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シングル介護の「見えないストレス」に負けないために

こんにちは、セコムの武石(たけいし)です。

自覚がなくても、小さなストレスが積み重なって重荷になることが少なくありません。前回から、「高齢の親との同居」をテーマに連載しています。
1回目は、年齢を重ねた親子の間で起こりがちな「気持ちのすれ違い」について取り上げました。

実の親子なのに何かかみ合わない、うまくいかない......と感じることは、同居生活を続けるうえで珍しいことではありません。
年齢とともに弱っていく親に代わって、自分がやらなくてはならないことが増えていくにつれて、理不尽な思いにとらわれることもあるのではないでしょうか。

特に独身の子が同居して介護する「シングル介護」では、こうしたストレスをひとりで抱えがちです。
モヤモヤしたものを抱えながらも、「親への不満」は口にしにくいもの。
誰かに言えば、「親の悪口」のように取られてしまうでしょう。

そこで今回は、表に出しにくい「介護する子のストレス」について、シングル介護のストレスの原因や対処方法をまとめます。

同居しながらひとりで親の介護を引き受ける方の心が、少しでも軽くなりますように。


【あわせて読みたい!シリーズ「高齢の親との同居」】
高齢の親との同居は何が大変?よくある「すれ違い」の解消法

● いつも頭のどこかで考えている「親のこと」
介護が必要な親との暮らしは、心配が尽きないものです。
要介護度が軽く、ある程度自分の身の回りのことができても、気がかりなことはいろいろあるでしょう。

いつもの時間に起きてこなければ、「寝ている間に何かあったのでは?」
散歩からなかなか帰ってこなければ、「なにかあったのかしら?道に迷った?それとも転んだ?」
自分が出かけているときも、ひとりで家にいる親を思って「大丈夫かな?」

ちょっと寄り道したくても、親が気がかりで帰路を急ぐこともあるでしょう。
どこで何をしていても、親の様子が気になってしまう、ほっておけない......同居介護の「あるある」です。

24時間365日、頭のどこかで親を気にかけている状態。
このような心理状態が続くのは、実は精神的にしんどいものです。
自覚はしていなくても、小さなストレスが積み重なって重荷になっていることもあります。


● 「小さなストレス」を放置すると同居介護はうまくいかない
ストレスの自覚がないまま日々を過ごしていると、ものの見方や感じ方が悪いほうに偏ってしまうことがあります。

「昨夜は足が痛くて眠れなかった」
「あなたが出かけていたから、お昼ごはんは菓子パンだった」

もし親からこのようなことを言われたら、あなたはどう感じますか?
些細な言葉でも、自分に対する嫌味や当てつけに聞こえてしまうこともあるのではないでしょうか。

精神的に疲れていると、言葉をそのまま受け取れないことあります。
親子という近しい関係性ならなおさら。
相手の性格がよくわかっているだけに、「きっとこう思っているに違いない」という憶測も生まれやすいものです。
「イライラの原因」をつくっているのは、もしかしたら自分の思い込みや間違った解釈なのかもしれません。

何を言われても、「ああ、そうなんだ」とそのまま受け取る。
必要以上に言葉の裏を読んだり、余計なことを考えすぎたりしないようにしたいものです。

親の言動に対して感情的になってしまうときは、「私は疲れているんだ」「ストレスが溜まっているんだ」と気づくことが大切です。
そのようなときは自分の心を労わってあげましょう。
ちょっと冷たいと思われても、普段から犠牲的になりすぎないことも大切です。あなたの人生も大事なのです。


● 親子のパワーバランスはいつか入れ替わる
親と子の関係性というものは、「面倒を見る側」と「面倒を見てもらう側」が、いつか入れ替わります。
同居を選んだ子からすれば、「自分が親の面倒を私が見なくては」という気持ちも強いはず。

しかし、親からすれば、わが子は何歳になっても自分の子。
たとえ大人として自立している息子や娘に対しても、「親である自分が支えなければ」という意識はどこかに残り続けているものです。
親からすれば「面倒を見てもらう側」にシフトしつつある自分の状態を認めにくい想いや、申し訳ないという想いを抱いているかもしれません。

子の前で親として振る舞おうとする気持ちに、少しだけ想いを馳せてみてください。
理不尽かもしれませんが、そこには愛情も感じられるのではないでしょうか。

感情や意見のぶつかり合いがあるうちは、まだ「親としての自分」を保とうとしているあらわれ。
できていないことを指摘したり、言い負かしたりすることは、消して良い結果を生みません。


● シングル介護のストレスへの対処法
「シングル介護」は、親子一対一の閉鎖的な関係に陥りがちです。
第三者の「目」がない分、お互いに主観的な考え方、ものの見方になってしまうことが多々あります。

イライラすること、モヤモヤすることがあったら、視点を変えて、客観的に自分の気持ちを観察することを意識してみてください。
「なんで私はイライラするのだろう」「このモヤモヤの正体はなんだろう」と原因を探っていくと、冷静になれますし、「よく考えたら、たいしたことではない」と切り替えられることもあると思います。

イライラが治まらないときは、その場から離れて違う景色を見たり、洗面所で手を洗って香りのよいハンドクリームをつけたりするのもおすすめです。
「イラッ」ときたら気持ちを切り替える場面を作ったり、癒されるモノに囲まれたりすることで、余計なストレスを回避することができます。

身近な同朋をみつけることも有効です。同じように親と同居をしたり、面倒をみている人なら、  きっとあなたの気持ちを理解してくれるはずです。
共感してただ話を聞いてくれる人の存在はきっとあなたを支えてくれるでしょう。

同居介護を続けていくために、「自分の心の守り方」を覚えておくことも必要です。


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