ほっとひと息 健康らんど
Vol.47 麻疹(はしか)
1.麻疹とは
春~初夏にかけて多い感染症の一つに麻疹(はしか)があります。感染力が強く、合併症により重症化することもあり注意が必要ですが、予防接種による有効性が明らかで、高い割合で予防することができる疾患となっています。麻疹について説明します。
【感染経路】
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空気感染
●
飛沫感染
●
接触感染
【周囲への感染期間】
●
発疹が出現する3~5日前から発疹出現後4~5日目位迄
【症状】
①
潜伏期・・・10~12日
体内でウイルスが増殖し始め、全身に広がる期間
無症状
②
前駆期(カタル期)・・・4~5日
周囲への感染力が最も強い期間
38.0℃前後の発熱・咳・鼻水・目の充血・目やに・倦怠感が出現し増強する
乳幼児の場合は、下痢・腹痛を伴うことが多い
口腔内粘膜に白色の小斑点(コプリック斑)が出現
(発疹出現2日前~発疹出現後2日目位迄)
③
発疹期・・・3~5日
カタル期の発熱が1℃程度一時的に解熱した後、高熱と共に発疹が出始め、
全身へ広がる
発疹が隆起し融合する
④
回復期・・・6~7日
発疹期の発熱が解熱し、発疹は色素沈着を残し消退、全身状態が回復する
【修飾麻疹】
免疫が不充分な人が麻疹ウイルスに感染した場合、典型的な症状ではなく軽症の症状が出現することがある
●潜伏期延長・・・14~20日
●前駆期の症状が軽く、コプリック斑は出現しないことが多い
●発疹の出現は急速だが、全身には出ず融合しない
●合併症がなく、経過も短い
※感染力は弱いが、周囲への感染源になるため注意が必要
【検査・診断】
●
麻疹特有の症状と、過去に麻疹に罹ったことがないこと、麻疹ワクチン未接種であることを確認した上で、麻疹ウイルス抗体を検査する
【合併症】
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肺炎(ウイルス性・細菌性 等)
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中耳炎
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急性喉頭炎
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心筋炎
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脳炎 等
【治療】
●
症状を和らげる対処療法
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細菌感染を合併した場合は、抗菌剤を使用する場合もある
※麻疹の治療薬はない
【日常生活で注意すること】
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回復迄には日数がかかり、体力を消耗するため、できるだけ安静とする
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喉にやさしく、消化の良い食事を摂取する
うどん・プリン・ゼリー・スープ 等
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少量ずつ頻回に水分を摂取する
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体温に応じ衣服を調節し、発汗時は身体を拭き更衣する
●
高熱時は体力を消耗するため、入浴は避け、身体を拭いて清潔を保つ
【登校・出社】
●
学校保健安全法では、解熱した後、3日経過する迄は出席停止となる
周囲への感染期間(上記参照)が目安となるが、医師・学校医・産業医等の指示に従う
麻疹について概要を知ることができました。疑わしい症状が見られた場合は、受診が必要ですね。
麻疹の場合は、受診の際に、他の人へ移してしまう可能性があります。受診する前に医療機関へ電話連絡し、状態を伝え、受診について指示を仰ぐ必要があります。その指示に従い受診するようにお願い致します。
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