歯を健康に保つために

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歯を健康に保つために

こんにちは、セコムの武石(たけいし)です。

歯の健康を保つことが生活の質を向上させます。食事は生命の源。
年齢を重ねても食事をおいしく食べ続けることは、生きる力に直結しています。

咀嚼(そしゃく)や嚥下(えんげ)など、食べるために必要な機能はさまざまですが、なかでも重要な役割を果たしているのが「歯」です。

「足腰を鍛えなさい」とよく言いますが、それと同じくらい歯を保つことも大切。
運動習慣と同じように、歯のメンテナンスも習慣づけたいものです。

今回のテーマは「歯の健康」。
要介護の場合、歯の健康を保つにもサポートが必要です。
歯のチェックやメンテナンスのポイントをまとめます。

● 在宅介護であと回しにされがちな「歯の健康」
「8020運動」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。
厚生労働省と日本歯科医師学会が提唱する「80歳になっても20本以上自分の歯を保とう」という啓発活動です。

人間には28本(親知らずを除く)の歯があります。
「8020運動」は、20本以上自分の歯があればほとんどの食べ物をしっかり噛めるということに由来するそうです。

言い換えれば、自分の歯が少なければ食べることに支障があるということ。

<歯が少ないことでの悪循環>
・歯が少なく噛みにくい
・硬いものが食べにくい
・噛む力が低下する
・噛む回数が減り、唾液の分泌が低下する
・食欲が減退傾向になる
・低栄養状態に陥る
・筋力も低下する

噛むことができなれければ悪循環に陥りかねないのです。
実際、残存歯19本以下でフレイルや認知症リスクが高まることを示す統計もあります。

歯の健康を保つことは、在宅介護生活の質にかかわる大事なこと。
しかし要介護状態になって通院が困難になると、デンタルケアや口腔(こうくう)内のチェックがあと回しになってしまうことが少なくありません。

歯は一度失われたらそれまでです。
もし残っている歯が19本以下だとしても、それ以上失わないための努力は必要。
1本でも多く自分の歯を保つ意識を持ち、きちんとメンテナンスすることに意義があります。
1本の自分の歯が入歯の安定にも影響してきます。
口腔(こうくう)内を良い状態に整え、歯を大切にすることは、今後の食生活にも健康状態にも大いに影響することなのです。


● 高齢者の歯に多いトラブル
年齢を重ねるほど筋肉が衰えるように、口腔(こうくう)内にも少しずつ変化が起こります。
歯の健康を長く保つためには、口のなかの状態を把握しておくことが大切です。

<加齢による歯の変化>
・歯がもろくなる
歯のエナメル質がすり減ってもろくなります。
ひびが入ったり欠けたりすることが増加。

・歯茎が痩せる(歯肉退縮)
歯茎の位置が下がって歯の根元が露出したり、歯間の隙間が広がったりします。
歯茎が歯を支えきれず、グラグラすることも。

・歯周病になりやすくなる
歯茎が痩せると歯と歯茎のあいだに隙間ができるため、汚れがたまりやすくなります。
細菌が繁殖して炎症を起こした状態が歯周病です。
歯周病により歯肉退縮も進行します。

・虫歯になりやすくなる
歯のエナメル質がすり減ると、酸に侵食されやすくなるために虫歯のリスクが高まります。
また、歯肉退縮で露出した歯の根元には歯垢や歯石が付着しやすいです。
高齢者の虫歯は、歯の根元にできることが多くなっています。

要介護の方は、ご自身で歯磨きをするだけでは行き届かないことが少なくありません。
すべて介助するのはADL(日常生活動作)を維持する意味で良くありませんが、最後は介護する方がしっかり仕上げをしたいもの。

口のなかや歯に痛みはないか、欠けた歯や歯茎の腫れはないかなどもよく見ておきましょう。
今の歯の状態としっかり向き合って、1本でも多く歯を保つ意識を持つことが肝心です。


● 在宅介護でも「かかりつけ歯科医」を持ちましょう
歯や口のなかの健康状態を保つには、定期的に歯科医を受診することが欠かせません。
けれども「歯医者は歯が痛くなってからいく場所」という考え方が日本では多いもの。
年齢を重ねるほど歯のトラブルが増えることを考えれば、痛みが生じてからでは遅いのです。
何も自覚症状がなくても、年に数回は歯科医でチェックしてもらうことを習慣づけてください。
安心して任せられるかかりつけの歯科医を見つけておきたいですね。

身体の状態によっては通院が難しい場合もあると思います。
ケアマネジャーに相談すれば、歯科医の訪問診療を受けることも可能です。
在宅介護で寝たきり状態の方でも、しっかり歯のメンテナンスや治療をしてもらうことができます。

歯や口のなかの状態が改善されると、噛めなかったものが噛めるようになることも少なくありません。
食生活が改善されれば、体力や気力も充実してくるはずです。

歯のメンテナンスは、誰にもあてはまるもの。
介護する方も今のうちから歯のメンテナンスを怠らないようにしましょう。
痛みがないと歯科は敬遠しがちですが、「予防のために歯科にかかる時代」です。
元気なときから歯の定期健診を習慣化しておけば、「8020」はきっと実現するでしょう。

「要介護にならず、最後までいきいき暮らしたい」
「最後まで好きなものを食べたい、食事を楽しみたい」

誰もが思うシニアライフの理想をかなえるなら、まずは歯の健康に対する意識を高めること。
老いは避けられないものですが、なんでもおいしく食べられることは「食べる楽しみ」を持ちながら、自分らしく生きていくことにつながると思います。

歯はまさに「元気の素」なのです。


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なるべく早めに口のなかをきれいにすることが大切です。

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