医療情報サテライト

Vol.54 歯周病について 第2回(全2回)

監修/根深研一先生
歯周病について
 
歯周病について
 
 家でブラッシングを励行し、同時にクリニックで、医師や歯科衛生士が専用の機械を使って行うPMTC(プロフェッショナル・メカニカル・トゥース・クリーニング)という効果的な歯面清掃法がありますので、定期的にこれを受けることです。また、歯ぎしりの防止、タバコをやめる、生活リズムを整えるなど、歯周病について生活習慣を変えることも大事な予防法です。特に喫煙はリスクが高く、喫煙者が歯周病になる確率は非喫煙者の5~7倍といわれています。重度の歯周炎の方の85~95%は喫煙者というデータもあります。タバコを吸うことによって歯の免疫力が落ちるのです。
 ※PMTC:毎日の自分で行なう歯磨きでは、落としきれない歯の汚れを歯医クリニックで専用機器を使ってきれいにクリーニングし、歯周病の原因であるプラークを除去することです。
 
歯周病について
 
 歯の健康を保つ基本はブラッシングですから、効果的なブラッシング方法のアドバイスをします。それから歯石を段階を踏んで取り除いていきます。歯石には目に見える部分の歯石=縁上歯石と、歯周病について歯茎の中に入り込んでいる歯石=縁下歯石があります。
 第一段階は、縁上歯石をスケーラーと呼ばれる器具を使って取り除いていきます。第二段階は、縁下歯石を必要があれば局所麻酔を使って取り除いていきます。ここまでが通常の歯周病初期治療になりますが、第二段階までの治療で改善が見られない場合に第三段階の治療として、外科的にさらに深い部分の汚れの除去と、歯茎の整形手術を行うことがあります。歯周ポケットといって、歯と歯茎の間に隙間ができ、それが深くなるにつれて歯の根の下へ下へと歯石が付着していき、それが原因で歯槽骨が溶けてきます。そこで、まず歯茎を切り開いて歯石を取り除き、次いで歯茎を縫合するときに、歯周ポケットが浅くなるように歯茎を正常な状態に整形します。一般的には、薬物療法として歯周ポケットの中に抗生物質を注入する方法があり、これを併用します。
 
歯周病について
 
 歯周病の根本原因である歯周病菌を除菌するという治療が開発されています。 一つは口の中の歯周病菌を少なくする薬を、歯の周りに塗るという方法ですが、薬が唾液で流れて効果が薄れることを防止するため、薬を塗ったマウスピースを一定時間、歯にはめるという3DS法という方法で行います。 また歯周病菌を少なくするといわれている乳酸菌LS1をサプリメントで摂取する方法があります。 市販はされていませんが一部の歯科医院で購入することができます。乳酸菌LS1は口臭の減少にも効果があるといわれ、一番手軽で効果的な方法です。 これらの治療は、最新の予防治療として注目を集めており、治療の結果は歯周病菌の培養検査で知ることができます。 もう一つ、脚光を浴びているのが再生治療です。 今までは一度溶けてしまった歯槽骨は元に戻らないといわれてきましたが、再生治療は薬を使って歯茎や歯槽骨などの歯周組織を再生しようという画期的な治療法です。
 ただ、現在は、これを行うには口の中の環境、歯槽骨の形などいくつかの条件が全て揃わないと効果が期待できないため、すべてのケースに応用できるわけではありません。 しかし、再生療法は今後の治療法として期待されます。
 
歯周病について
 
歯周病について
 
 一般にはあまり知られていませんが、歯周病は全身の病気とも関係してきます。歯周病について脳梗塞、狭心症、心筋梗塞、糖尿病などの病気になるリスクが高くなること、その原因は歯周病菌であることが最近の研究でわかっています。
 このように歯周病は単に歯がなくなるだけでは済まないので、一度歯科クリニックで検診を受けていただきたいと思います。
 


歯周病について
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