同居介護に欠かせない「サードプレイス」を見つける方法

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同居介護に欠かせない「サードプレイス」を見つける方法

こんにちは、セコムの武石(たけいし)です。

自分らしくいられる「場所」を見つけることがたいせつです。「高齢の親との同居」をテーマにお届けしてきた連載も今回が最終回。
シリーズの締めくくりとして、同居介護を担う、あなたのストレスを緩和する方法をまとめます。

親と同居しながらの介護は、イライラやモヤモヤを介護者ひとりが抱え込みやすいもの。
シングル介護なら、なおのこと。
離れて暮らす、実のきょうだいや親せきにさえ、苦しい心のうちを理解してもらえない。
どこにも逃げられない。
ひとりぼっちで、光の見えない暗い道を歩んでいるような気持ちになることもあるのではないでしょうか。

そんなあなたには「サードプレイス」が必要です。
サードプレイスとは何か、サードプレイスをどうやって見つければ良いかなどをまとめます。
シングル介護、同居介護をしている方は、ぜひ最後までおつきあいください。

【あわせて読みたい!シリーズ「高齢の親との同居」】
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● 「サードプレイス」は何者でもない自分でいられる場所
サードプレイスとは、直訳すれば「第三の場所」。
第一の場所は、生活の拠点となる自宅、家庭のこと。
第二の場所は、会社や学校など社会での所属先となるコミュニティのこと。
第三の場所となるサードプレイスは、自宅でも職場でもない、自分にとって居心地が良い「特別な場所」を指します。

家庭や社会のなかでは、誰でも自分が果たすべき役割があるものです。
同居介護中なら、家庭では親の介護をし、生活を維持する責任を負う立場。
仕事をしていれば、社会人として、組織の一員としての責任があります。

でも、サードプレイスでは、肩書のない「ただの自分」。
「〇〇さんの娘さん」でも「△△さんのご長男」でもなく、「親を介護する子」でもありません。
職場での役割、リーダーや主任、課長などの役職や肩書も背負っておりません。
家庭や社会での役割や、周囲の期待から解放されて自分らしく過ごせる場所、それがサードプレイスです。

利害関係がないコミュニティや、いつもと違う景色、空間に身をおくことは、メンタルヘルス改善に効果的な方法としても知られています。
同居介護中心の生活で内向きだった思考や、日常のモヤモヤがリセットできるはずです。


●自分らしくいられる「サードプレイス」を見つける
毎日やらなくてはならないことが山積みで、自分のことを後回しにする日々。
介護をしていれば、心身ともに疲れて自分を見失いそうになることがあると思います。

「いつまでこんなことが続くんだろう」「どこにも逃げ場はない」
そんな心境になったときに、サードプレイスを訪れましょう。

自分にとって居心地の良い場所、サードプレイスを見つけることは、さほど難しくありません。
たとえば、スポーツジムや趣味のカルチャースクール。
たまたま隣り合わせた人や、よく顔を合わせる人と、世間話をするだけでも気分が変わります。

他にも、気さくな美容師さんがいる美容院、コーヒーがおいしいカフェ、日当たりの良いご近所の公園のベンチ、景色が好きな散歩道など、「ここにくるとホッとする」というお気に入りのスポットはありませんか。

そこがあなたの「サードプレイス」です。

サードプレイスは、義務感や報酬目的で訪れる場所ではありません。
「自分が行きたいから行く場所」です。
純粋な楽しみのため、癒やしを得るためなど、目的は何でも構いません。
介護ばかりの日常から距離をおき、自分を切り替えることができれば、どこでも良いのです。

サードプレイスに出向くほどの時間がつくれなければ、ほんの30分でも自分のために使う時間を持つことを日課にしましょう。

「自分のためだけの時間」を、後ろめたく思う必要はありません。
親の介護を続けていくうえでは、むしろ欠かせないこと。
介護する人の心身が健康であればこそ、在宅介護が続けていけるのですから。
ケアマネさんに「これだけは譲れないこと」として伝えれば、それを含んだケアプランを考えてくれるはずです。


●「サードパーソン」が介護疲れを癒やしてくれる
シングル介護や同居介護では、「家族以外で話をするのは介護サービスの関係者くらいしかいない」という方は少なくありません。

身近な人に聞いてほしい気持ちはあるものの、「じゃあ、こうすれば良いじゃない」「なんでこうしないの?」などと方法論を言われると、責められているような気分になってかえってストレスになると言います。

きょうだいにもわかってもらえないシングル介護、同居介護の苦しさ。
ただ聴いてほしいだけ、ちょっとグチを言いたいだけ......という日だってありますよね。

似たような境遇にある「他人」のほうが、お互いの気持ちを理解し合えるということもあります。
家族や親せきでもない、介護関係者でもない、それが第三の人「サードパーソン」です。

「在宅で親の介護をしている」という人は、意外に多いもの。
サードプレイスでそのような人と出会うかもしれませんし、お勤め先に同じような境遇の人がいるかもしれません。
また、SNSなどの介護コミュニティに参加してみるのも良い方法ですし、公営のスポーツセンターやカルチャーセンターなど、介護世代の方が集まりやすい場所に足を運んでみると、気の合う仲間に出会える可能性が高いです。

「昨日こんなことがあってさ...」
「わかるわかる」

気軽に言い合える仲間がいることは大切。
グチでも泣き言でも、吐き出すことでモヤモヤは消えていくはずです。

利害関係のない"介護のグチ仲間"がいれば、「大変なのは私だけじゃない」と心強く思えます。
イライラしたときも「これもあの人に聴いてもらおう、話さなくちゃ!」と考えると、ちょっぴり冷静になれるかもしれません。
こうした心の支えは、精神的な介護疲れをかなり癒やしてくれるのではないでしょうか。

シングル介護、同居介護を続けていくうえで、感情を切り離すことはできません。
時折見舞われるネガティブな感情は、介護のモチベーションや心身にも悪影響を及ぼします。
自分が抱えているストレスを自覚して、ちゃんと対処することが重要なのです。

「どうせ誰もわかってくれない」という鎧(よろい)を降ろして、少しだけ心を解放してみてください。
がまんせず、「つらい」「しんどい」と率直に言葉にして良いのです。

あなたのSOSを受け止めてくれる場所、受け止めてくれる人が見つかることを願っています。


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