 |
|
乳がんで亡くなる人がアメリカやイギリスでは減っているのに日本では増えている。
この事実に意外な感じをもたれる方が多いのではないでしょうか。 そこで今回は、医療法人社団あんしん会・四谷メディカルキューブ・ウィメンズセンターの長内孝之先生に、なぜ日本では死亡率が上昇しているのか」「不幸にならないためにはどうしたらよいのか」をテーマに、お話をうかがいました。
|
|
 |
|
日本だけでなく世界のどの国でも増えています。
日本では毎年4万人もの人がこの病気にかかっており、日本人の20人に1人は乳がんの患者さんです。
かつては女性のがんで最も多かったのは胃がんでしたが、今は乳がんが1位を占めています。 |
|
|
|
 |
|
日本では乳がんの90%が乳管がんで、次が小葉がんでしたが、このところ欧米人に多い小葉がんが増えていることから、大腸がん同様、日本人のライフスタイルの欧米化が 関係していると言われています。
また、ストレス社会や環境ホルモンの増加、さらには初潮が早く閉経が遅い、子どもを産まないなど、女性ホルモンにさらされる期間が昔に比べて長くなっていることも要因ではないかと言われています。
|
|
 |
|
欧米では死亡率が下がってきているのに、日本では上がり続けています。この差は乳がん検診に対する国の姿勢の違いによります。たとえばイギリスでは1980年代に乳がんで亡くなる人が急増したため、国が先頭に立って検診事業を推進した結果、死亡率が減少しました。これに対して日本では国を挙げての取り組みがなされてきませんでした。その結果、がんが進行してから検診を受ける人が多く、それが死亡率上昇の要因になっています。
|
|
|
 |
|
確かにここ数年、啓蒙活動が盛んになり、検診を受ける人が多くなりました。
東京都でいうと、数年前までは40歳以上の人の検診率は4%でしたが、現在は10%を超えたと言われています。
しかし、アメリカでは70%近い人が検診を受けていると言われています。この検診率の差が日米の死亡率の差となって現れていることを多くの人に知っていただきたいですね。
|
|
 |
|
|
 |
|
「こんな人が乳がんにかかりやすい」 という統計調査を自分の都合のよいように解釈する風潮があることですね。たとえば、「赤ちゃんを産んだことのない人は乳がんになりやすい」というデータを見て、自分は子どもを産んでいるから乳がんにならないと思う。あるいは、「母親か姉妹に乳がんになった人がいると乳がんになりやすい」というデータを見て、母親も姉妹も乳がんにかかっていないから自分は乳がんにならないと思う。しかし、これはあくまでもデータであって、現実には子どもを産んだことがあっても、母親や姉妹が乳がんでなくても、乳がんになる人はいます。
また、自治体の乳がん検診は40歳以上の人を対象にしているため、自分は20代だから乳がんにはならないと思う人がいます。しかし最近は、20代、30代の人でも乳がんになる人が増えているので、若いから大丈夫とはいえない。こうした誤解は危険で、現に、しこりがあるけど20代だから乳がんではないと思い込み、検診を受けたときには症状がかなり進んでいたというケースがあります。このように、自分勝手な判断で検診を受けない人が多いのです。
このほか、特に年配の方に多いのですが、乳房を人の目にさらしたり触られたりしたくないという羞恥心がネックになっています。また、乳がんの検査機器であるマンモグラフィーは乳房を圧迫しながらX線撮影をするため、“検査=痛い”というイメージを持たれている人がいます。こうしたことが女性を検診から遠ざけ、女性を不幸に陥れているといえます。
|
|
|
 |
|
しこりの大きさは生存率と関係してくるので重要です。たとえば、1cm以下の場合の10年生存率は90数%ですが、1cmを超えると90%ぎりぎり、それが4cmになると70%、つまり30%の人が亡くなります。5cmで見つかると、治療をしても半数の人は亡くなります。
つまり、すべてはいかに早い段階にしこりを見つけて治療するかにかかっています。 |
|