開催レポート
第11回:Workplace2030:オフィスの未来」

今回は、「Workplace2030:オフィスの未来」をテーマに、現代的な価値生産において必要となってきている新しい機能や、それに伴いオフィスに求められてくるもの/ことなど、働く“場”がどう変わっていくのかディスカッションする機会を設定しました。
私たちは、異質な者同士の議論の交差点から新しい創造が進むと考えていて、そのために共感や気づき、想いが高まる場が重要と捉えています。昨今では、アカデミックな側面からも現代的な組織論のなかで「職場の孤独」は関心の高い研究領域となっています。ICT技術の進展と環境の変化から、コワーキングスペース、シェアオフィス、リモートワークなどが提案されるなか、作業環境となる“場”の本質的な未来について、働き手としてのユーザー目線からもやもやしている課題を交換しながらゼロベースで新しいオフィス像を展望することが目的です。

話題提供では、ニューヨーク発のオフィススペース企業「Wework」の国内マーケティングを一挙に手掛けるOfaaSの大島さんから、今年日本に上陸したWeworkが展開するオフィスの新しい形などをご紹介いただきました。

その後のワークショップでは、新事業担当や総務系人事系のワークスタイル担当など、業種業界を越えた多様な参加者が、さまざまな視点から「価値創造のために、自分たちはどういう場で働きたいのか」について課題感を共有しながら「オフィスの未来」の在り方について議論が進みました。未来につながる、あたらしい働く場に求められる要素を言語化して可視化する場として盛会に開催することができました。

開催日時

2018年5月25日(金) 17:00〜 20:00

話題提供者

  • 大島 吾希洋

    株式会社OfaaS 代表取締役社長
    ソフトバンク株式会社 法人事業戦略本部 副本部長
    2006年ボーダフォン(株)に入社した後、ソフトバンクモバイル(株)を経て、ソフトバンクテレコム(株)で東京営業本部 部長、国際営業本部 部長、SoftBank Telecom Singapore pte.Ltd代表取締役社長を歴任。
    その後、ソフトバンク(株)にて、サービスコンテンツ本部長としてスポーツ事業などに携わり、2018年4月よりWeworkの仲介業のために設立されたソフトバンクの100%子会社である(株)OfaaSの代表取締役社長。ソフトバンクが出資するWeworkの国内マーケティングを担っている。ソフトバンク(株)の法人事業戦略本部 副本部長も兼任している。

総合ファシリテーター

  • 沙魚川 久史

    セコムオープンラボ総合ファシリテーター。東京理科大学 総合研究院 客員准教授、国研 科学技術振興機構 専門委員、ものこと双発協議会 事務局長。
    セコム本社企画部にてコーポレート全般の企画業務を担当する傍ら、イノベーション推進に向け「セコムオープンラボ」を主宰。東京大学イノベーションマネジメントスクール修了、東京理科大学大学院 総合科学技術経営研究科修了、同院イノベーション研究科修了。専門領域はサービスサイエンス・技術経営・知財マネジメントで、大学や国立研究開発法人、産学官コンソーシアムなどでも活動しながら公私にわたりサービス創造の視座より共創協働を推進している。主な著書に『知的財産イノベーション研究の展望』(白桃書房)など。

当日の模様

今回は、「Workplace2030:オフィスの未来」と題して、様々な企業の新事業担当者や総務系人事系のワークスタイル担当といった産業界の参加者と一部学生の参加者も交えて、多様な業種・業界のワーク環境をベースに約90名でアイデアディスカッションを開催しました。

ICT技術の進展と環境の変化から、コワーキングスペース、シェアオフィス、リモートワークなど新しいオフィスの在り方が提案されるなか、働き手の目線から見た、作業環境となる“場”の本質的な未来はどうあるべきなのでしょうか。
私たちは、異質な者同士の議論の交差点から新しい創造が進むと考えていて、そのために共感や気づき、想いが高まる場や環境が重要と捉えています。一方で、これ以外にも参加者の視座毎に様々な課題感があるはずです。昨今では、アカデミックな側面からも現代的な組織論のなかで「職場の孤独」は関心の高い研究領域となっています。
イントロダクションでは、こうした異質な者同士のコミュニケーションを重視した「セコムの“共想”」とこれまでの成果、そして、「オフィスの未来」を巡る幾つかの切り口と今回のテーマに込めた背景について、フロアにインプット。現代的な価値生産において必要となってきている新しい機能や、それに伴いオフィスに求められてくる機能など、働く“場”はどうあるべきなのか、参加者の中でもやもやしている課題を共有しながら展望する議論のトーンを整えていきました。
今回の話題提供は、「Workplace2030:オフィスの未来」というテーマにあわせて、Weworkの国内マーケティングを担う(株)OfaaS代表取締役社長の大島吾希洋さんです。
「Wework」は、コミュニケーションが活性化するシェアオフィスを構築しているニューヨーク発の企業で、2010年の設立以降、世界21ヶ国/72都市/242拠点/会員数21万人以上にサービスを展開しています。
大島さんからの話題提供では、Weworkが提案するオフィススペースの新しい価値「オープンで居心地が良い、仕事がしたくなる環境」、「「会社と会社」「人と人」をエンゲージする」、「仕事以外の雑務をする必要がない環境」などについてご紹介がありました。長年かけて集めてきたデータをスペースの設計に活用し、オフィスや什器を働き手のためのものとして再構築していること、企業と企業がつながるコミュニケーションを重視していることなど、さまざまな仕掛けを具体的な映像などを交えてインプットをいただきました。
続くワークショップでは、52団体91名の参加者が、12グループに分かれてワークを開始。ワークタイムを細かく区切り、議題を変えながら、働き手として私たちはどういう“場”で価値生産を進めたいのか、ユーザー目線からみたオフィスの未来について、現状ではまだ捉えきれていない新しい課題とともにアイデアを議論します。
ワークの前半戦は、課題探索の時間帯です。オフィスに変化が迫られるわけ、オフィスに不足している機能·人·物·情報·環境について、それぞれの視座から課題を挙げて発散させながら議論が促されます。コワーキングスペース、シェアオフィス、リモートワークなど現在提案されているオフィス像を一度疑ってみながら、オフィスを巡るトレンドの変化、環境の変化について、普段感じているもやもや感など非言語的なメッセージを言語化し、可視化していきました。
今回は「オフィス」を話題にしているということもあり、軽食のコンセプトは「話が弾むオフィスのフード」に設定。オフィスのランチ会をイメージして、おべんとう作家Chiobenさんに美味しく華やかな特製Bentoを作成いただきました。また、ワークしながら食べられるよう、スティック型のケーキもご用意。理想のオフィスを考える想像力を刺激しながら、コミュニケーションが進む議論の場を演出しました。
途中、コーヒーブレイクタイムには、ワールドカフェよろしく参加者が大きく移動して他グループとの交流も交えながら、マッシュアップを進めます。
コーヒーブレイクを挟んだ後のワークショップ後半戦では、前半のワークで出てきた課題を踏まえ、グループごとに「“Workplace2030:オフィスの未来”につながる新提案(新しいオフィスの在り方)」の探索を行いました。今回は、誰もがユーザーとして関係するテーマですから、供給サイドではなく、需要サイドに振り切った視点から未来の社会に求められるアイデアを生み出し、掘り下げていきました。
ここで出てきた、幾つかの興味深いアイデアを(名前だけですが)紹介します。
  • リモートには非言語化メッセージは届かない。一方で、集うための通勤時間は非生産的。また、上司のいる空間では忖度して新しい発想ができない。そこで、会う必要があればすぐ会える環境を保ちつつ、固定オフィスを廃止する仕組みとして、一人ひとりが常に移動空間内でワークをする「移動オフィス」を提案。
  • コミュニケーションの質を高めることと、リラックスできる心地のよいスペースが重要。そこで、バーチャル空間にワークスペースを用意して、仕事とコミュニケーションを促進するためにアバターを活用。スキル重視のつながりを実現する「ワーキングアバター」。
  • 働き手のモチベーションとして、おしゃれ感や楽しさは大事。また、クリエイティブ職だけでなく、バックオフィス職用にもコミュニティマネジメントが必要。バックオフィス職用のコミュニティワークスペースとして「Be-WORK」を提案。
  • やる気や集中力を発揮してベストパフォーマンスでいるにはメンタル的なスイッチを押す必要がある。精神サポートAIが適切なタイミングでその人なりのツボを褒めていくようにようにして、人同士が他人を褒めたくなる連鎖をつくる「ホメルカタパルト」。
  • テレワークには功罪もある。ステークホルダーのなかに会うことに価値を置いた人がいるとうまく行かない。そこで、人それぞれ独自のKPIを設定してその波長があう人同士が同じフロアに集まり、ミッションの関係性が近いほどフロア間の距離が近くなるよう多層フロアを配置する「多様タワー」を提案。
  • オフィスにはオシャレさもワクワク感も特別感もない。目的外のコミュニケーションからセレンディピティが生まれるけれど、そのためにはその余地となる“あそび”が必要。一人ひとりが好みの空間を作れる「カスタマイズオフィス」で“好き”の見える化を進めてコミュニケーションの“余地”を作る。
  • コミュニケーションは重要だけどONとOFFが必要。一人になるOFF空間も大事。ONのときも、言うべきことが言えないこともある。仮面会議のような仕組みが重要。これら多様性を内包する居心地のよいオフィスのメタファーとしてアリの巣を用いた「オフィ巣」を提案。
ワーク後には、グループごとに大判のアイデア整理シートに各テーブル内での議論をマッピングしていき、その成果を発表して参加者全員でシェア。
参加者全員による投票を行い、もっとも多く共感を集めたグループを「最優秀共感賞」、次点を「優秀共感賞」として表彰しました。賞に選ばれたグループのメンバーには、それぞれに「セコムの食」を副賞としてお贈りしました。
今回のセコムオープンラボは、働き手としてのユーザー目線から「オフィスの未来」について、普段感じている課題・様々な環境変化について感じている非言語化メッセージを可視化し、共有することで、対話を深めていきました。個人的な利便性だけではなく、作業の生産性、仕事の創造が進むための機能面、運用面など、私たちがどういう場を求めているかが、言語化されて共感を生むアイデアが集まりました。
あたらしい働く場に求められる要素として可視化された課題群や出てきたアイデアは、セコムを含め、参加者それぞれが持ち帰り、各々の視座から新たな“気づき・きっかけ”として活用いただけることと思います。参加者間で多くの気づきと新しい交流が生まれる場となりました。

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