今回は、「わたしたちは何を“錯覚”したいのか~感覚ハックしたいのは時間/空間/ヘルスケア、それとも?」をテーマに、産業界の参加者とともに、多様な価値観で次代を彩る大学生も交えながら、「錯覚techが生み出す幸福の新地平」についてデザインワークショップ形式でディスカッションを開催しました。
錯覚techの注目が高まっています。これはAR、VRに限りません。さまざまな方法で人の感覚に働きかけて、一瞬の時間を長く感じさせたり、見えないものを見えると思わせたり、塩味やうま味を増強して感じさせたりして、現実と知覚が食い違う錯覚を生み出しています。メディアからは「スマホの次」という声も聞こえてきました。人々は何を錯覚したいのか、また、そこから得られるベネフィット・体験に何を期待するのでしょうか。多様化する未来への期待や希望、価値観の拡がりを探るのが狙いです。
アイスブレイクを通じてチームビルディングを行った後、続くワークショップでは、世代や背景、価値観や視点が異なる多種多様な参加者が、それぞれの視点から「なぜどうして錯覚したいのか」について互いの価値観を共有しながら分野横断的に対話を深めました。錯覚の先にある効果、錯覚により解消/前進できる日常の不満足など、価値観や課題の本質を紐解きながら、未来の社会に繋がるアイデアに議論が展開しました。
今回は、「わたしたちは何を“錯覚”したいのか~感覚ハックしたいのは時間/空間/ヘルスケア、それとも?」をテーマに設定して、メーカーや金融、情報通信を始めとした様々な業種の産業界参加者を中心に、多様な価値観で次代を彩る大学生参加者も交えて約100名でデザインワークショップ形式のアイデアディスカッションを開催しました。
メディアが“スマホの次”として注目したり、AR/VRだけではなく、塩味を増強して感じさせるスプーンなど、さまざまなジャンルで錯覚techへの注目が高まっています。人々は日常生活のなかで何を錯覚したいのか、そこから得られるベネフィット・体験に何を期待するのか、多様な価値観を取り入れながら、「錯覚techが生み出す幸福の新地平」を探るのが今回の目的です。
冒頭、イントロダクションでは、社会のなかで多様化する価値観の「探索」と、問いをたて仮説を考えて検証する「実装」を重視した「セコムのオープンイノベーション」のプロセスと、それによって結実した近時のサービスなどをご紹介。また、そのなかで「セコムオープンラボ」による探索が持つ意味と、今回のテーマに込めた背景についてフロアにインプットしました。
今回は、アイスブレイクとして、幅広い属性や世代が集うチームビルディングのために相互理解を深める「今年1年の脳内マップ」ゲームを実施。キャリアや世代で異なるライフスタイルや価値観の違いを可視化しながらグループ内の交流を深め、チームビルディングを進めました。
続くワークショップでは、59企業/官庁や大学から約100名の参加者が、14グループに分かれてそれぞれの視座からディスカッション。ワークタイムを細かく区切り、議題を変えながら、なぜどうして錯覚したいのか、錯覚の先に何を期待するのか、様々な視座・価値観・専門性により議論が展開されました。
日常生活での不満足や感情の変化を可視化しつつ、錯覚により解消できる考え方/ソリューションへと昇華させるアプローチです。
ワークショップの前半戦は、私たちが何を錯覚したいのか、日常生活で不満足していることはなにか、一人ひとりの理解や価値観を探索する時間帯です。可処分所得/可処分時間、経験/体験/勉強の機会、依存からの離脱など、生活として短期的なことから人生として長期的なことまでを掘り下げ、発散させながら議論を進めます。
誰しも日常生活において何らか不満足を感じつつ、それに纏わる感情や価値観の変化を見つめなおすことは意外に新鮮な体験です。背景にある感情や日ごろ感じるもやもや感などの非言語的メッセージを、多彩な切り口から可視化していきました。
今回の軽食には、テーマの“錯覚”にちなんで、“錯覚”と“三角”をコンセプトに片手で食べられる軽食をご用意。見た目がおにぎりのようなケーキ、パウダーを入れることで色が変わるドリンクも取り揃え、議論を盛り上げました。
途中、コーヒーブレイクタイムには、参加者が大きく移動して他グループと交流し、更なる多様性を取り込みながら、マッシュアップを進めました。
コーヒーブレイクを挟んだ後のワークショップ後半戦では、前半たくさん出して発散させた、錯覚したいことや日常生活の不満足を参考にしながら、グループ毎に収束して、錯覚により解消/前進できる考え方/ソリューションを提案。時間や健康、メンタル面、家族や友人との人間関係など、日常生活における不満からその裏にある感情を丁寧に紐解きながら、錯覚による未来への期待が整理されました。
ここで出てきた、幾つかの興味深いグループ発表を簡単にご紹介します。
- 肩乗りLITTLEメンター
課題があるということそのものが錯覚であるというメタ的な提案。自信が持てないのは課題に捉われる錯覚が原因。肩に乗るサイズの推しや家族友人が今の自分でいいのだということを伝え、応援してくれる。
- 月に代わって忘却ペンダント
記憶をリセットして色んな経験を再体験したい。月に一度、仕事の嫌なことや物語の内容、旅行の感動などの記憶をルーレットでランダムに消す。色々な経験をしてきて感動が薄れた大人たちや学生がターゲット。
- 錯覚セラピー
ライブ中に推しと目が合ったような気がするだけでハッピーになれる。VRで推しと会話をすることができるご褒美VRセラピー。施術時の服装や髪型、小物の色などに対し、推しが合わせてくれたり、コメントしてくれたりする。
- バーチャル断捨離
物価高の解決策として生活コストを下げる体験。VRゴーグルを通して部屋を見ることで特定の家具を非表示にでき、家具を捨てたかのように錯覚。自分にとって本当に必要なものが分かる。
- スーパーポジティブイヤホン
先輩・上司からの耳の痛い言葉やアドバイスをポジティブに変換してくれるイヤホン。さらに推しの声で音声が流れることで仕事のモチベーションアップ。
- セルフサライ
健康のために運動したいが習慣化するまでが辛い。通勤・通学時のウォーキングを習慣化できるように、BGMや応援の歓声で自分が映画の主人公になったかのように錯覚。憂鬱な通勤・通学時間を視覚・聴覚で盛り上げてくれて、気分UPで仕事も効率もUP!
ワークショップ後には、大判のアイデア整理シートに各テーブル内での議論と提案アイデアをまとめ、その成果を発表して参加者全員でシェア。ふんだんなイラストとキャッチーなフレーズで参加者の心を掴みます。
参加者全員による投票を行い、もっとも多く共感を集めたグループを「最優秀共感賞」、次点を「優秀共感賞」として表彰しました。賞に選ばれたグループのメンバーには、今回「五感で楽しむ」をコンセプトにご用意した「スイーツのようなリラックスギフト」を副賞としてお贈りしました。
今回のセコムオープンラボは、注目が高まっている「錯覚tech」をキーワードに、普段感じている日常の不満足、違和感などの非言語化メッセージを可視化し、共有することで、対話を深めていきました。全く異なる視座・価値観の意見が交差することで、数多くの興味深いアイデアが次々と生み出され、参加者間で多くの気づきと新しい交流が生まれる場となりました。
ここで議論されたアイデアや未来像、課題感は、セコムを含め、参加者それぞれが持ち帰り、各々の視点から新たな“気づき・きっかけ”として活用いただけることと思います。この場を起点に、みなさまの想いが更に高まり、新たな創発が起きていくことを期待しています。