医療情報サテライト

Vol.30 胆石症とは? 第2回(全2回)


監修/梅澤昭子先生
胆石の治療法(2)

~腹腔鏡下手術はだれでも受けられるのですか?危険はないのですか?~
全身麻酔に耐えられる身体であることが重要です。
技術と手術器具の進歩によって、腹腔鏡下胆嚢摘出手術の適応は大きく広がりました。
現在はほとんどの胆嚢結石症が腹腔鏡下手術の対象であるといっても過言ではありません。
しかし、中には腹腔鏡下の手術を受けられない、または適切ではない方がいます。
腹腔鏡は直径1cmほどの細長いカメラで行いますので、手術のときに見える視野が限られています。
そのため脂肪が多すぎたり癒着が強かったりすると、よく見えなくなりますので手術が危険になります。
以前に上腹部の手術(胃や十二指腸などの手術)を受けられた方は癒着のために手術ができない事があり、このような方には開腹手術をおすすめいたします。また、細長い器械をお腹に差し込んで手術を行うため、器械の動きが制限されますので、予想外の出血が起こったり、炎症や癒着などによって解剖が不明である場合には、手術中に腹腔鏡下手術から開腹手術に変更して行う場合もあります。胆嚢摘出術に伴う合併症には、出血のほか胆汁漏出や胆管損傷があります。
また、腹腔鏡下手術に伴う合併症で深刻な問題は深部静脈血栓症(いわゆるエコノミー症候群)です。
特に下肢静脈瘤をお持ちのかたやピルを内服されている方はリスクが高くなります。
深部静脈血栓症を予防するために弾性ストッキングや脚をマッサージする器械を使用します。

~手術を受ける際にはどのくらいの入院期間が必要ですか?~
手術に必要な検査が外来で終了している場合、手術の前日の午後に入院していただきます。
手術日は朝から飲食ができません。
手術は全身麻酔で行います。
手術の内容にもよりますが、一般的な手術で経過が順調であれば、手術の次の日から洗面したり食事を摂ったりできます。
希望があれば手術の翌日退院も可能ですが、手術の翌日から数えて2~3日目に退院されるのが一般的です。胆嚢結石症に対する腹腔鏡下胆嚢摘出手術は保険診療になります。

胆石症とは?
第1回
第2回
胆石の治療法(1)
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