて、精神的な安心感や充実感があるためQOL(クオリティ・オブ・ライフ=生活の質)を高めることにもなります。

他方、心配されるのは家族の負担です。
本人にとっては良い環境でも在宅看取りでは、介護する家族にかかる重圧や見えない不安も大きいもの。

実際に在宅での看取りを乗り切れるものなのでしょうか。

現在、介護保険制度によりサポート体制は整えることが可能です。
独居でも自宅で最期を迎えることができるよう、介護サービスは整えられてきています。

終末期には、訪問診療や訪問看護などの在宅医療を受けることがほとんどです。
今後の見通し、ケアの方法、家族しかいない時間に注意することなど、
医師や看護師が不在の間も困らないよう丁寧に教えてくれます。
24時間連絡が取れる訪問診療が可能な医療機関、訪問看護ステーションも増えております。
病院と同様に、家族が安心して頼ることができる環境は在宅でも実現できるのです。


● 在宅での看取りはチームでおこなうもの
在宅看取りでは、ケアマネジャーを中心に医師や訪問看護師、ヘルパーなどが連携して、本人や家族が穏やかに最期を迎えられるよう過ごせる方法を考えます。
がん看護や老人看護を専門とする訪問看護師など、看取り経験が豊富な医療者や介護職もたくさんいるので、家族の不安を受け止めるなど心の支えになることも多いようです。

ここでこのブログの読者でもあり、実母を自宅で看取った経験のある方の実話をご紹介します。

「いつ亡くなるかわからない、私がいないときかもしれないという不安はありましたが、いろいろな専門職の方とよく話し合ったおかげで、『いつどうなっても受け入れよう』という覚悟ができました。

その覚悟があれば、看取りは特別なことではなくなります。
普段どおりの生活を送れば良いのですから。
母も、家族がいつもの暮らしをしているなかに自分がいることを、喜んでくれていたと思います。

深夜でも対応してくれる、信頼できるかかりつけ医(往診医)がいた安心感も大きかったです。
落ち着いて"そのとき"を迎えられましたし、家族みんなでゆっくりお別れができました」

看取りには、最期まで伴走してくれる、信頼できる医師の存在が欠かせません。
在宅の場合、医師が往診して死亡確認をし、死亡診断書を書くことになります。

慌てて救急車を呼んでしまうと病院へ搬送されたり、場合によっては死亡に関して警察が介入することもありますので、死亡診断書をお願いする医師とはしっかり話し合っておくことが重要です。

家族は「そのとき」をどのように対応すれば良いのか、どのタイミングで医師に連絡するのかなど、わからないことは何でも聞いておくと良いでしょう。

死は未知のもので、目の当たりにするのが怖いのは当然です。
でも、息を引き取るまでにどんなことが起こりうるのかを聞き、その時どのようにすれば良いのかがわかると、看取りの怖さが軽減されます。

専門家の力を借りてシミュレーションを繰り返すことで、支えてもらいながら看取りに臨んでいこうという気持ちがが生まれてくることもあるのです。


● 看取り経験が介護家族にもたらすもの
自宅での看取り経験をこのように振り返ってくれました。

「息を引き取ってから、かかりつけの先生が死亡診断に来るまでの時間をよく覚えています。
家族みんなで母の体をきれいに拭いて、母のお気に入りのワンピースを着せて、母にたくさん触れ、話しかけ、思い出をみんなで話しました。
穏やかで、あたたかい時間でした。病院にいたら、できなかったことだと思います」

「祖母である母を看取った子どもたちは、『人はこんなふうに死んでいくんだね』『家で看取ることができて良かった』と言っていました。
人はいつか必ず死ぬ。だからこそ今を懸命に生きなくてはならない。
大事なことですが、それを実体験として学ぶ機会はなかなかありません。
自宅で母を看取ったことは、子どもたちにとって何かしら意義のある経験として心に刻まれているはずです」

病院で亡くなるケースと異なるのは、家族水入らずのお別れの時間をゆっくりと持てること。
病院ならば、各種の手続き、ご遺体が家に帰るための準備、葬儀の手配など、対応しなくてはならないことが山積みで悲しむ暇もないほどです。

その点、自宅ならば病院の手続きや移動に煩わされることもなく、本人と向き合うことができます。
時間を気にせず最期のときを一緒に過ごし、人目を気にせず大声で泣いてお別れすることもできます。

大切な人を亡くした悲しみは、誰にでも平等にやってくるもの。
死を受け入れて立ち直るには、存分に悲しみ、喪失感と向き合う時間が不可欠です。
在宅の看取りは、誰にも遠慮せずにそれができる良さがあります。

もちろん、病院には病院の、施設には施設の良さはありますが、
「最期の場所」の選択肢のひとつとして、自宅も考えてみてはいかがでしょうか。


【あわせて読みたい!関連コラム】
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エンドオブライフ経験が豊富な訪問看護師とヘルパーにインタビュー。さまざまな看取りのカタチがあることがわかります。

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在宅での看取りには、ご本人だけではなくご家族を支えてくれる人をつくることが大切。心強い味方をどうやってつくるのか、具体的にお話しします。

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