開催レポート
第12回:「ミレニアルカルチャー時代のミンナの価値観」

今回は、「ミレニアルカルチャー時代のミンナの価値観」をテーマに、産業界の参加者とともに、新しい消費世代として多数の大学生/院生を交えて、新しい時代/新しい世代の価値観をディスカッションさせていただく機会を設定しました。

「ミレニアルカルチャー時代」とは、ここでは、物心ついたときからデジタル化とネットワークが当たり前にあり、絶え間ないつながりに慣れ親しみながら育った世代を中心に生まれる、新しいカルチャーとその時代感を指しています。特に、“エモさ”や“文脈/コンテキスト”が商品の機能性それ自体よりも重視されるようになってきた現代の価値観について、多様な世代で紐解きながらその先の課題を展望することが目的です。

多くの若者世代から企業のミドル世代まで、幅広い世代が集まった今回、まずはアイスブレイクを通じてチームビルディングを行った後、デジタル化の先にある現代的なカルチャーや価値観についてワークショップを展開しました。
ワークショップでは、社会が豊かに成熟化していくなかで高まっていく現代の嗜好のなかで、世代ごとに異なる価値観のギャップを描きながら、“エモさ”に表現されるような、物質そのものよりも、そのモノが持つ背景·文脈/コンテキストが重要な選択要因になっている消費感について議論が進みました。多様な参加者の視点から価値観や課題感を共有して、新しい時代に向けた欲求や求めるニーズをディスカッションしながら、世代を超えて、未来に向けた想いを可視化する場として盛会な開催となりました。

開催日時

2018年9月27日(木)

総合ファシリテーター

  • 沙魚川 久史

    セコムオープンラボ総合ファシリテーター。東京理科大学 総合研究院 客員准教授、国研 科学技術振興機構 専門委員、ものこと双発協議会 事務局長。
    セコム本社企画部にてコーポレート全般の企画業務を担当する傍ら、イノベーション推進に向け「セコムオープンラボ」を主宰。東京大学イノベーションマネジメントスクール修了、東京理科大学大学院 総合科学技術経営研究科修了、同院イノベーション研究科修了。専門領域はサービスサイエンス・技術経営・知財マネジメントで、大学や国立研究開発法人、産学官コンソーシアムなどでも活動しながら公私にわたりサービス創造の視座より共創協働を推進している。主な著書に『知的財産イノベーション研究の展望』(白桃書房)など。

当日の模様

今回は、毎年夏季に開催して好評を得ている学生と企業人が交わる回として、大学/大学院の参加者も交えて開催しました。今回のテーマは「ミレニアルカルチャー時代のミンナの価値観」。新しい消費世代として大学/大学院からの参加者約40名と、様々な企業の企画部門約40名とで新しい時代/多様な世代の価値観のギャップをディスカッションしました。

「ミレニアルカルチャー時代」とは、ここでは、物心ついたときからデジタル化とネットワークが当たり前にあり、絶え間ないつながりに慣れ親しみながら育った世代を中心に生まれる、新しいカルチャーとその時代感を指しています。特に、“エモさ”や“文脈/コンテキスト”が商品の機能性それ自体よりも重視されるようになってきた価値観について、多様な世代で紐解きながらその先の課題を展望することが目的です。
冒頭、イントロダクションでは、異質な者同士のコミュニケーションを重視した「セコムの“共想”」とこのセコムオープンラボが持つ意味、この場から生まれている様々な社会実装について、フロアにインプット。そして、「ミレニアルカルチャー時代」を巡る幾つかの切り口と、今回のテーマに込めた背景について共有しながら、展望する議論のトーンを整えていきました。
今回は、アイスブレイクとして、幅広い世代が集うチームビルディングのために世代の異なる参加者が相互理解を深めるゲームを実施。企業人と学生世代の間のライフスタイルや価値観の違いを可視化しながらグループ内の交流を深め、チームビルディングを進めました。
続くワークショップでは、大学生/院生と業種業界の異なる企業人による14大学・27社・約80名の参加者が、12グループに分かれてワークを開始。ワークタイムを細かく区切り、議題を変えながら、各々が感じている新しい時代のカルチャーとその背景、未来にむけて顕在化しそうなニーズについて、それぞれの視点から議論を展開します。
ワークの前半戦は、新しい世代の感性をベースに、新しいカルチャーについて多様な価値観で発散させる時間帯としました。社会が豊かに成熟化していくなかで、高まるパーソナライズ化への嗜好、あるいは、デジタル化とネットワークが当たり前にあり、絶え間ないつながりの中で新しい時代に生まれるカルチャー。そのなかで、未来にむけて顕在化しそうな新しい価値観や課題を出しいきながら、今どういう感覚が大事なのか、その背景となる要因を可視化していきます。主観を大事にしながら、自分達の非言語的なライフスタイルを言語化する議論を行いました。
また今回は、集まる参加者の幅広い世代感と専門性を反映して、軽食のコンセプトを「多様性カラフルベーカリー」に設定。夏の余韻を感じるカラフルな飲料と、できたてパンが並ぶベーカリーを会場内に設置しました。まさに、多様な価値観と世代間のギャップを五感で体験するケースとして演出しながら、賑わうワークに華を添えて会場を彩りました。
途中、コーヒーブレイクタイムには、参加者が大きく移動して他グループとの交流も交えながら、他の議論を自分達の議論にフィードバックするマッシュアップを進めます。
コーヒーブレイクを挟んだ後のワークショップ後半戦は、前半のワークを踏まえて、「新しい時代のあんしん感を生む要素や新サービスの種などにつながる新提案」を探索。前半のワークで出てきた世代ごとに異なる価値観のギャップを描きながら、“エモさ”に表現されるような、物質そのものよりも、そのモノが持つ背景·文脈/コンテキストが重要な選択要因になっている消費感について議論が進みました。
ここで出てきた幾つかの興味深いアイデアを(名前だけですが)紹介します。
  • 自分を第三者視点で見ながら、ときめきを大事に自立して毎日輝けるよう支援する機能サービス「じりつサプリ」
  • 大量の情報から、他人のリア充や不安になるネタを排除した、自分が見たい情報だけをフィルタして教えてくれる自分応援「LOVE YOURSELFシステム」
    • 周囲の人の思いを可視化して、譲り合いやパーティでのコミュニケーションを支援するメガネデバイス「KYG(空気読みたいグラス)」
    • 周辺環境は自分で選べない、自分にあった人たちが住む地域をおすすめする「流動不動産屋」
    • 終電時間、移動時間、待ち時間、睡眠時間、暇な時間などを効率的に解決するために、回転ずしのように、プライベートプレートと移動を一緒にして、移動を友達と好きなことが出来る空間に変える「人間回転ずし」
  • 認められたいけれど批判されたくないという期待に応えて、どういう写真がポストに映えるか、どの範囲に発信すべきかをアドバイスしてくれる「ストレスフリー発信支援」
  • 独りでいたい時や孤独が嫌な時など両極端の欲求のなかで毎日に緩やかな癒しと新鮮さを提供するために、パーソナライズされたレコメンドシステムに偶然の出会いを組み込んだ「今日のエモ占い」
ワーク後には、グループごとに大判のアイデア整理シートに各グループ内の議論をマッピングしていき、その成果を発表。写真やメモを撮りながら、全グループの議論をシェアしました。
その後、参加者全員による投票を行い、もっとも多く共感を集めたグループを「最優秀共感賞」、次点を「優秀共感賞」として表彰しています。賞に選ばれたグループのメンバーには、それぞれに「セコムの食」を副賞としてお贈りしました。
今回のセコムオープンラボは、伝統的な価値観とのギャップとして、デジタル化とネットワークが当たり前にあり、絶え間ないつながりに慣れ親しみながら育った世代を中心に生まれる新しいカルチャーとその時代感を可視化し、共有することで、対話を深めていきました。今回、価値観としての側面からは、情報やモノや機能が飽和するなかで、事前に予測や制御がし難い「ときめき」や「インスピレーション」、「他人との距離感」といった人間性や社会性のなかに本質的な心地の良さを求めるアイデアが集まりました。
社会が豊かに成熟化していくなかで、高まっていく現代の嗜好について、様々な世代の言葉から表現される想いや議論を通じて、参加者全員に新たな“気づき・きっかけ”を持ち帰っていただけたことと思います。また、世代を超えた新しいつながりが生まれる交流の場にもなりました。この場を起点に、様々なみなさまの想いが高まって新しい創発が起きていくことを期待しています。

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