高齢の親との同居は何が大変?よくある「すれ違い」の解消法

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高齢の親との同居は何が大変?よくある「すれ違い」の解消法

こんにちは、セコムの武石(たけいし)です。

最近は、未婚の子どもが実家で高齢の親と同居して介護する「シングル介護」が増えているそうです。
要介護ではなくても、高齢になれば足腰が弱ったり、体力が衰えたりするもの。
年老いた父親や母親が心配で、「放っておけない」と同居を選んだ人もいるのではないでしょうか。

年齢を重ねた親と子の同居には、あまり表面化しない問題が潜んでいます。
なぜかかみ合わないことが少なくないのです。

そこで今回から4回にわたって「高齢の親との同居」をテーマに連載します。
初回は、高齢の親との間によくある、気持ちの「すれ違い」の正体について。
言葉ではあらわしにくい「気持ちの"モヤモヤ"」を解決するヒントをまとめます。

● 高齢の親にどこまで任せるべきか
どんな親も、高齢になれば、うまくできないことや行き届かないことが増えてきます。
老いていく過程で、「まだできる」「もうできない」の境界線を見極めるのは難しいものです。

たとえば「洗濯物干し」。
手を伸ばして頭より上で作業する動作は、若い頃とは比べものにならないくらい労力を要します。
きれいに干せなくても無理もありません。

目も悪くなってくるので、食べこぼしたことに気づかなかったり、掃除が隅々まで行き届かなくなったりすることもあります。

うまくいかないことを目にすれば、子としては「どこまで本人に任せるべきか」を考えるようになるものです。
一方で親は、多少うまくできなくても、頑張って自分自身でやろうとしていることを、子どもから「できていない」と指摘されれば良い気はしないもの。

日常生活の何ができないのか。
どこまで子が介入すべきか。

「何をどこまで本人に任せるべきか」に迷ったら「どうしてほしいか?」を聞く機会を持ちましょう。
そばで見ていて心配になることがあるなら、子としての意見を伝えることも大切です。

家のなかでの役割分担や子が介入する範囲がお互いにわかっていると、感情的なぶつかり合いや気持ちのすれ違いも減らせるのではないでしょうか。


● 「手伝おうか?」と声をかけてみる
親は「自分でできる」と頑張ろうとするかもしれません。
弱いところを見せたくない、心配をかけたくないと思うのが親というもの。
できないと認めたくない、言われたくないプライドもあるでしょう。

子としては、若いときとは違う親の姿を目の当たりにすると寂しい気持ちになりますし、胸中は複雑だと思います。
お互いがお互いを思っているのに、気持ちがすれ違ってしまうのは悲しいですね。

手を差し伸べても受け入れてくれないとき、「だって、できていないじゃない!」などととがめるような言い方をするのは逆効果。
そんな言葉が出そうになったときは、ひと呼吸おいて「手伝おうか?」と声をかけてみてください。

「手伝う」ということは、主体はあくまでもご本人。申し出る側は助手の立場です。
手伝ってもらうかどうかの選択権を本人に委ねる言い方がおすすめ。

それでも、「大丈夫」と言われたときは、本人に任せてみる。
多少行き届かなくても、「まあいいか」と目をつぶる。
「自分でやろうとする意欲があるのは、まだ元気な証拠」と良いほうに解釈して、おおらかに見守ることも、高齢の親との同居には必要なことです。
子供としてやるべきことをやっていないような後ろめたい気持ちになるかもしれませんが、「自分でやりたいようにやる」ということの価値は、私たちが思うよりもはるかに高いものなのです。


● 我慢ばかりすることはない
常に親を立てて、子が一歩引くことを求めているわけではありません。
それでは我慢するのは子ばかりで、後始末ばかりしているような理不尽な気持ちになってしまいます。

何かあるたびに言葉を飲み込んでいたらストレスもたまりますし、ときには思い切り言いたいことを言い合うことも必要です。
親子の同居は、どちらか一方ばかりが我慢したら長くは続けられません。

何かうまくいかない、かみ合わないと感じることがあるなら、お互いが感じている負担感や考えていることにすれ違いがある証拠。
これからも同居を続けていくために、自分の気持ちを伝え合う機会をたくさん持ってください。
親がどんなことを考えて生きてきたのか、子に何を伝えようとして来たのか、それを知ることは、いつか親が亡くなったときに、理解して関わってきたというあなたの思いを支えてくれるはずです。


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