開催レポート
第9回:人生100年時代のスポーツと安心

今回は、「人生100年時代のスポーツと安心」をテーマに、身体を動かす機会が減少する人の多い現代社会のなかで、健康寿命延伸にむけて、どうすれば日常的に/生涯にわたり、身体を動かす仕組みが実装できるか、求められるプロダクトやサービスなどをテーマに、皆様とアイデアディスカッションさせていただく機会を設定しました。

現代社会において、身体を動かす機会が定着しないのはなぜかといった課題を掘り下げ、それらを解決する、こんなアイテム/サービス/仕組みがあったらといった身体を動かす機会が増えそうなアイデアを出し合うことが目的です。

「人生100年時代」とは、人生が100歳以上に続くことが当たり前となる長寿時代の生き方を示すものです。当たり前と思っているこれまでの人生設計を転換して、長期化する100年ライフを生き抜くための活力や多様で流動的なキャリアが求められる時代観を指しています。

話題提供では、DeNAスポーツ事業本部戦略部の西谷さんから、「横浜スポーツタウン構想」実現に向けた取り組みなどをご紹介いただきました。その後のワークショップでは、業種業界を越えた多様な産業界の参加者が、さまざまな視点から「人生100年時代を踏まえ、より広い視野でスポーツを捉えなおし、どうすれば日常的に身体を動かすことができるか」について思考を巡らせながらアイデアを発掘する議論が展開されました。未来につながる、あたらしい生涯スポーツ/健康寿命延伸の関わり方、我が事としての定着に向けた新しい課題を考える場として盛会に開催することができました。

開催日時

2018年2月1日(木) 17:00〜 20:00

話題提供者

  • DeNA
    西谷 義久

    株式会社ディー・エヌ・エー スポーツ事業本部戦略部 部長
    2009年に株式会社ディー・エヌ・エー入社。
    2013年からスポーツ部門を担当し、現在はスポーツ事業本部戦略部長として、スポーツ事業全体での戦略策定に加え、横浜スポーツタウン構想を軸とした中長期での新規事業開発等を推進。
    また、陸上長距離チーム「横浜DeNAランニングクラブ」代表を兼任。

総合ファシリテーター

  • 沙魚川 久史

    セコムオープンラボ総合ファシリテーター。東京理科大学 総合研究院 客員准教授、国研 科学技術振興機構 専門委員、ものこと双発協議会 事務局長。
    セコムの研究開発部門を経てセコム科学技術振興財団事業部長として研究助成プログラムを推進した後、セコム本社企画部主任にてセコムのオープンイノベーションを推進。
    東京大学イノベーションマネジメントスクール修了、東京理科大学大学院 総合科学技術経営研究科修了、同院イノベーション研究科修了。専門領域は技術経営で、大学や国立研究開発法人、産学官コンソーシアムなどでも活動しながら公私にわたりサービス創造の視座より共創協働を推進している。主な著書に『知的財産イノベーション研究の展望』(白桃書房)など。

当日の模様

今回は、「人生100年時代のスポーツと安心」と題して、様々な企業からの参加者約50人とともにアイデアディスカッションを開催しました。「人生100年時代」とは、人生が100歳以上に続くことが当たり前となる長寿時代の多様で流動的な生き方を示すもの。100年ライフを健康で活力をもって生き抜くために、どうすれば日常的に/生涯にわたり身体を動かす仕組みが実装できるか、求められるプロダクトやサービスなどをディスカッションすることが目的です。

セコムでは、イノベーション強化のために、現在よりも更に多様なものを取り入れながら社会に必要なサービスを議論していくプロセスを重視し、これに「共想」の字を当てて、社会との協働を推進しています。「共想」の入り口となる対話と創造の場が「セコムオープンラボ」。ここでの創造的対話をきっかけに様々な社会実装が進んでいます。
今回、はじめにセコムから、こうしたオープンイノベーションのコンセプトとセコムオープンラボの位置付け、そしてこれまでの社会実装の成果などをご案内。また、イントロダクションとして、今回のテーマである「人生100年時代のスポーツと安心」に込めた想いと背景について説明し、「100年ライフ」にかかる社会的な議論のエッセンスなどをフロアにインプットしました。
今回の話題提供には、「人生100年時代のスポーツと安心」というテーマにあわせて、DeNA スポーツ事業本部戦略部の西谷義久さんがご登壇。西谷さんからの話題提供では、横浜DeNAベイスターズや横浜スタジアムを中心に繰り広げられている様々な先進事例の紹介があり、スポーツを観戦するだけでなく、スタジアムに足を運びたくなる仕掛けや未来にむけた「横浜スポーツタウン構想」について解説をいただきました。また、海外における事例を交えながら、これから向かうべき新たなスポーツとの関わり方のあるべき姿についてご紹介があり、質疑などの議論も行われました。
続くワークショップでは、36団体54名の参加者が、7グループに分かれてそれぞれの視座から議論を行いました。ワークショップでは、ワークタイムを細かく区切り、題目を変えながら、100年ライフを活力をもって生き抜く課題と安心感について、様々な専門性による議論が展開。ワーク前半戦は、課題探索の時間帯として、人生100年時代に向けて顕在化しそうな身体を動かす機会が定着しない課題について掘り下げながら、また、発散させながら、ディスカッションを行いました。
途中、コーヒーブレイクタイムには、他グループとの交流や議論も交えながら、後半戦に向けて多くの意見をミックスしてブラッシュアップが行われます。また、今回は「人生100年時代」をテーマにしているということもあり、軽食のひとつとして、2017年に男性の平均寿命1位となった滋賀県より、“不老長寿の霊果”といわれてる果物「むべ」を使用した飲み物をご用意。スポーツだけの議論に終始しないよう、テーマ分析につながる期待も込めて、滋賀県に伝わるスーパーフードを体験しながら賑やかに議論を進めました。
コーヒーブレイクタイムを挟んだワーク後半戦では、前半でフォーカスした課題を踏まえ、解決アイデアを探索。100年ライフを支える生涯スポーツ/健康寿命延伸に向けて議論が白熱し、ときおり笑い声や拍手をまき起こしながら、アイデアを深めていくディスカッションを行いました。前半の議論やコーヒーブレイク中の交流を参考にしながら、それぞれの視点から未来の社会に求められるアイデアへと繋ぎました。
ここで出てきた、幾つかの興味深いアイデアを(名前だけですが)紹介します。
  • 個々人に応じて、運動する必要性や健康寿命効果を可視化してくれる「100年寿命カウンター」
  • 社員がスロープや階段を使うことでコミュニケーションを促進する「我が社のスロープ」
  • 健康減税によるモチベーションを視野に入れた「新しい地域の健康自治」
  • 身体情報をパラメータ化して効果や老化の見える化を実現する「超・カラダスキャン」
  • 医療費削減を目指した「AI」の活用
  • 独りの運動でもソーシャルランキングに接続しつつ、金銭的な報酬効果をうまく仕組みに取り入れる「スポーツ・リワード通貨」
  • 医療費削減、寿命の延命化を目指した結果、街がにぎわう「自分シミュレーター&仲間ジェネレーター」
最後の時間帯には、各テーブルでの議論の成果を発表して参加者全員にシェア。参加者全員による投票の結果、参加者からもっとも多く共感を集めたテーブルを「最優秀共感賞」として表彰しました。賞に選ばれたテーブルのメンバー全員に「セコムの食」を副賞としてお贈りしました。

今回のセコムオープンラボは、「長寿社会」「スポーツによる活力維持」と二つのテーマを掛け合わせた議論を投げかけて開催しましたが、多様な視座、多様な専門性によるディスカッションが進み、数多くの興味深いアイデアが集まりました。

今回出てきたアイデアは、セコムを含め、参加者それぞれが持ち帰り、各々の視座から新たな“気づき・きっかけ”として活用いただけることと思います。参加者それぞれの分野から多くのアイデアが出され、参加者間で多くの気づきと新しい交流が生まれる場となりました。

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