医療情報サテライト

Vol.28 手のひらの多汗症とは? 第2回(全2回)

監修/黒川良望先生
手のひらの多汗症の治療(1)


~手のひらの多汗症の治療方法~
多汗症の治療法には、心身療法(心理療法、自律訓練法、精神安定剤による治療)、薬物療法(プロバンサインという神経遮断薬やアルミニウム配合の外用制汗剤による治療)のほか、イオントフォレーシスというイオン発生装置を使った治療(水の中に手を入れます)や、胸部交感神経遮断手術があります。

薬物療法やイオントフォレーシスは、一時的には改善が見られますが根治には至らず、繰り返し治療が必要になる場合が多いようです。
原因のところにも書きましたが、交感神経の機能亢進が原因なので、その神経を切り取ったり焼いたりして神経の働きを止めると、汗はピタリと出なくなります。

つまり胸部交感神経遮断手術は確実な効果が期待できます。しかし、大がかりな開胸手術である上、大きな傷も残るので、あまり普及しませんでした。

こうしたなかで最近注目されているのが、手のひらの多汗症の内視鏡外科手術です。

~内視鏡外科手術(ETS手術)~
内視鏡手術とは、皮膚に小さな傷をつけ、そこからカメラのついた細い管を入れて患部を見ながら手術する方法をいいます。

手のひら多汗症では、腋の下の皮膚を2~4mmほど切ってカメラを胸腔(きょうくう:肋骨で囲まれたスペース)に入れ、モニター画面で胸のなかを見ながら、背骨の近くにある交感神経の束を見つけて切断します。
左右両方の交感神経切断が必要です。
手術時間は、片側で20分程度です。

~内視鏡外科手術(ETS手術)のメリット~
傷が小さい
手術時間が短い

したがって、

身体的負担が軽い
手術の当日に帰宅できる
翌日から普段の生活に戻れる

もちろん健康保険も適用されます。


手のひらの多汗症とは?
第1回
第2回
手のひらの多汗症の治療(1)
手のひらの多汗症の治療(2)
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