開催レポート
第20回:特別回「キャリア・インカレ2020」

株式会社マイナビが主催する国内最大級の学生ビジネスコンテスト「キャリアインカレ2020」が、2020年6月1日のプレエントリーから2021年1月9日の決勝大会までの半年間にわたり開催されました。
本イベントは、マイナビが運営する大学生キャリア支援プロジェクトの一つです。
参画企業が「Change Standard」というビジョンをもとに、自社のビジネス環境や課題から企業テーマを出題。学生は2~4名でチームを組み、取り組みたいテーマにエントリーします。
今回、プレエントリー数2918名、本エントリー数720チームの登録がありました。参画企業5社が、各社へのエントリーチームからそれぞれ自社代表となる決勝進出1チームを選出し、決勝大会で総合優勝(グランプリ)を決定します。

セコムは、「セコムオープンラボ」の特別回として、「“新しい日常”の課題に注目し、新しい当たり前を生み出すセコムの遊び心ある新サービスを創案せよ!」をテーマに参画。一次予選および動画審査と選考を進め、2020年12月20日の準決勝大会でセコムの最終代表チームを「よしこ」に決定。
2021年1月9日の決勝大会にてテーマ協賛企業5社の代表チームが競い、「よしこ」は、グランプリ受賞はなりませんでしたが、大学生世代ならではの切実な課題に基づいて提案したアイデアは多くの視聴者の共感を得ました。

エントリーいただいた皆様、取り組んでいただいてありがとうございました!
未来の社会に向けたさまざまな想いを高める機会となりました。

開催概要

キャリアインカレ2020

  • プレエントリー開始:2020年6月1日(月)
  • 決勝大会開催日時:2021年1月9日(土)17:00〜 20:00
  • 会場:オンライン配信(新宿ミライナタワー)
各参画企業のテーマ
セコム:“新しい日常”の課題に注目し、新しい当たり前を生み出すセコムの遊び心ある新サービスを創案せよ!
エーザイ:製薬会社×異業種コラボで実現する、まったく新しいヘルスケアサービスを立案せよ
生命保険協会:最新技術を活用し、日常生活を取り巻くさまざまなリスクに備える画期的な生命保険会社のサービスを提案せよ
ディーエイチシー:若者が健康で美しくあるためのサブスクリプションサービスをヒットさせよ!
フェリカネットワークス:『スマホをかざして電子マネー』を大学生に普及させるアイディアを提案せよ!

開催結果
グランプリ(奨学金100万円):ディーエイチシー代表チーム「バリ3」
ファイナリスト(奨学金10万円):決勝進出各チーム

エントリー数
プレエントリー数2918名、本エントリー720チーム

ご挨拶

  • セコムオープンイノベーション推進担当 リーダー
    沙魚川 久史

    セコムにてオープンイノベーションチームを率い、新価値提案から協働商品開発まで担う。イノベーション推進に向け「セコムオープンラボ」を主宰、新ブランド「SECOM DESIGN FACTORY」を立ち上げ。東京大学イノベーションマネジメントスクール修了、東京理科大学大学院 総合科学技術経営研究科修了、同院イノベーション研究科修了。
    社外では、東京理科大学客員准教授を経てフェロー、科学技術振興機構専門委員などを兼任。ものこと双発学会を共同創設、前事務局長。専門領域はサービスサイエンス・技術経営・知財マネジメントで、大学や国立研究開発法人、産学官コンソーシアムなどでも活動しながら公私にわたりサービス創造の視座より共創協働を推進している。

1.キャリアインカレ2020

2018年、2019年に引き続き、「セコムオープンラボ」の特別回として、株式会社マイナビが主催する国内最大級の学生ビジネスコンテスト「キャリアインカレ2020」に参画しました。本イベントは、マイナビが運営する大学生キャリア支援プロジェクトの一つです。

参画企業が「Change Standard」という大会ビジョンをもとに、自社のビジネス環境や課題から企業テーマを出題。学生は2~4名でチームを組み、取り組みたいテーマのビジネスプランを企画書に起こしてエントリーします。参画企業5社が、各社へのエントリーチームからそれぞれ自社代表となる決勝進出1チームを選出し、決勝大会で総合優勝(グランプリ)が決定されます。

セコムは、「“新しい日常”の課題に注目し、新しい当たり前を生み出すセコムの遊び心ある新サービスを創案せよ!」というテーマを設定。未来を担う学生の価値観を大切に、社会に大きなインパクトを与えるような未来の課題の可視化を試みました。

エントリーされた企画書による一次予選書類審査で20チームが選考され、二次予選として動画審査を実施して準決勝大会へ進出する8チームを選出しました。準決勝に進出する各チームにはそれぞれアップデートを促すフィードバックを行っています。

2.準決勝大会

準決勝大会は2020年12月20日(日)正午から東京・中央区の「ベルサール八重洲」で開催。新型コロナウイルスの感染拡大の社会情勢を踏まえ、準決勝に出場する大学生のチームはオンラインでの参加となりました。

緊張感漂う中、各参画企業代表者により決勝大会のプレゼン順序を決める抽選と、挨拶が行われました。抽選の結果、セコムは4番手に決定。企業代表者挨拶では、セコムオープンイノベーション推進担当リーダーである沙魚川より、学生たちへの挨拶と期待の言葉が贈られます。

その後はセコムのプレゼンルームにおいて、決勝進出をかけた8チームの学生たちにより熱の入ったオンラインプレゼンが行われました。持ち時間は、プレゼンテーション13分、質疑5分です。
学生たちが日常生活で感じた不自由さ、こうあってほしいという気づきを大切にし、そこで見つけた“課題”と“遊び心”。そのためにどういったプロダクトやサービスが必要となるか、どのようなビジネスプランで実現するか。そして、それをどのようにプレゼンテーションで表現し、視聴者の共感を得るか。それぞれのチームが半年間かけて探索してきた成果を披露しました。

ここで、各チームの提案ビジネスプランについて、そのエッセンスをご紹介します。

<チーム名/大学名:提案内容>

  • 未見/京都大学、早稲田大学、東京農工大学:おむつに装着する端末を使って子育てをサポートする、赤ちゃんのご機嫌予報サービス。
  • よしこ/昭和女子大学:SNSの投稿を見たときのユーザーの表情から感情を解析し、個々人にとっての不快な投稿をAIが学習することで、表示しないようにしてくれるサービス。
  • よしなに/明治大学:店舗カメラ情報から混雑状況を把握し、ユーザーに最適な遊び場所や食事場所を提案してくれるサービス。
  • BALIPHON CLASS/産業能率大学:「セコム・マイドクターウォッチ」を使用し、自転車の自動施錠による盗難防止と事故時の救急通報を行うサービス。
  • Dice/跡見学園女子大学:ドライブレコーダーの映像情報を集約し、ユーザーが外出先の様子をドラレコからリアルタイムで確認できるサービス。
  • inforiaZ/近畿大学:災害などの非常時に、スマートフォンを持っていない人の情報収集を手助けする街頭設置端末。
  • MeiMisa/横浜国立大学、国際教養大学:隣人との騒音トラブルを防止するシステム。集合住宅の各部屋に騒音測定・通知システム設置し、自室の音の大きさを可視化。
  • ST/東京理科大学:思い出の物・体験をVR化して残し、風化・忘却・劣化を防ぐサービス。プライベートなものと、友達とシェアするものの2種類に分別して保管。

「キャリアインカレ2020」の審査基準は、「テーマ分析」「課題洞察力」「実現可能性」「持続可能性」「社会的革新性」「本領発揮」です。セコムは、テーマ設定した<学生自身が感じる「新しい日常」、自身の体験・経験からくる「課題」、楽しさ心地よさなどエモーショナルな価値となる「遊び心」>に加えて

  • 荒削りでも尖っていて、革新性があるか
  • よりよい社会になるか

といった、セコムが大切にしている価値観も重視。各チームの想いのこもった提案に、セコムの審査員の中でも多数の意見が出ましたが、「新しい当たり前」というセコムのテーマ、「Change Standard」という大会ビジョンを決め手に選考を行い、全員の一致によりセコム代表チームは“SNSをめぐる課題”を提案した「よしこ」に決まりました。

準決勝大会は、最後に、各社の企業代表者からの結果発表とともに講評があり、ファイナリストとして各社の代表で決勝に進出する5チームが決定して終了しました。決勝進出チームには奨学金10万円が贈られます。

各社の代表として決勝進出となった5チームはこちらです。

3.決勝大会

決勝大会は2021年1月9日(土)午後5時からZOOMによりオンラインで開催されました。新型コロナウイルス感染拡大の社会情勢を踏まえ、新宿ミライナタワーを拠点に各学生・審査員がリモートで参加。全国2918名から勝ち上がった5チームが各参画企業を代表して戦います。
それぞれのチームがプレゼンを行い、第三者となる審査員が採点。会場の様子は「YoutubeLive」で生放送されます。
プレゼンの順番は、フェリカネットワークス、生命保険協会、DHC、セコム、エーザイ。持ち時間は、プレゼンテーション13分、質疑5分です。

プレゼンに先立ち、セコム沙魚川より、セコムのテーマ紹介と、セコム代表チーム「よしこ」の検討プロセスを紹介。「よしこ」が自分たち世代の価値観をもとに、「これを解決したい!」という強い想いで課題解決の方法を探ってきたこと、また、解決方法探索の中、ユーザーの声を取り入れて方針転換をするというユーザー志向で取り組んできたことを視聴者へ伝え、「よしこ」に向けてエールを送りました。

「よしこ」はSNSで個々人にとっての不快な投稿を学習し、非表示にしてくれるサービス「perSoNS(パーソンズ)」を提案。「perSoNS」は、SNSの投稿を見たときのユーザーの表情から感情を解析し、コンテンツ内容と紐づけてAIが学習し、ユーザーが不快に感じる投稿を表示しないようにしてくれるサービス。

SNSが生活の中心にある10代~20代の受ける不快感・ダメージを減らす、切実な課題であり、スマホを持たせることに抵抗を持つ親御さんにとっても新しいペアレンタルコントロールとして作用します。ビジネスモデルとしても、フリーミアムやSNS視聴率データを活用するモデルとして新鮮さがありました。

動画審査、準決勝と試行錯誤しながら改良を加えていったビジネスプランに、サービスのイメージを視覚的に伝える操作デモ映像や視聴者の共感を呼ぶストーリーテリングを駆使するなど工夫を凝らし、堂々とプレゼンを演じ切ります。リアルとサイバーの両方に強みのあるセコムならではのビジネスアイデアとして審査員の厳しい質疑応答にも対応し、視聴者からは多くの応援コメントが集まりました。

その後、全チームのプレゼン終了後に結果発表となりました。「よしこ」は、グランプリ受賞は逃したものの、多くの視聴者から共感が集まり、また審査員からはセコムの新しい可能性への驚きの声もいただきました。

今回の「キャリアインカレ2020」では、時勢により現場観察もままならず大変だったと思います。そんな中でも、大学生自らがセコムのさまざまな事業範囲を調査し、新しい社会の課題をセコムのリソースで解決するビジネスアイデアを検討するという取り組みにより、新しい時代の価値観や課題感と私たちセコムがサービスを創る際の想いとを共鳴させる貴重な機会となりました。

大学生の、従来の当たり前に捉われない新しい消費の価値観と、自分達の手で “ちょっといい社会”を創りたいという想いとそのプランは、多くの共感を呼びました。参加された皆さまが、これから実際に新たな価値創造を担っていくことを期待しています。

最後に、セコム代表チーム「よしこ」のメンバーに感想を伺いましたので、ご紹介します(一部抜粋、学年は開催時のもの、掲載は50音順です)。

小田桐 朱李さん<昭和女子大学 3年生>
チーム「よしこ」の強みは3人とも違う良さを持ちあわせていたことだと感じています。お互いの長所が調和し合って、それぞれの短所をカバーできるという好循環が、書類審査から決勝大会まで常に進化したプレゼンを生み出すことができた理由だと考えています。
“もがく。”という大会のコンセプト通り、私たちは毎日もがいて、時には立ち止まることがあってもセコムの方からの助言をヒントに、もがき続けるということを繰り返しました。自信を持って言えることは、どのチームよりも長い時間3人で話し合いを繰り返し、練りに練ったビジネスプランを立てることができたということです。脳みそが疲れるまで『perSoNS』について考え、次の日もまた考えて、バイト中でも頭の片隅には『perSoNS』、というように常に私たちが世の中に本気で送り出したいサービスについて考え続けることで、より磨きのかかった提案をすることが可能になったと感じています。
また、キャリアインカレでの収穫は、普通の大学生生活を送っているだけでは得られない実践的な学びを得られたことです。実際に自分達でサービスを考案し、企業の方の知見も含めて実現可能なレベルまでサービスを創り上げるプロセスには、自分達だけでは思いつかないアイデアや専門的な知識を吸収する機会が多くあり、すごくワクワクしながらキャリアインカレに取り組むことができました。

小山田 みやびさん<昭和女子大学 3年生>
今回の経験から大きく2つのことを学びました。1つ目は「学ぶことに終わりはない」ということです。今回私たちが取り扱ったテーマは人間の「不快感」ですが、初めは分からないことだらけで、壁にぶつかる毎日。「ただ自分達で悩んで、机上の空論で話を進めていても意味ないから、専門家の方に話を伺おう」今思うと、私たちの中でこの意見が出た時に、ようやく「よしこ」としての一歩が踏み出せたのかもしれません。今回の経験を通して多くの知識を得ました。「社会人になっても、常に学び続ける人でありたい」そう強く思います。
2つ目は「愛する」ということです。大学の授業等を通して、自分でビジネスを考案することは行ってきましたが、こんなにも自分達のサービスを愛したのは初めてでした。それくらい時間も想いも注いでいたのだと思います。「perSoNS」を利用してもらうことで、どんな価値が生まれるのか。描く未来図は何なのか。3人で真剣に向き合い、このサービスが実現することを夢見て語り合った時間はとても楽しく、最高でした。
キャリアインカレ2020は、私にとって人生の糧となるものです。セコム様にメンタリングをしていただき、ビジネスの基本やビジネスを生み出す上で大切なことを多く学びました。このような貴重な経験をさせていただいたことに、感謝の気持ちで一杯です。セコム様の代表として「よしこ」が決勝の舞台に立てたことをとても光栄に思います。

野久尾 有紗さん<昭和女子大学 3年生>
ビジネスコンテストを通して二つのことを学びました。
一つは「一人でできることには限界がある」ということ。自分たちのプランに対する考察を深めるには3年間大学で学んでいる領域をはるかに超えた知識が必要でした。自分の無知さに心が締め付けられることもありましたが専門家の方に聞き、知識を吸収すること。貴重な知識をきちんとアウトプットすること。当たり前かもしれませんが、これこそが学びの真の意味だと感じました。自分だけで解決しようとせずに周囲の方を頼る、また頼る勇気を持つことがとても重要です。ご協力していただいた皆様には感謝の気持ちでいっぱいです。
もう一つは「信じ抜く」こと。「このビジネスプランで果たして大丈夫なのだろうか」という不安さえも押さえ込めるほど時間と労力をかけました。大晦日もお正月も気づいたときには過ぎていた、そんな感覚です。時間を注ぐほどサービスに対して自信と愛着が湧き、「このプランなら世界を変えられる、今SNSで苦しんでいる人を幸せにできる」と強い意思が生まれました。プランが現実的であるか、将来性があるかも大切ですが、自分自身が考案するプランの可能性を信じ、愛情を捧げられるかが最も重要だと思っています。
惜しくも優勝は逃しましたが悔いはありません。大学生活で4度ビジネスコンテストに参加してきましたが、やりがいも自分の成長も感じられ、有終の美を飾ることができました。

※撮影時のみマスクを外しています

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