開催レポート
第26回:特別回「マイナビキャリア甲子園 2023年度大会」

株式会社マイナビが主催する国内最大級の高校生ビジネスコンテスト「マイナビキャリア甲子園2023」が、2023年7月3日のプレエントリーから2024年3月10日の決勝大会までの約8か月間にわたり開催されました。
本イベントは、高校生(高専含む)学年不問型ビジネスコンテストです。
「Beyond Decade」という大会テーマをもと、「Group Creation」と「Group Innovation」の2つのカテゴリーが構成され、参画企業は自社のビジネス環境や課題から企業テーマを出題。高校生は出題されたテーマを自由に選択してエントリーします。
今回、2,736チーム、10,125名の応募がありました。協賛企業全12社は、各社へのエントリーチームからそれぞれ自社代表となる決勝進出1チームを選出して、メンタリングを通じてサポート。決勝大会はカテゴリー別に開催され、カテゴリー内協賛6社それぞれの代表チームが総合優勝(グランプリ)を競います。

セコムは、社会のなかで多様化する価値観を探索する「セコムオープンラボ」の特別回として、「Group Innovation」のカテゴリーで「セコムグループのサービスを変革して、若い世代の“ほっと”を生み出す、あなたの新しい推しサービスを提案せよ」を企業テーマとして参画。書類審査および動画審査と選考を進め、2024年2月11日の準決勝大会でセコムの代表チームを志学館高等部の3名チーム「無所属部所属」に決定。
2024年3月10日の決勝大会にてテーマ協賛企業6社の代表チームが競い、「無所属部所属」は、惜しくも受賞はなりませんでしたが、若者世代ならではの切実な課題に基づいて提案したアイデアは多くの方の共感を得ました。

エントリーいただいた皆様、取り組んでいただいてありがとうございました!
未来を担う若い世代の想いや期待、さまざまな“ほっと”を社会に発信する機会となりました。

決勝大会ノーカット動画(2番手のセコムチームの主な登場シーンは12:34オープニングと48:38プレゼン)

開催概要

マイナビキャリア甲子園 2023年度大会
プレエントリー開始:2023年7月3日(月)
決勝大会開催日時:2024年3月10日(日)14:00~18:00
決勝大会会場:SHIBUYA STREAM HALL (オンラインで同時生配信)

「Group Innovation」各参画企業のテーマ
  • セコム
    セコムグループのサービスを変革して、若い世代の“ほっと”を生み出す、あなたの新しい推しサービスを提案せよ
  • サマンサタバサ
    サマンサタバサのサービスと商品を通じて、複数の世代が一緒に喜びを共有できる新たなサービスを考案せよ
  • Dynabook
    世界初のノートPCを開発したDynabookだからこそできる、地球人の10年後の未来を革新するPCの価値・サービスを創造せよ
  • TIS
    人々の健康増進や医療現場のサポートなど「ヘルスケア」をテーマに、デジタル技術を使った“未来の医療・健康サービス”のアイデアを提案せよ
  • Visa
    Visaが目指すサステナブルな循環型社会の実現に向けて、日常生活を「UPLIFT」する、Visaデビットを活用した新しいサービス/ビジネス・アイディアを提案せよ
  • ミツカン
    今後10年の日本における食の変化を予測し、生活を豊かにする「味ぽん」ならではの新ビジネスを提案せよ

※「Group Creation」参画企業
エルテス / J-POWER(電源開発)/ 住友林業 / 生命保険協会 /全農(全国農業協同組合連合会) / たかの友梨ビューティクリニック

「Group Innovation」開催結果

総合優勝(無期限海外旅行券100万円分):
  Dynabook代表チーム「秘密結社TONOTOKERAI」
準優勝(図書券10万円分):
  サマンサタバサ代表チーム「トリオンゲーム」
審査員特別賞(図書券5万円分、及びキャリア面談券):
  ミツカン代表チーム「若何せん」

エントリー数

2,736チーム、10,125名

ご挨拶・セコム代表チームメンター

  • セコム株式会社 本社オープンイノベーション推進担当 リーダー
    沙魚川 久史

    セコムでは、研究開発や科学研究助成事業責任者を経て、現在オープンイノベーションチームを率い、各種の新価値探索から「YORiSOS(よりそす)」「dot-i(ドットアイ)」など協働商品開発まで担う。イノベーション推進に向け「セコムオープンラボ」を主宰、挑戦的ブランド「SECOM DESIGN FACTORY」を立ち上げて展開中。社外では、東京理科大学客員准教授を経てフェロー、大学や国立研究開発法人、産学官コンソーシアムなどでも活動。主な著書に『知的財産イノベーション研究の展望(第5章)』(白桃書房)など。

1.マイナビキャリア甲子園2023

社会のなかで多様化する価値観を探索する「セコムオープンラボ」の特別回として、株式会社マイナビが主催する国内最大級の高校生ビジネスコンテスト「マイナビキャリア甲子園 2023年度大会」に参画しました。本イベントは、高校生(高専含む)学年不問型ビジネスコンテストです。

「Beyond Decade」という大会テーマをもと、「Group Creation」と「Group Innovation」の2つのカテゴリーが構成され、参画企業は自社のビジネス環境や課題から企業テーマを出題。高校生は出題されたテーマを自由に選択し、その企業の事業内容やサービスから出題テーマに沿ったアイデアを考えてエントリーします。協賛企業全12社は、各社へのエントリーチームから自社代表となる決勝進出1チームを選出して、メンタリングを通じてサポート。決勝大会はカテゴリー別に開催され、カテゴリー内協賛6社の代表チームがプレゼンテーションをおこない、総合優勝チームが決定されます。

セコムは、「Group Innovation」のカテゴリーで「セコムグループのサービスを変革して、若い世代の“ほっと”を生み出す、あなたの新しい推しサービスを提案せよ」という企業テーマを設定。未来を担う高校生の価値観を大切に、社会に大きなインパクトを与えるような未来の課題の可視化を試みました。

企画書による書類審査で20チームを選考したのち、動画審査による二次予選を行い、セコム代表を決める準決勝大会へ進出する6チームを選出。各チームには、セコムのオープンイノベーションチームからそれぞれ講評と向上ポイントとなるフィードバックを行いました。

2.準決勝大会

協賛企業の代表チームを決める準決勝大会は2024年2月11日(日)午後1時から東京・新宿区の「ベルサール新宿グランド」で開催。協賛企業12社ごとに行われた予選を通過した、合計72チームの高校生が集いました。

緊張感漂うなか、各参画企業からの挨拶でスタート。セコムからは沙魚川より、学生たちへの挨拶と期待の言葉が贈られます。続いて、各企業代表者により決勝大会のプレゼン順序を決める抽選が行われ、セコムは2番手に決定となりました。

開会後は協賛企業ごとに準決勝がおこなわれ、セコムに対しても、決勝進出をかけた6チームから熱の入ったプレゼンが行われました。持ち時間は、プレゼンテーション10分、質疑5分です。
高校生が日常生活で感じた問題意識やそこで見つけた等身大の“課題”。そのためにどういったプロダクトやサービスが必要となるか、どのようなビジネスプランで実現するか。そして、それをどのようにプレゼンテーションで「自分が推せる」サービスとして表現し、共感を得るか。それぞれのチームが半年間かけて探索してきた成果を披露しました。

ここで、各チームの提案ビジネスプランについて、そのエッセンスをご紹介します。

<チーム名/高校名:提案内容>

  • お風呂が沸きました/白陵高等学校:集中できる学習スペースが不足しているという高校生の課題について、「クセになる」をキーワードに高校生の利用に特化した様々な機能やルームを完備した自習室。
  • 小池大名/ドルトン東京学園高等部:若者の一人暮らしにおける課題感がテーマ。独居高齢者宅の空き部屋で大学生がホームステイをすることで、大学生の悩みである住居費の出費と、高齢者の独居問題を解決するマッチングサービス。
  • 無所属部所属/志学館高等部:オンラインと異なりリアルの学校内では人を探す無駄な時間が多いという課題を、屋内位置情報(三次元測位)の共有で解決するアプリケーションサービス。
  • LOSERS/渋谷教育学園渋谷高等学校・渋谷教育学園幕張高等学校・海城高等学校:既存のメンタルヘルスサービスは能動的な対応が必要という点を課題に据え、オフィス内の既存監視カメラの映像をAIでデータ分析し、受動的にメンタルヘルスケアをおこなえるようにしたサービス。
  • nears/山脇学園高等学校:留学先での犯罪被害を問題視。留学特有の環境に対応した非常通報デバイスを用い、留学先で身の危険を感じた際に、デバイスをタップすることにより、セコムへの通報などをおこなうサービス。
  • 5匹のNECOと研修室B/福岡市立福岡西陵高等学校:メタバース上にもう一つの学校を構築して、他参加者との話し合いや互いに講義を主催・参加することで、自己理解・自己成長、自己実現へとつなげることができるバーチャル空間の学校。

「マイナビキャリア甲子園 2023年度大会」の審査基準は、「情報収集力」「テーマ分析力」「実現可能性」「持続可能性」「社会的影響力」、「Group Innovation」の審査項目として「独自性」です。
セコムは企業テーマに設定した若い世代の「ほっと」、自分事として推せる「新しい推しサービス」に加えて、

  • 荒削りでも尖っていて、革新性があるか
  • よりよい社会になるか

といったセコムが大切にしている価値観も重視。各チームの想いのこもった提案に、セコムのオープンイノベーションチームのなかでも多数の意見が出ましたが、若い世代の「ほっと」「推しサービス」、「Group Innovation」らしい「独自性」を決め手に選考を行った結果、決勝に進出するセコム代表チームは、(コロナ過のオンラインを経験した後だから感じる) “リアル空間での人を探すムダな時間”という、等身大の課題を提案した「無所属部所属」に決まりました。

最後に、参加者一同が揃うなか、各社の企業代表者からの結果発表とともに講評があり、ファイナリストとして全12社の代表で決勝に進出する12チームが決定して終了。セコムの代表チームとして選出された「無所属部所属」は、決勝までの1カ月間、セコムのオープンイノベーションチームによるメンタリングとともに、共感を生むメッセージ性やプレゼンテーションに磨きをかけていきます。

各社の代表として決勝進出となった12チームはこちらです。

3.決勝大会

決勝大会は2024年3月9日(土「Group Creation」)および10日(日「Group Innovation」)各午後2時から東京・渋谷区の「SHIBUYA STREAM HALL」で開催されました。全国10,125名から勝ち上がった12チームが各参画企業を代表して戦います。
それぞれのチームがプレゼンを行い、第三者となる審査員4名が採点。会場の様子は「X Live(旧Twitter)」と「YouTube Live」で生配信されます。
3月10日、「Group Innovation」カテゴリーの決勝大会プレゼンの順番は、Visa、セコム、サマンサタバサ、TIS、ミツカン、Dynabook。持ち時間は、プレゼンテーション10分、質疑5分です。

プレゼン本番に先立ち、セコム沙魚川より、セコムのテーマの背景紹介と、セキュリティだけでないセコムグループの事業群、そしてセコムのオープンイノベーションについてライトニングトークを行いました。あわせて、セコム代表チーム「無所属部所属」が大会テーマである「Beyond Decade」、10年後に社会実装されているであろう技術を応用した提案であることと、その検討プロセスを紹介。「無所属部所属」に向けてエールを送りました。

「無所属部所属」は屋内位置情報システムを用いたアプリサービス「いるみる」を提案。セコムと、セコムグループで地理空間情報サービス事業を手掛ける「パスコ」、そしてセコムが出資するスタートアップの技術を活用して、高さ(フロア)を含む屋内の位置を高精度に測定表示する三次元測位アプリを構築して校内で先生や友人を探すもったいない時間を省き、自主的な学校生活を実現するサービスです。

コロナ禍で経験したオンライン、そして現在オンライン越しの日常となって改めて感じる「リアル空間での人を探す無駄な時間」という課題に着目し、高校生の貴重な”青春“の時間を確保するだけでなく、社会課題とされている教員の負担の軽減、避難誘導などの防災にも役立つなど、あらゆるシーンでの活用が期待されるものでした。

リハーサルでは「緊張で立てない」とナーバスになっていたものの、本番での「無所属部所属」のプレゼンは聞いている人の心を揺さぶるような、堂々としたものでした。プレゼン後の審査員の厳しい質疑応答にも対応し、会場は暖かい拍手に包まれました。

全チームのプレゼン終了後、審査員による審査と併せて、インターネット視聴者が投票をする視聴者投票を経て、結果発表となりました。
「無所属部所属」は今回惜しくも受賞は逃しましたが、審査員からは『コロナや震災などを経ての若者の「不安」と、位置情報アプリという若者の遊びの「トレンド」をうまく融合したサービス』、『自分ごとの提案になっていて素晴らしい』といったコメントが寄せられ、若者世代ならではの課題に着目したことへの称賛の声もいただきました。

「マイナビキャリア甲子園2023年度大会」では、高校生自らがセコムの幅広い事業範囲を理解し、セコムのリソースを活用・価値を再編集することにより、社会課題を解決するビジネスアイデアを発案しました。私たちが「セコムオープンラボ」で大切にしている、社会のなかで多様化する価値観を探索するという視点からも、未来を創っていく高校生のさまざまな“ほっと”や自分事として“推したい”価値の拡がりをみることができました。あわせて、高校生にセコムへの理解を深めてもらうとともに、高校生と一緒になってセコムがサービスを創る際の想いを社会に発信する貴重な機会にもなりました。

高校生の、自分達の手で “ちょっといい社会”を創りたいという想いとそのプランは、セコムのメンバーを含め多くの共感を呼びました。参加された皆様が、これから実際に新たな価値創造を担っていくことを期待しています。

最後に、セコム代表チーム「無所属部所属」のメンバーに感想を伺いましたので、ご紹介します。
(学年は開催時のもの、掲載は50音順です)

小曽納伶奈さん<志学館高等部 2年生>
私はマイナビキャリア甲子園に参加し、たくさんの学びや出会いを得ることができました。
仲間と考えたアイデアが、審査を通過するたびに、大きく具体的な形となっていき、決勝大会では残念ながら入賞することはできなかったものの、半年間考えぬいたアイデアの集大成を、自信を持って発表することができ、その経験は私自身の大きな誇りになりました。
また今回の取り組みを通して一緒に戦った同世代の皆さん、セコムの企業の皆さんと出会うことができ、共に過ごした時間は、とても刺激的で、貴重な経験になりました。ありがとうございました。
マイナビキャリア甲子園のなかで感じた、喜びや悔しさ、学びや出会い。
すべての時間と経験が高校生生活での貴重な『青春』の一つです。
負けた悔しさ、ここまでやれたという自信を、これからの新たな挑戦の支えとして頑張っていきたいです。

酒井裕美さん<志学館高等部 2年生>
無所属所属の活動の集大成として探し出したのがマイナビキャリア甲子園でした。過去の決勝大会プレゼンを見た時、同じ高校生が行なっているレベルの高い、かつ今まで考えることもなかった『ビジネス』視点でのアイデアに圧倒され、不安が募るスタートでした。
ただ、このコンテストを通して感じたことは、私たちが思っている以上に社会というものを知らなかったということです。
今回エントリーしたセコム株式会社は、警備の会社だと思っていましたが、情報セキュリティなど幅広い事業に力を入れていました。また、ビジネス案を考えるとなると、現在どんなニーズがあるのか、それを実現する上で何が必要なのか、そしてより多くの人に使ってもらうにはどうすれば良いのか、考えれば考えるほど課題が出てきて、世に出回っている多くの製品の制作に関わる人たちの努力や思いを知ることができました。
この経験を通して、新しい視点を得ることができ、そして何より高校生という早い段階に挑戦できたことが人生レベルで大きな武器になると思いました。
沙魚川さんはじめ、多くの社員の方々、本当にありがとうございました。

田中未来さん<志学館高等部 2年生>
今回参加したマイナビキャリア甲子園はいわゆるビジネスコンテストですが、私たち無所属部所属にはこのような大会を経験したことのあるメンバーがいませんでした。始めは企画書の作り方すらわからなかったので、学校の教科書に書いてある企画書の作り方を参考にした覚えがあります。ただ、チームとしてできないなりにも全力でやりきろうという思いがあったので、それが結果として決勝大会まで進むことができた要因だったと思います。
やっとの思いで企画書を作り書類審査を通過したと思ったら、次の審査はプレゼンを動画に撮って提出という、審査ごとに形式が変わる大会なので、「伝える」方法をたくさんの形で学ぶことができましたが、その分自分たちが考えたアイデアを、形式が変わっても他者に伝えられるよう深く考え抜いて理解する必要があったので、そこが難しく、考えることにたくさん時間を使いました。
大会にエントリーした当初は、自分にとって一切経験のないことに挑戦するわけなので、すべてにおいて全く自信が持てなかったのですが、決勝進出が決まった時からは“自分たちで考えたものを伝える”ということに、自信を持っていいかなと思えるように成長しました。
マイナビキャリア甲子園に参加して、セコム代表としてチームを選んでいただいて、たくさんの新たな経験と新たな発見に出会えました。アイデアを考えることや伝えることにすごく楽しさを感じて、この先の自分の「やってみたい」につながりました。ここには書ききれないほどの体験がたった数ヶ月間に詰まっていて、私たち無所属部所属を選んでくださったセコムの皆さまをはじめチーム一同感謝しています。

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