開催レポート
第27回:プレ社会人と探究する、令和的『はたらく』の価値観

みなさまは、改めて考えたときに「はたらく」ということをどう捉えますか?
生活のため、人の役に立つ、社会や人とのつながり、自己成長自己実現、早期リタイア/FIRE …。社会や技術が成熟 して物質的に豊かになり、働きかたや働く意義の多様化が拡がっているようです。これからの社会を彩るポスト Z 世代の視点からは「はたらく」ことを通して何が見えるのでしょうか。

今回は、「プレ社会人と探究する、令和的『はたらく』の価値観」をテーマに、就労前のポスト Z 世代と、さまざまな働く世代とで「はたらく」価値観の多様化とその拡がりを確認するデザインワークショップを開催しました。

「はたらく」に伴う物質的精神的なコストとベネフィット、テクノロジーの活用、新しい生き方など、現在および少し先を見据えて必ずしも経済面だけでない「はたらく」ことの意味を再定義。今後の令和時代における“はたらく”のニュースタンダードを探りました。

まずはアイスブレイクを通じてチームビルディングを行った後、続くワークショップでは、世代や価値観、視点が異なる参加者が、それぞれの視点から「はたらく」の意義について発散と収束を共有しながら、今後の令和時代に続く「はたらく」の新しいあり方をディスカッションしました。
未来を担う若者世代の想いと、さまざまな働く世代の考える世相から、理想と現実、良い面・悪い面、経済面・幸福面、様々なスタイル、など未来の社会に繋がるモデルケースとなる議論が展開しました。

開催日時

2024年9月19日(木) 17:00~20:00

総合ファシリテーター

  • セコム株式会社 本社オープンイノベーション推進担当 リーダー / セコムオープンラボ総合ファシリテーター
    沙魚川 久史

    セコムでは、研究開発や科学研究助成事業責任者を経て、現在セコムグループ横断のオープンイノベーションチームを率い、各種の新価値探索から新規協働商品開発まで担う。イノベーション推進に向け「セコムオープンラボ」を主宰、挑戦的ブランド「SECOM DESIGN FACTORY」を立ち上げて展開中。社外では、東京理科大学客員准教授を経てフェロー、大学や国立研究開発法人、産学官コンソーシアムなどでも活動。主な著書に『知的財産イノベーション研究の展望(第5章)』(白桃書房)、内閣府第3回および第6回「日本オープンイノベーション大賞」受賞。

当日の模様

今回は、「プレ社会人と探究する、令和的『はたらく』の価値観」をテーマに設定して、就労前のポスト Z 世代50名と企業や官庁で働く世代50名とにより、デザインワークショップ形式でアイデアディスカッションを開催しました。

働きかたや働くことの意義の多様化が拡がりつつある現在、社会や技術が成熟するなかで、これからの社会を彩るポストZ世代の視点や企業人の視点からは「はたらく」ことを通して何が見えるのでしょうか。
さまざまな働く世代と、就労前のポスト Z 世代とが集まり、多様な価値観を取り入れながら、「はたらく」価値観の多様化と今後に向けた拡がりの兆しを探るのが今回の目的です。

冒頭、イントロダクションでは、社会のなかで多様化する価値観の「探索」と、問いをたて仮説を考えて検証する「実装」を重視した「セコムのオープンイノベーション」のプロセスと、それによって結実した近時のサービスなどをご紹介。また、そのなかで「セコムオープンラボ」による探索が持つ意味と、今回のテーマに込めた背景についてフロアにインプットしました。

今回は、アイスブレイクとして、幅広い世代が集うチームビルディングのために相互理解を深める「あのときの脳内マップ」ゲームを実施。企業人と学生世代の間のライフスタイルや価値観の違いを可視化しながらグループ内の交流を深め、チームビルディングを進めました。

続くワークショップでは、61企業/官庁や大学から約100名の参加者が、14グループに分かれてそれぞれの視座からディスカッション。ワークタイムを細かく区切り、議題を変えながら、「はたらく」をどう捉えているか、令和の時代観のなかでどうなっていくかについて、様々な視座・価値観・専門性により議論が展開されました。
日々の想いや感情の変化を可視化しつつ、古くからの慣習的な当たり前を見直すアプローチです。

ワークショップの前半戦は、いまの「はたらく」について、一人ひとりの理解や価値観を探索する時間帯です。理想と現実、良い面わるい面、経済面と幸福面、さまざまなスタイルなど、生活として短期的なことから人生として長期的なことまでを掘り下げ、発散させながら議論を進めます。
「はたらく」ことはアルバイト含め日々の生活において当たり前である一方で、それに纏わる感情や価値観の変化を見つめなおすことは意外に新鮮な体験です。背景にある感情や日ごろ感じるもやもや感などの非言語的メッセージを、多彩な切り口から可視化していきました。

今回の軽食には、“はたらきながら”をコンセプトに片手で食べられる軽食をご用意。海外映画でおなじみのドーナツから、にわかに流行しているスパムむすび、最新のエナジードリンクまで取り揃え、議論を盛り上げました。
途中、コーヒーブレイクタイムには、参加者が大きく移動して他グループと交流し、更なる多様性を取り込みながら、マッシュアップを進めました。

コーヒーブレイクを挟んだ後のワークショップ後半戦では、前半で発散させたイマドキの「はたらく」をめぐる悩みや期待、課題感を参考にしながら、グループ毎に収束して、自分たちなりの少し先の社会における「はたらく」の新しいあり方を提案。天職に巡り合うための要素や、ワーク/ライフの考え方、お金やコミュニティのことなど、価値観や課題、その裏にある感情を丁寧に紐解きながら、新しいライフスタイルが整理されました。

ここで出てきた、幾つかの興味深いグループ発表を簡単にご紹介します。

  • 人付き合いもリワード次第:行きたくない飲み会や相性の合わない社員の付き合いなど、自由を縛ることと報酬のバランスを最適化したい。
  • 国民皆野球選手ライク:終身雇用の崩壊とともに、個人事業主としていろいろな仕事と関わっていくことで、国民皆事業主と位置づけ、プロ野球選手などのイメージをテーマとした。個人で働き方を決められ、会社はマネジメントやサポートをしていく。
  • 大人の職業体験遊戯:子供向けの職業体験ができる施設は以前より人気がある。大人にも気軽に職業体験できる制度があるといい。オンラインだと分からないことを聞くのにためらってしまうので、リアルがいい。
  • 超福福副業ルーレット:失敗したことがないので失敗したくない。失敗が怖い。ワークライフバランスのなかで顧客のためはもちろん、自分のためにもならないと働く意義がない。ルーレットで仕事が選べれば、失敗はデフォルトとして認められ、不安なく様々な仕事にチャレンジできる。
  • 体験入社お試しワーク:やりたい事(自己成長や自己表現、社会還元)のために働いており、副業も自由にしたいなど良い外部環境を求めている。服装やコンタクト、パンプスの強制など不満。仕事は自分でつくるものでもあり会社に所属するメリットは大きい。就活をもっと試したい。
  • 成功への滑走路:安定した生活とやりたいことを両立させたい。自分のやりたいことの最終到達点を入力すると、キャリアプランや就職先、スキルタスク、収入目安の提案が受けられるようになるといい。

ワークショップ後には、大判のアイデア整理シートに各テーブル内での議論と提案アイデアをまとめ、その成果を発表して参加者全員でシェア。ふんだんなイラストとキャッチーなフレーズで参加者の心を掴みます。
参加者全員による投票を行い、もっとも多く共感を集めたグループを「最優秀共感賞」、次点を「優秀共感賞」として表彰しました。賞に選ばれたグループのメンバーには、今回「はたらく人の味方」をコンセプトにご用意した「牛丼セット」ギフトを副賞としてお贈りしました。

今回のセコムオープンラボは、自己実現や社会とのつながりから早期リタイアまで、働きかたや働く意義の多様化が拡がりつつあるなかで、これから先の令和時代における「はたらく」のあり方を占うべく、さまざまな世代の視点から再定義を試みました。全く異なる視座・価値観の意見が交差することで、それぞれが普段感じている課題感や違和感などの非言語化メッセージが可視化され、多くの気づきと新しい交流が生まれる場となりました。

ここで議論されたアイデアや未来像、課題感は、セコムを含め、参加者それぞれが持ち帰り、各々の視点から新たな“気づき・きっかけ”として活用いただけることと思います。この場を起点に、みなさまの想いが更に高まり、新たな創発が起きていくことを期待しています。

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