医療情報サテライト

Vol.16 ヘリコバクターピロリ(ピロリ菌)とは? 第2回(全2回)

監修/伊藤慎芳先生
除菌治療について(2)


~一度除菌してもまた感染しませんか?~
成人の場合、除菌が成功した方で、再感染が証明される場合は、きわめて少ないようで、1年後の検査で1%内外と考えられています。ただし、この場合に、除菌が成功してから再感染したか、もともと除菌が成功していなかったのかの区別が、むずかしい場合が多いようです。

~除菌治療に健康保険が使えるのはどのような場合でしょう?~
現在、健康保険の適応上は、(1)胃潰瘍または十二指腸潰瘍と診断されていること、(2)ヘリコバクターが証明されていること、この2つが、除菌治療の適応(条件)となっています。この2つの条件を持っている方では、潰瘍を再発させないために、まず除菌を試みることが薦められます。除菌が成功するといわゆる「維持療法」が不要となることが多く、潰瘍を繰り返すリスクは小さくなります。

~保険適応外の除菌治療とはどのような場合でしょうか?~
一般的に健康保険適応外の治療を受ける際、その意義、方法、副作用などについて十分ご理解いただき、費用は自己負担が原則となります。
これまでの説明のように、胃潰瘍、十二指腸潰瘍と診断されないで、へリコバクターが認められる方は、きわめて多数いらっしゃり、この場合の除菌治療は保険適応外となります。除菌が成功することによって、具体的にどの程度の方が症状や病気のリスクの軽減などの恩恵を受けられるのかは、詳細にわかっていないのが現状ですが、多数の方で比較すると、例えば、胃癌の発生が減少するであろうと期待されています。

保険診療の除菌治療が不成功であった場合などで、再度除菌治療を希望され、認可されていない薬を使う場合も保険適応外の扱いとなります。現在、通常の保険適応薬の除菌率が低下してきていることが問題となっていますが、組み合わせを変えた除菌を行うと90%程度の場合は、再除菌に成功しています。


ヘリコバクターピロリ(ピロリ菌)とは?
第1回
第2回
除菌治療について(1)
除菌治療について(2)
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