医療情報サテライト

Vol.38 肥満手術とは?第2回(全2回)

監修/笠間和典先生
病的肥満とは


食事摂取量を制限する手術の代表的なものです。胃の上のほうにバンドをまいて締め付け、胃を二つの部分、上方の小さな部分と下方の大きな部分に分けます。上方の小さな胃の部分が満たされると満腹感をおぼえます。食物の消化は通常どおりの経路で行われます。
現在、最も多く使われているのは、バンドの締め付け方を調整できる器具を腹壁内に埋めこんで、状況に応じて膨らましたりしぼめたりできるものです。

ラップバンド®のメリット
1. 食事量が制限されるので、体内に入ってくるエネルギーを減少できます。
2. ルーワイ胃バイパス術とは異なり、食べ物は通常どおりに消化吸収されます。
3. 多施設の3000症例以上の研究結果では、術後2年以上の経過を追い、超過体重の28~87%の減量を認めました。平均的には約45%程度といわれています。
4. バンドの締め具合を術後に調整できます。
5. 手術によりバンドを取り除けば手術前と同じような状態に戻せます。
6. 術後にも通常の方法で胃や胆道の内視鏡検査ができます。

ラップバンド®のリスク
1. バンドの圧迫によって胃に穴があいたり胃が裂けたりすることがあり、そのときは緊急手術が必要となります。
2. 十分に食べたという満足感が得られない患者さんもいます。
3. 食事が通る部分の狭窄(狭くなる)が生じることや、吐き気や嘔吐が見られることがあります。
4. 胃の上の部分の小袋が拡張してしまい、十分な効果が得られないことがあります。
5. バンドがすべって動いてしまうことがあります。その場合には再手術が必要になることがあります。
6. 胃バイパス術ほどの減量効果、合併症改善効果はありません。
7. 手術に関連する全般の危険性(感染、出血、血栓、縫合不全、肺炎、心臓発作、死亡など)があります。

病的肥満とは
第1回
第2回
減量手術の手術法【2】
減量手術の手術法【3】
笠間和典先生プロフィール

笠間 和典(カサマ カズノリ) 笠間 和典(カサマ カズノリ)
医療法人 あんしん会
四谷メディカルキューブ 減量外科
専門科目 減量外科
資格 外科認定医
外科専門医
消化器外科認定医
麻酔科標榜医
麻酔専門医
救急専門医
日本内視鏡外科学会技術認定医

【略歴】
群馬大学医学部卒業
群馬大学医学部 麻酔・蘇生科
大阪大学特殊救急部
亀田総合病院 外科医長
三省会 堀江病院 外科部長 救急室長
東北大学非常勤講師兼任

【所属学会等】
日本内視鏡外科学会(評議員)
日本外科学会
日本消化器外科学会
日本麻酔学会
日本救急医学会
日本肥満学会
米国消化器内視鏡外科学会
米国肥満外科学会
国際肥満外科学会
アジア太平洋肥満外科学会