[PTに聞く関節ケア(2)]在宅介護でも簡単!関節トレーニングの方法

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[PTに聞く関節ケア(2)]在宅介護でも簡単!関節トレーニングの方法

こんにちは、セコムの武石(たけいし)です。

ラジオ体操は関節可動域のトレーニングにおすすめです。 理学療法士でセコムケアステーション鎌倉の所長でもある清莉絵子さんに聞く「関節ケア」シリーズ。初回となる前回は、「拘縮(こうしゅく)予防」についてまとめました。

関節は使わなければ固くなって可動域が狭くなってしまうもの。
わずかな期間でも関節を動かさずにいれば、拘縮(こうしゅく)がはじまる可能性があります。
関節ひとつ動かしにくくなっただけでも、生活動作に支障が出るものです。

拘縮(こうしゅく)は、本人にとって苦痛であると同時に、介護する家族にとっても介助をより困難なものにします。なるべく関節の可動域をキープすることが大切です。

今回のテーマは「関節トレーニング」。
清さんに、在宅介護のご家庭でもできる、簡単な関節トレーニングの方法を聞きました。


年齢に関係なく効果がある方法なので、「最近、身体が固くなったな...」と感じている方は、ぜひ一緒にお試しください。

【あわせて読みたい!シリーズ「PTに聞く関節ケア」】
(1)「拘縮(こうしゅく)が起きるとどうなるの?」拘縮予防ケア

● 「立つ」「座る」が関節のリハビリに
「関節を動かし続けることが拘縮(こうしゅく)予防の基本」です。
関節を動かし続けるには、どんなことを意識したら良いのでしょうか。
理学療法士の清さんに聞きます。

理学療法士であり、セコムケアステーション鎌倉の所長でもある清莉絵子さんに「関節ケア」について話を聞きました。 「大切なのは立って、座ることです。立ち上がる、腰を下ろす。
この一連の動作だけでも、膝や足首、股関節などいろいろな関節が動かせます。
立ち上がり、腰を下ろすためには、下半身以外にも腕や肩の関節を動かしてバランスを取る必要がありますし、つかまり立ちをしようとすれば手指の関節も使わなければなりません。
さらに歩行の動作が加われば、より多くの関節を動かします。
ベッドから身体を起こし、立ち上がり、食卓まで歩くことも関節のリハビリになります」


寝たきり、座ったままでほとんど動かない生活は、認知機能や心肺機能の低下に直結しますし、筋力もどんどん衰えてしまいます。
立つ、座る、歩くはとても重要なことだそうです。


● 正しい関節のポジショニングを意識して座る
関節トレーニングのひとつとして、正しく関節を使った座り方についても話してくれました。
座る動作が正しくできると、座ったまま膝や足首を曲げ伸ばしたり、足指でタオルを手繰りよせたりと、下半身の関節を使っていろいろなトレーニングができるそうです。

「安定して座るためには、股、膝、足首の関節がそれぞれ90度になっていることがポイント。
座骨というお尻の骨に均等に体重がかかり、足裏全体が床を捉えて座ることができるはずです。
身体が小さい人は、足裏全体が床につかないことがあるので注意してください。
踏み台などで調整して、90度になるようにポジショニングしてあげましょう」


食事などで椅子に座るとき、着替えでベッド端に座るときなど、座るたびに関節の正しい角度を意識することが大切。
短い時間でも面倒がらずに調整してあげたいものです。

「ひとりで座位を保てるなら、背もたれから背中を離して座ることにもチャレンジしてみてください。
関節だけではなく、体幹も鍛えられて一石二鳥です。
長い時間背もたれに寄りかからずにいるのはつらいので、思い出したときにほんの数分だけでも良いと思います。
座位が不安定なら、ご家族が見守っているときにちょっとやってみるなど、無理のない範囲でチャレンジを。
これは若い方にもおすすめのトレーニングなんですよ。
首と背筋をまっすぐに伸ばし、肩を耳のあたりまで引いた姿勢が理想です」


実際にやってみると、腹筋や背筋にも力が入って、結構きついことがわかります。
清さんによれば、体は縮もうとする力の方が優位に働くため、体を意識的に伸ばすことが必要だそう。
意識して正しい姿勢をキープしないと、どんどん肩が丸まって内側に入り、背中が丸まって猫背になってしまうのだそうです。
元気なうちから、正しい美しい姿勢を心がけたいですね。


● 関節をたくさん動かす「ラジオ体操」を日常に
関節の可動域キープに効果的なトレーニングのひとつとして、清さんはラジオ体操をあげてくれました。

「ラジオ体操は、短い時間のなかで全身のさまざまな関節を動かします。
肺も大きく広がりますし、血行も良くなるので、ご高齢の方にこそおすすめです。
立ったままではつらい方は、椅子に座ってできる範囲で動くだけでも効果が得られると思いますよ」


ラジオ体操を日々の習慣として、ご家族も一緒に取り組んでみてはいかがでしょうか。
今は介護をする立場でも、いつか自分も要介護になるかもしれません。
動く関節をキープすることは、老後の生活に直結しています。
今のうちから関節ケアを意識して、関節をたくさん動かしてくださいね。


「関節を動かすトレーニングは日常生活のなかでも簡単に取り入れられます。
やらねばならない義務感ではじめると長続きしませんが、楽しみながらなら続くものです。
ご本人やご家族が苦痛に感じない範囲で、習慣にしやすいトレーニングを見つけてみてください」



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