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胸やお腹の手術に、よく使われます。胸の手術の場合、病院によっては多いところで8~9割、内視鏡を使って手術を行っているところもあります。
また、意外なところでは、多汗症、とくに手のひらに異常に汗をかく手掌多汗症の治療にも有効です。腋の下を数ミリ切り、内視鏡と器具で手につながる胸部交感神経の一部を切断します。効果はかなり劇的ですが、背中や足の裏などで代償性の発汗が多くなることもあり、事前に医師に話を聞く方がよいでしょう。
肺ガンの手術なども、最近は内視鏡を使って行われます。昔の手術は、胴を半分輪切りにするような感じで、大きなキズが残りました。術後の痛みも強いため、呼吸機能が落ちてしまうのですが、キズが小さければ、術後の痛みも少なく、呼吸機能の低下も少なくて済みます。

この手術法は、1990年代に入って機器の技術革新により急速に進歩したものです。まだまだ、十数年の歴史しかありません。従来とはまったく異なったテクニックを必要とするため、内視鏡手術を行うには、たとえキャリアのある医師でも、特別なトレーニングが必要になります。最近、報道されている事故の多くは、このトレーニングが不足していたのが原因だと考えられます。
こうした事態を重く受け止め、日本内視鏡外科学会では、医師の技術を審査して認定する制度を開始しました。泌尿器科、産婦人科から始まり、消化器・一般外科、呼吸器外科、整形外科の五領域について委員会が審査を行っていく予定です。
制度が始まったばかりですし、厳しい基準を設けたため、当面の認定数は少ないと思いますが、今後は認定医が手術に立ち会うことが望ましいでしょう。

内視鏡手術を数多くやっている病院を選んだ方が安心です。内視鏡手術全体で年間50例、気胸に限って言えば年間20例くらいが、ひとつの目安になると思います。ご自身の体のことですから、かかった病院には「内視鏡手術をどのくらいやっていますか」と、はっきりお聞きになるのがいいと思います。
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