医療情報サテライト

Vol.58 つらい五十肩その対処法は?第1回(全2回)

監修/渡辺公三先生
つらい五十肩その対処法は?
 
古くは江戸時代の文献にも登場する「五十肩」。
この「五十肩」とは、ある年代になったら誰にでも起こりうる病気のひとつです。
とはいえ、つらい痛みや不自由さは、少しでも軽くしたいもの。
今回のテーマは、「五十肩」の対処法です。
整形外科がご専門の セコメディック病院 副院長、渡辺公三先生にお話をうかがいました。
 
つらい五十肩その対処法は?
 
つらい五十肩その対処法は?
 
 四十肩も五十肩も同じ病気で、医学的には「肩関節周囲炎」といいます。四十代の方に五十肩という病名はちょっと、ということで四十肩という病名も使われていると考えてください。つらい五十肩その対処法は?
 五十肩という病名は、すでに江戸時代の文献にも登場します。
当時の平均寿命は30~40歳くらいですから、50代に多く見られる五十肩は、長命病と呼ばれています。英語では「フローズンショルダー(凍結肩)」と呼ばれ、日本人だけに起きる病気でもありません。男女差もなく、また、肩を酷使した人に多く起きるわけでもありません。もっとも、五十肩は、時間の経過とともに自然に治癒し、来院しない方も多いので、正確なデータが把握できていないのが現状です。
 
つらい五十肩その対処法は?
 
 五十肩は、発症後1ヵ月くらいの間に強い痛みがあり、その後は、徐々に痛みが軽減しますが、一方で可動域が制限されるようになるのが一般的です。
 痛みによって肩周辺が動かしにくくなる時期(約4~6週刊程度)と、痛みは軽くなってきても、動かしにくいままか、むしろ動きが悪くなって、軟部組織に癒着が起こってくる時期に分けられます。これらの症状は大体一年くらい続きます。
 
 
つらい五十肩その対処法は?
 
 五十肩の痛みの範囲は、肩の関節部分からひじまでの間の、その上半分くらいまでの部分に現れます。肩関節に痛みを感じる場合でも、ひじや、さらに手、指までの部分に痛みやしびれを伴っているようなときは、頸の骨や脊椎板が原因の病気の場合もあります。

 五十肩は、ふつう、ひとつの肩について一生に一度しか起こりません。左右の肩で、時期がずれて起こることはよくありますが、3年前に右肩が五十肩になって、今年、同じ右肩がまた五十肩になるということは、ふつうありません。
 肩の痛みが繰り返し起こる場合や、60歳を超えてから肩に痛みが生じる場合は、つらい五十肩その対処法は?肩の筋が切れて五十肩のような症状が出ている可能性があります。肩関節も詳しい医師が 診察すれば容易に判断できることも多く、わかりにくい場合も、MRI検査や関節造影などを行えば診断できます。
 また比較的、女性に多いのですが、肩に突然、急激な痛みが起こって、その晩一睡もできなかったというような場合は、肩関節のまわりに石灰がたまって炎症を起こしているということがあります。治療としては、ステロイド剤と局所麻酔剤の入った注射をその部位に打つと数日で痛みが治まります。


つらい五十肩その対処法は?
第1回
第2回

渡辺 公三先生(わたなべ こうぞう)
渡辺 公三先生(わたなべ こうぞう) 渡辺 公三先生(わたなべ こうぞう)
セコメディック病院
整形外科部長・副院長

【略 歴】
宮崎医科大学 医学科
1982年 東京大学 整形外科学教室入局
その後 20年間にわたり東京大学病院整形外科、三井記念病院整形外科 勤務
2000年 セコメディック病院 整形外科