「訪問介護サービスの選び方」良い事業所を見極めるポイント

介護情報なら安心介護のススメ

介護のキホン

介護保険や介護サービスなど関する
便利な情報をわかりやすくご紹介します。

  • ツイート
  • facebookでシェア
  • LINEで送る
  • ツイート
  • facebookでシェア
  • LINEで送る

「訪問介護サービスの選び方」良い事業所を見極めるポイント

こんにちは、セコムの武石(たけいし)です。

介護のかかわり方は、人それぞれ異なるものです。在宅介護で利用される「訪問介護サービス」。
事業所選びで悩んだという方も少なくないと思います。

公的な介護保険による訪問介護サービスは、要介護度に応じて排泄(はいせつ)や入浴、食事などの身体介助や生活援助をおこなうもの。
提供する介護サービスはケアマネジャーが作成したケアプランに基づいており、この仕組みはどの事業所でも同じです。

では、利用者は何を基準に訪問介護サービス事業所を選べば良いのでしょうか。
今回は、長年訪問介護サービスに関わってきた私が考える「良い訪問介護サービス事業所を見極めるポイント」を紹介します。

● 訪問介護サービスが担う重要な役割とは?
訪問介護でヘルパーがおこなうのは、単に「身のまわりのお世話」ではありません。
利用者が自分らしく在宅生活を続けていくために、訪問介護サービスは存在します。

要介護状態になって、人の手を借りないと身のまわりのことができない。
やりたいことを諦めたり、自尊心が傷ついたりしている状態は、「自分らしい」とは言えません。
その方が抱えている問題に向き合い、自分らしくあるための方法を一緒に考えることが、訪問介護サービスの役割だと私は考えます。

入浴やトイレなどの介助は、あくまで課題解決のための手段であり、目標達成のためのプロセスです。
本当のゴールは、利用者が望む生活を実現すること。

介護は、その方らしく自立した生活を営むために必要な支援としておこなうものです。
私自身、お世話をすること自体が目的になってはならないと意識していますし、このことはセコムのスタッフにも常々伝えています。

ときどき、「ついでだから、これもやっておいて」とヘルパーが依頼されることがありますが、自立支援に関係ないことであれば、きっぱり断るようにしています。
依頼を断れば気を悪くされるかもしれませんが、ヘルパーは自立支援のためのプロ。家事の代行ではありません。

「すべきこと、すべきではないこと」。
その線引きをしっかりできない事業所は、介護の本質がわかっていないということであり、良い訪問介護サービスを提供できないと考えています。

本当に良い訪問介護サービス事業所とは、「なんでも言うことを聞いてくれる事業所」ではないのです。


● 訪問介護サービス事業所の「考え方」による違い
私たちは、利用者が何を望んでいるのかを丁寧に聞きます。
要介護になってどんなことに困っているのか、どんな生活がしたいのか、もう一度やってみたいことは何か......など。
それによって、ヘルパーの介入範囲や介助方法が変わります。

たとえば、トイレの介助。
排泄(はいせつ)にはできれば他人に関わってほしくない、ひとりでゆっくりしたいと考える方が少なくありません。
ズボンや下着の上げ下げから、おしりを拭くところまでヘルパー任せでは、自尊心が傷つくこともあるでしょう。排泄のスタイルや想いはひとりひとり違います。

トイレまでの移動は介助しても、「一緒に入りますか?」「お手伝いしますか?」と利用者の想いを想像し、希望を確認するのが私達セコム流の介護。

ひとりで入りたいとおっしゃるなら、できる範囲でお任せしつつ、プライバシーを損ねないよう、いつでもフォローできる状態で見守ります。
もちろん、身体状態によっては難しい場合もありますが、それなら「どうすればトイレでゆっくり過ごせるようになるか」を考えるのが私たちの仕事です。

ケアプランのなかで決められた訪問介護サービスが1回30分程度と短い場合、「利用者の望みどおりにする」ことが難しいケースもあります。
訪問介護サービス事業所によっては、「すべての介助をスピーディに終わらせないと時間が足りない」と考えるかもしれません。

しかし、それでは自立支援のための介護にはならないと考えます。
ご家族やケアマネジャーに「望むようにサポートするには、どうしても時間が足りない。30分ではなく1時間に延長しませんか」とこちら側から提案することもあります。

排泄(はいせつ)介助ひとつとっても十人十色で、一人ずつ関わり方や方法が異なるものです。
決められた時間にあわせて決められた介助を事務的にこなすだけでは、いくら手際が良く完璧でも良いヘルパーとは言えないのではないでしょうか。


● 訪問介護はチームワークが重要
多くの訪問介護サービス事業所では、利用者ひとりに対して専属ヘルパーが担当します。
しかし、私たちは利用者ひとりに対して2人以上のヘルパーが担当するチーム制で対応しています。

「なじめないから、ひとりの人に担当してほしい」との要望があることも少なくありません。
それでもチーム制を取り入れているのは、担当ヘルパーがひとりしかいないほうが利用者にとって不利益が大きいと考えているからです。

たとえばコロナ禍のとき。
他の事業者では、担当者が感染して訪問できず、別のヘルパーが対応せざるを得ないケースもあったようです。
訪問介護は、何度も通ってその家庭のやり方を覚え、少しずつ信頼関係を築いていくもの。
初めて担当するヘルパーでは十分なケアが提供できないこともあります。

担当者の急病、急用などで訪問できない場合、不利益をこうむるのは利用者です。
普段からチームで担当していれば、このような事態を避けられます。

また利用者とヘルパーがいつも1対1の関係性では発展がなく、ケアもマンネリ化しがち。
なれあいになってしまい、潜んでいる心身の問題に気づけないことも考えられます。

その点、人は相手によって見せる顔が違うのは当然ですし、どちらもその人自身です。
複数のヘルパーが関わっていれば、違う視点からの気づきも得られ、よりその人らしさに近づけます。問題解決の糸口が見えてくることもあります。

訪問介護は、チームワークが何より大事。
ヘルパー同士のチームワークはもちろん、ケアマネジャー、かかりつけ医や訪問看護師など訪問介護に関わる専門職種、そしてご家族ともひとつのチームであることが理想です。

どうすれば、本人の望む生活を実現することができるのか。
どうすれば、家族の介護負担を少しでも減らすことができるのか。

ひとつの方向に向かって力をあわせたとき、思いもよらない奇跡が起こることもあるのが、チーム介護の素晴らしさです。

要介護になって「もう無理だろう」と諦めていた夢を実現した利用者を、何度も目にしてきました。
本当の意味での「利用者ファースト」を考え、より良い訪問介護サービスの在り方を追求し続けることが私たちの使命。

みなさんが良い介護サービス事業所との出会いがあることを願っています。


【あわせて読みたい!関連コラム】
在宅介護のコツ 「夢」や「目標」を持ちましょう
「できない」「危ない」に縛られていては、ご本人らしさが損なわれてしまいます。夢をかなえた在宅介護の事例をご紹介します。

在宅介護の訪問サービスで「やってもらえること」「やってもらえないこと」
「ヘルパーは融通が利かない」と思っていませんか?訪問介護の意義を理解すると、より良い在宅介護生活が実現できるかもしれません。


* * * * * * * * *


【介護の仕事に興味のある方へ】
セコムの武石(たけいし)です。

介護はチームでおこなうもの。
利用者の願い、家族の願いを実現するには、ひとりのがんばりでは限界があります。
でも、力を合わせれば奇跡は起こる。
私たちのチームは、何度もそれに出逢ってきました。
もし少しでもこのチームに興味があれば、一緒に利用者の夢を叶え笑顔を取り戻すお手伝いをしてみませんか?

セコムの看護・介護募集サイト
https://www.kangokaigo-secom.com/html/kaigo_list.html

セコムの介護応援ブログTOPへ