医療情報サテライト

Vol.9 心筋梗塞・脳卒中について 第2回(全2回)

監修/小井土雄一先生
脳卒中を見逃さないためには
~脳卒中の症状~
脳卒中の場合には、血栓溶解療法を考慮すると、心臓よりもさらに短い時間で対応する必要があり、一刻の猶予も許されません。ですから、軽微な症状でも見落とさないようにしなくてはなりません。
急性脳卒中では、以下のような症状が現れます。

意識の低下 → 昏睡、朦朧、錯乱、痙攣、迷妄
突発性の強い頭痛
神経学的異常(麻痺)をともなう頭痛
重度の頚部痛や顔面痛
失語症 → 発語困難、聞き取りにくい会話
顔面弛緩または顔面非対称 → 手足の麻痺と同じ側、または反対側、両側
麻痺/感覚喪失 → とくに手
運動失調 → 平衡感覚の喪失/ぎこちない動作/歩行困難
視力低下 → 片目または両目
視野欠損
その他 → 強度のめまい/片側聴覚消失/嘔吐など

とくに脳硬塞の患者さんは、判断能力が落ちるので、周囲の人が意識して状態を把握してあげる必要があります。たとえば、「朝からお茶碗を何回も落としている」「口から味噌汁が垂れる」「右手を全然使わない」といったようなことがあったら、次の3つの徴候を確認し、ひとつでも当てはまるようでしたら脳卒中の可能性が強く疑われます。すぐに病院、それも少なくとも CTスキャンのある病院で受診してください。

~脳卒中の兆候~
顔面の弛緩
  患者に歯を見せてもらうか、笑い顔を見せるように指示
正常 顔の両側が同じようによく動く
異常 顔の片側が反対側に比べてよく動かない

上肢の浮動
  患者に10秒間目をつぶり、両方の上肢をまっすぐ伸ばすように指示

正常 両腕ともまっすぐに保持できるか、
下がったとしても左右差なく下がる
 
異常 片側の腕だけが下がってしまう

言葉の異常
  「ぱぴぷぺぽ」「らりるれろ」と言わせる
正常 詰まらずに正しく言える
異常 発音が不明瞭だったり、あるいはまったく話せない

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