開催レポート
第31回:予知予測予兆でアップデートする一歩先のわたしの日常

今回は、「予知予測予兆でアップデートする一歩先のわたしの日常」をテーマに、大企業やスタートアップ・行政機関など産業界の参加者に加え、セコムが支援する「神山まるごと高専」で起業家精神を学ぶ学生たちも交えながら、予知・予測・予兆でアップデートされる日常の理想についてデザインワークショップ形式でディスカッションを開催しました。

天気予報、渋滞予測に限らず、要因分析や多様なデータの蓄積と連携、解析技術の高度化により、ビジネスや生活のさまざまな場面で少し先の未来が予見できるようになってきました。スマートシティなど都市国家レベルでなくとも、オフィスや住宅、街区、個人の体験(UX)といった単位で未来の予見による価値提供が生まれてくるのではないかと考えています。予知・予測・予兆がビジネスや暮らしに寄与するならば、何を期待し望むのでしょうか。アップデートされる日常の理想を探るのが狙いです。

話題提供では、事業構想大学院大学の特任教授 関孝則様より、従来からの予測ソリューションの系譜と、現代におけるUXとしての予測との向き合い方などについてインプットいただきました。
続くワークショップでは、世代や背景、価値観や視点が異なる多種多様な参加者が、それぞれの視点から予知・予測・予兆により解消したいアイデアや考え方について互いの価値観を共有しながら分野横断的に対話を深めました。予知・予測・予兆の先にある新しい効果など、価値観や課題の本質を紐解きながら、未来の社会に繋がるアイデアに議論を展開しました。

開催日時

2026年2月26日(木)17:00~20:00

話題提供者

  • 事業構想大学院大学 特任教授
    関 孝則

    デジタルでの市場変化と変革が関心領域。日本アイ・ビー・エムにてテクニカルセールス本部 ディレクター/技術理事、セールスフォース・ドットコムにて先進技術ソリューション本部 常務執行役員、Slack Japanにてエグゼクティブ・パートナーを経て現職。東京理科大学大学院にて経営学研究科技術経営専攻(MOT)教授も務めた。新しいIT技術にかかわる新規事業開発やスタートアップ、テクニカルセールスの統括、技術経営(MOT)の社会人教育などで、30年以上の経験を持つ。「セコムオープンラボ」にも初期より参加。

総合ファシリテーター

  • セコム株式会社 本社オープンイノベーション推進担当 リーダー / セコムオープンラボ総合ファシリテーター
    沙魚川 久史

    セコムでは、研究開発や科学研究助成事業責任者を経て現職。セコムグループ横断のオープンイノベーション部門を率い、各種の新価値探索から協働商品開発まで手がける。イノベーション推進プログラム「セコムオープンラボ」、挑戦的ブランド「SECOM DESIGN FACTORY」などグループ施策を統括。内閣府第3回および第6回「日本オープンイノベーション大賞」受賞。社外では東京理科大学フェロー、科学技術振興機構専門委員などを兼任。主な著書に『知的財産イノベーション研究の展望(第5章)』(白桃書房)など。

当日の模様

今回は、「予知予測予兆でアップデートする一歩先のわたしの日常」をテーマに設定して、メーカーや金融、情報通信を始めとした様々な業種の産業界参加者を中心に、セコムが支援する「神山まるごと高専」で起業家精神を学ぶ学生参加者も交えて、約100名でデザインワークショップ形式のアイデアディスカッションを開催しました。

天気予報、渋滞予測に限らず、要因分析や多様なデータの蓄積と連携、解析技術の高度化により、ビジネスや生活のさまざまな場面で少し先の未来が予見できるようになってきました。スマートシティなど都市国家レベルでなくとも、オフィスや住宅、街区、個人の体験(UX)といった単位で未来の予見による価値提供が生まれてくることが予想されます。予知・予測・予兆がビジネスや暮らしに寄与するならば何を期待し望むのか、アップデートされる日常の理想は何か、多様な価値観を取り入れながら、「予知予測予兆の先にある新しい効果」を探るのが今回の目的です。

冒頭、イントロダクションでは、社会のなかで多様化する価値観の「探索」と、問いをたて仮説を考えて検証する「実装」を進める「セコムのオープンイノベーション」のプロセスと、直近のケースなどをご紹介。また、そのなかで「セコムオープンラボ」による探索の意味と、今回のテーマに込めた背景についてフロアにインプットしました。

今回は、「予知予測予兆でアップデートする一歩先のわたしの日常」というテーマにあわせ、事業構想大学院大学 の関孝則特任教授より、予知・予測・予兆の価値が「情報」だけでなく人々の体験や意味にも広がっていることから、従来の流れから現代においてどう向き合うのかについて、話題提供をいただきました。海外テック企業で活躍してきた関教授が、フロアとインタラクションをしながら投げかける示唆に、参加者全員で理解を深めました。

続くワークショップでは、50企業/官庁や高専/大学からの約100名の参加者が、14グループに分かれてそれぞれの視座からディスカッション。ワークタイムを細かく区切り、議題を変えながら、予知予測予兆がビジネスや暮らしに寄与するなら何を期待し望むのか、様々な視座・価値観・専門性により議論が展開されました。

ビジネスや日常生活での不満足や感情の変化を可視化しつつ発散と収束を行い、予知予測予兆の先にある新しい効果へと昇華させるアプローチです。

ワークショップの前半戦は、私たちは何が事後の対応だと不安/不十分だと感じるのか、なぜ事後だと不安/不十分と感じるのか、一人ひとりの理解や価値観を探索する時間帯です。仕事や暮らしとして、移動/旅行、日常/非日常など、さまざまなトピックを洗い出しながら議論を進めます。

誰しも日常生活において何らか不安や不満足を感じつつ、それに纏わる感情や価値観の変化を見つめなおすことは意外に新鮮な体験です。背景にある感情や日ごろ感じるもやもや感などの非言語的メッセージを、多彩な切り口から可視化していきました。

今回の軽食には、テーマの“予知・予測・予兆”にちなんで、“2026流行予測・ひと足先回り”をコンセプトにした軽食をご用意。多くの2026年トレンド予測に登場するタコスやスパム、春を先取りする桜餅、 “いい予感”を感じさせるドリンクなどを取り揃え、議論を盛り上げました。

途中、コーヒーブレイクタイムには、参加者が大きく移動して他グループと交流し、更なる多様性を取り込みながら、マッシュアップを進めました。

コーヒーブレイクを挟んだ後のワークショップ後半戦では、前半で発散させた、予知予測予兆への期待や日常生活の不満足を参考にしながら、グループ毎に議論を収束させて、先回り対応/事前対応によって飛躍する考え方/ソリューションを提案。健康、メンタル面、家族や友人との人間関係など、日常生活における不満からその裏にある感情を丁寧に紐解きながら、予知予測予兆による未来への期待が整理されました。

ここで出てきた、幾つかの興味深いグループ発表を簡単にご紹介します。

  • ホームNow
    帰宅時、家に入る前に家の空気感(家族の機嫌やテンションなど)が、青・黄・赤の三段階表示でわかる。帰宅時に家の空気感と自分のテンションが異なることを防ぐ。相手の感情を知りたいが知りすぎるのも良くないことから色での表示に。ビジネス版は「オフィスNow」。
  • マケヘンデイ
    買い物や契約の際などに、営業員のトークや誘導を予測し、交渉に負けないトークができるソリューション。気弱で交渉できない、買い物で損をしてしまう、すぐ契約してしまう人がターゲット。
  • トイ-Ready
    赤ちゃんやペットなどコミュニケーションが難しい相手のトイレ等の生理現象を可視化し、最適なタイミングを教えてくれるソリューション。自分でコントロールできない事象を可視化することで子育てなどのストレス解消。
  • 0日婚も夢じゃない!
    人格を模したAI同士がコミュニケーションしてうまくいった相手のみを提案してくれるタイパ重視恋愛サービス。うまくいかなかった相手のAIからもフィードバックがもらえるので、うまくいかない相手も好みであればうまくいくようになる方法を身に付けられる。
  • ミスして!
    誰かの「やらかし」や「地雷」の経験をデータ化した失敗データベース。意思決定を後押しするとともに、失敗を隠すのではなく、オープンにすることでポイント(価値)を得られる仕組みとすることにより、失敗を許容できるチャレンジしやすい社会を実現する。
  • となりの人わか~る
    新幹線や飛行機などの公共交通機関、映画館やライブ会場などの公共の場で、あらかじめ自分の情報を登録しておくことで、座席指定の際に周囲の人の属性を可視化したうえで選択ができるサービス。誰が近くにいるか分からない不安を解消。

ワークショップ後には、大判のアイデア整理シートに各テーブル内での議論と提案アイデアをまとめ、その成果を発表して参加者全員でシェア。ふんだんなイラストとキャッチーなフレーズで参加者の心を掴みます。

参加者全員による投票を行い、もっとも多く共感を集めたグループを「最優秀共感賞」、次点を「優秀共感賞」として表彰。今回のテーマにちなんで、「最優秀共感賞」には“2026年ヒット予測”に選出されている美容サポート食品、「優秀共感賞」には“事前の備え”として長期保存可能な缶詰食品を、それぞれ副賞としてお贈りしました。

今回のセコムオープンラボは、注目が高まっている「予知・予測・予兆」をキーワードに、普段感じている日常の不満足、違和感などの非言語化メッセージを可視化し、共有することで、対話を深めていきました。全く異なる視座・価値観の意見が交差することで、数多くの興味深いアイデアが次々と生み出され、参加者間で多くの気づきと新しい交流が生まれる場となりました。

ここで議論されたアイデアや未来像、課題感は、セコムを含め、参加者それぞれが持ち帰り、各々の視点から新たな“気づき・きっかけ”として活用いただけることと思います。この場を起点に、みなさまの想いが更に高まり、新たな創発が起きていくことを期待しています。

お問い合わせフォームへ

トップに戻る