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タバコなどの有害物質を吸い続けると、肺に慢性の炎症が起こります。この炎症は長く続き、気管支の炎症の結果、空気の通り道が細くなったり、あるいはさらにたんがつまる、肺胞が壊れて、また弾力がなくなり、肺が過膨張状態になり、十分な空気が吐けない、従って吸えないというふうに肺への空気の流れが悪くなり、息切れするようになります。カゼをきっかけに急に息切れが強くなる急性増悪を繰り返しながら、しだいに肺機能の低下が進みます。またタバコにより動脈硬化や肺がんなどの合併症が起こり、最後は酸素を取り入れることさえできなくなって、寝たきりになってしまいます。 |
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この病気で死んだ人の解剖データの中で一番多いのは脳卒中です。それから、難治性の胃潰瘍を繰り返したり、骨粗しょう症を悪化させたりします。また、2割に肺がんが出てきます。そして6割が肺炎で亡くなります。一番の問題は手足の筋肉が細くなり筋力の低下を起こすことです。最近の研究では筋肉にも炎症性の変化が起こることが分かりました。 |
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せき、たん、息切れがあり、喫煙歴がある。あるいは、食欲が低下し、体重が減少し、時々喘息の発作を起こす場合は、COPDを疑います。スパイロメーターという肺機能検査を行い、肺活量に対して1秒間に吐き出せる空気の量の割合が70%以下のときもCOPDを疑います。
そして、同性・同年齢の人の1秒間に吐き出せる空気の量と比べることによって、1期、2期、3期というように重症度を決めていき、それに基づいて治療方針を立てます。
診断は基本的には肺機能検査をすれば済みますが、肺がんを引き起こす確率が高いので、CTで肺がんがないことを確認し、併せて、患者さんの中には肺の機能は正常でも肺が壊れている人が結構いるため、高解像度のCT(HRCT)で肺が何%壊れているかを調べます。
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【健常者】
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【COPD患者】
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また、COPDになると肺性心という心機能障害を起こすことがあります。そこで、心臓の超音波検査をやって診断を下すようにしています。そのほか、私たちのところでは、患者さんに6分間全力で歩いてもらって、何m歩けるか、酸素欠乏症が起こらないかをチェックする「6分間歩行テスト」を行っています。これをやるのは、症状が進むと、じっとしているときは大丈夫でも動くと息切れが強くなり、あるいは酸素欠乏になるからで、テストをしなければ症状の度合いを決められないからです。
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