医療情報サテライト

Vol.47 COPD(慢性閉塞性肺疾患)第1回(全2回)

監修/木田厚瑞先生
「COPD」
 
 年々、患者数が増え、死亡者数を増え続けているCOPD。この病気は、せき・たん・息切れが主な症状のため長びくカゼと軽視されがちですが、重症になると慢性的な酸素不足に陥り、全身に様々な障害が現れます。今回は、わが国では唯一のCOPDの専門医療施設である日本医科大学呼吸ケアクリニックの木田厚瑞所長に、一般にはあまり知られていないこの病気についてお話をうかがいました。
 
「COPD」
 
 COPDとは、Chronic(慢性)Obstructive(閉塞性)Pulmonary(肺)Disease(疾患)の略で、2001年にWHO(世界保健機構)の提唱で慢性気管支炎、肺気腫を包括的にCOPDと呼ぶことになったのですが、一般だけでなく医療者の間でもまだ十分に認知されるに至っていません。
 同様に、日本語の慢性閉塞性肺疾患も分かりにくいことから浸透せず、たとえばタバコの注意書きには相変わらず「肺気腫に注意しましょう」と書かれています。
 
「COPD」
 
 2004年に発表された大規模疫学調査研究の結果では、約530万人の患者さんがいると推定されています。
 ところが、2002年の厚生労働省の統計では患者数は27万人となっています。
 これは、実際にCOPDと診断され治療をを受けている人の数で、あとの患者さんは受診していないか、他の病名で診断・治療されているかのどちらかだと思われます。
 
「COPD」
 
 COPDはタバコ病と言われるように、患者さんの95%が喫煙者です。非喫煙者でも長年受動喫煙する環境にあった人はCOPDなどの呼吸疾患にかかりやすいことが分かっています。この病気は有害物質を繰り返し吸うことによって起きるので、たとえば産業廃棄物処理業やクリーニング業などに従事している人(いた人)も注意が必要です。
 
「COPD」
 
 発症するのは40歳くらいからで、せきとたんが出始めます。しかし、1日中ではなくて、朝起きたときにたんがからむという程度です。50歳くらいになると、せきとたんの出る期間が長くなります。そして60歳くらいになると息切れが出てきます。これが典型的なパターンです。受診するのは60歳~65歳くらいからが多いですね。


COPD
第1回
第2回
COPD(慢性閉塞性肺疾患)とは?
COPDの発症・診断について

木田 厚瑞(きだ こうずい)
木田 厚瑞(きだ こうずい) 木田 厚瑞(きだ こうずい)
日本医科大学呼吸器内科 教授
日本医科大学呼吸ケアクリニック 所長
医学博士 
日本内科学会認定内科医・指導医
日本老年医学会専門医・指導医
日本呼吸器学会専門医・指導医
<日本医科大学呼吸ケアクリニックホームページ>

【略 歴】
金沢大学医学部卒業
金沢大学大学院修了
カナダ留学
東京都老人医療センター呼吸器科部長

【所属学会等】
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会 理事

【書 籍】
肺の話(岩波新書)
息切れを克服しよう(メディカルレビュー社)