下肢静脈瘤の話をする前に、まず「静脈」について説明をしましょう。
血管は動脈と静脈に分けることができます。
ここで話を簡単にするために、静脈瘤ができる脚に関しての話に絞ります。
動脈は心臓から出た酸素を多く含んだ血液を、足先まで運ぶ「往路」です。
そこで酸素を組織に渡した血液は、また心臓に戻っていきます。
この「復路」が静脈です。
通常、脚の静脈の血液は脚の表面にある「表在静脈」という「復路」を通り、いくつかの「交通枝」を経由して、最終的に脚の中心にある「深部静脈」という太い「復路」に流れ込みます。
このとき脚の筋肉が縮んだり、伸びたりすることでポンプの働きをし、血液の移動が行われます。
ところで、人間は立って生活をしているのに、どうして一度足先まで行った血液が「重力」に逆らって、再び心臓まで戻ることができるのでしょう?
実は静脈には逆流防止弁がついていて、これが一度押し上げられた血液が再び足先に戻るのを防いでいるのです。
さて、ここで「表在静脈」や「交通枝」の逆流防止弁が壊れてしまったらどうなるでしょう?
一度押し上げられた血液は再び表在静脈に戻ってきて、そこにとどまることになります。
そして血液がたまった静脈は膨れ上がってきます。
これが静脈瘤なのです。
ですから、静脈瘤の本態は「逆流防止弁の故障による血液の逆流」といってもいいでしょう。
これにより静脈瘤は脚に様々な症状を出してくるようになるのです。
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