多汗症は、腋の下、手のひら、足の裏、頭部などに異常に発汗する病気です。
このうち、手のひらに日常生活をするうえでいろいろな障害をもたらすほど発汗する多汗症が手のひらの多汗症です。
医学的には「手掌多汗症(しゅしょうたかんしょう)」と呼び、ひどい場合には治療の対象となる疾患です。
多汗症の患者さんが治療を受け始めるのは10代から30代の人が多いのですが、本人には意識できない幼少期から発症するケースも多いので、ご両親は注意して観察してください。 発症に男女差は認められていません。
手のひらの多汗症は、汗が滴るように出るために、「手を動かすと汗が飛び散る」「教科書やノートが濡れてしまう」「握手ができない」「手が滑って物を落としやすい」など、さまざまな支障が生じます。
本人にとっては非常につらい状態なので親や周囲の人に相談するのですが、「汗っかきの体質」ということで片付けられてしまい、治療を受けることなく悩みながら成長していくケースが多いようです。
そのため、性格が消極的になる、集中力が低下するなどの精神的な負担も背負い込むことになります。
その結果、学業成績の低下やいじめの原因となり、不登校や引きこもりに至る例も見られます。
なお、腋臭(わきが)と同じあるいは類似の病気と思っている人もいるようですが、全く違う病気ですし、治療法も異なります。
|