
私が手術に踏み切るのは、
・子宮の大きさが超手拳大のとき
・筋腫が大きくなくても症状が強いとき
・筋腫以外に原因の見当たらない不妊症の方の場合です。
ここでいう手術は子宮全摘手術ではなく、子宮を温存しながら筋腫だけをくりぬく核出手術のことです。
もちろん子供はいらないという方の場合は子宮全摘手術を行います。
ただ最近は、子供もいてお年が40歳を超えている方でも子宮を残したいという希望も多く、できるだけ患者さんのご希望に沿うような形で対応するようにしています。

子宮筋腫の手術は、以前は、子宮全部、あるいは筋腫だけを、お腹を開いて摘出する開腹手術か、膣から摘出する経膣的手術が行われていました。
開腹手術の長所はお腹全体を観察できることで、短所はお腹に大きな傷ができ患者さんの身体的負担が重いこと。
経膣的手術の長所はお腹に全く傷がつかないことで、短所は術前も術後もお腹の状態を確認できないことです。
この両方の手術の長所を併せ持つ方法はないかということで取り入れられたのが腹腔鏡下手術です。
これは、お腹に直径5~10mmほどの穴を3つ開けて、一つは腹腔鏡を入れお腹の中を観察し、もう二つの穴に操作用鉗子を入れて子宮あるいは筋腫を摘出する手術方法です。患者さんにとってこの手術は、傷口が小さい、痛みが少ない、手術の翌日には歩け、1週間以内で退院でき社会復帰が早いなど、いいことずくめですが、ただ認識しておいてほしいのは、
この手術には熟練した技術が求められること、開腹手術では起きない内視鏡手術だから起きる重篤な合併症もあるということです。
したがって、腹腔鏡下手術を希望される場合は、担当の医師が「この手術を適用するのがふさわしい患者さんはどういう人か」という基準をしっかり決めているかどうか、腹腔鏡下手術に熟練した医師が執刀してくれるのかどうか、といったことを目安に医療機関を選ばれるといいでしょう。
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