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国際犯罪学会における大きな話題 プロファイリングとは

 8月5(金)〜9日(火)までの5日間、神戸市で国際犯罪学会の世界大会が開催されました。前回が2008年にスペインのバルセロナで開催されてから、3年ぶりの世界大会となります。世界中から関係者が神戸市に集まり、活発に研究発表や議論が行われました。

 日本で開かれる初めての国際犯罪学会ということもあり、筆者も参加して研究発表を行いましたが、全国からも犯罪に関係する研究者や実務家が集まりました。
 この会議の主要なテーマとして「犯罪者プロファイリング」(日本では単に「プロファイリング」と呼ばれることが多いようです)が取り上げられ、報告と議論がなされました。

プロファイリングとは
 警察白書によるとプロファイリングとは、「犯行現場の状況、犯行の手段、被害者などに関する情報や資料を、統計データや心理学的手法を用いて分析・評価することにより、犯行の連続性、犯人の年齢層、生活様式、職業、前歴、居住地などの推定や次回の犯行の予測を行う」ことです。
 経験を積んだ捜査員が勘で行っていた犯人像の推定に、心理学や統計学などの学術的な方法論を導入し、科学の目によって犯人像を浮かび上がらせる手法です。

 プロファイリングは、日本では1994年に警察庁の科学警察研究所において研究が開始されたのを皮切りに、2000年には北海道警察に実務部隊が設置されて、その実践がスタートしました。その後、2005年に58件だった全国のプロファイリング実施件数は2009年には328件となり、犯罪捜査現場において実際にそれを使う件数は伸びてきています。
 経験と勘を中心とした犯罪捜査に、データに基づく科学的な手法を取り入れようとする動きは、今後ますます増えてくることでしょう。

 プロファイリングを行う捜査員である「プロファイラー」を主人公としたドラマなどが人気となったこともあり、プロファイリングという名前は一般によく知られるようになりました。一方で、その副作用として、何でもできる万能な捜査手段のように捉えられる向きもあるようです。

やはり専門家の判断力が重要
 科学的な方法論に裏打ちされたプロファイリングという手法は、犯罪者に関する有用な情報を捜査員に提供します。そしてその精度は、これからますます向上してくると思います。
 しかし、最終的な判断を行うのは、やはり経験に培われた判断力を持った捜査員という専門家なのです。

「専門家の重要性」は、セキュリティ会社が提供するセキュリティサービスについても同様のことがいえます。セキュリティサービスで用いられるセンサーやカメラの性能は、これから向上するのは間違いありません。扱う情報も増えることでしょう。
 しかしながらプロファイリングの場合と同様に、セキュリティサービスにおいても、そのクオリティを決めるのは、経験を積んだ専門家による判断力なのです。セキュリティサービスを選ぶ際には、この点に注意していただければと思います。

(参考)
・安心豆知識「名人が名人である理由 勘を養うには何が必要か」(2010/9/27)

・安心豆知識「その組織は人を育てているか サービス業の宿命」(2010/10/18)

・国際犯罪学会 第16回世界大会

・警察庁 科学警察研究所 捜査支援研究室

セコムIS研究所
セキュリティコンサルティンググループ
甘利康文

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