ほっとひと息 健康らんど
Vol.24 子供の紫外線対策
紫外線対策
今日、一緒に勉強してくれるのは8ヶ月の女の子、ミサキちゃんのママです。
今、悩んでいる事があると聞きましたがどのような事ですか?
よろしくお願いします。
先日、日光浴はあまり良くないとTVの子育て番組で見ました。しかし、祖母は日光浴をしないと病気になると勧めるのですが、大丈夫でしょうか?
そうですね、心配ですよね。
では、まず最初に日光浴が良くないと言われるようになった原因の『紫外線の害』について説明しますね。
<紫外線の影響>
紫外線は皮膚の老化を早め、発癌に関係すると言われています。昔に比べ、有害な紫外線が増えたせいです。
理由としては、環境汚染やフロンガスの影響でオゾン層に穴が開き、身体に有害な紫外線が地表にまで達するようになったからです。
①
皮膚の老化(シミ、シワ、そばかすなど)
②
免疫力の低下(風邪をひきやすくなる)
③
皮膚癌の発症
④
眼の炎症(1~2%の紫外線が水晶体を通過して眼底(網膜)まで達する)
<紫外線量が増える条件>
①
紫外線の多い季節4~8月。
②
一日で多い時間帯は、午前9時(真昼の約2倍)頃と午後2~3時頃。
③
薄い雲では紫外線の80%以上が透過するので、曇りでも油断は出来ない。
④
砂浜やコンクリート、水面や雪面(特に春)では紫外線が反射する。
⑤
海抜の高い土地。(大気が薄いとより強い紫外線が皮膚にあたる為)
⑥
南に行く程強い。(低緯度地域)
最近育児書や母子手帳からは、日光浴を勧める記載がなくなりました。日光浴を勧めていたのは、紫外線がカルシウムの体内吸収を促進するビタミンDを増やす働きがあり、ビタミンD不足で起こる『くる病』を防ぐ目的があったからです。しかし、最近では食生活が豊かになり、日光浴をしなくても食事でビタミンDが摂取出来るようになりました。
それと、近年では紫外線の害について知れ渡るようになってきたこともあり、率先して勧めなくなったのです。
昔は良いと思われていたものが、今では免疫機能を低下させる原因になるのですね。
では、あまり外に出て遊ばない方が良いのでしょうか?
いえ、子供を外で遊ばせないのは不健康ですので、紫外線対策を充分に行なってから遊ばせるようにすれば良いと思います。
<子供の紫外線対策>
なるべく直射日光を浴びないようにする為に、以下の事に注意して下さい。
①
露出している肌には日焼け止めクリームなどを塗りましょう。最近では子供用の日焼け止め等もありますので、工夫しながら使用して下さい。
②
帽子を必ずかぶりましょう。出来ればツバのある帽子が良いです。
③
衣類もなるべく、UVカットのシャツなどを着せるようにしましょう。
④
海水浴やスキー、薄着で出かける夏の遊園地等は特に注意し、日焼け止めを塗るようにしましょう。
子供の頃に日焼けをし過ぎると、大人になって皮膚癌になりやすいと聞きましたが、子供の頃の日焼けが、何故癌につながるのですか?
子供の頃は細胞分裂が大変活発ですが、その頃に紫外線を浴び過ぎると遺伝子に沢山傷が出来てしまい、それを治す間のないままに、どんどん細胞分裂が行われる為に遺伝子に間違いが起き、突然変異する危険があるからです。
子供は紫外線を浴びる量が多いという事ですか?
そうです。子供の皮膚、特に乳幼児の皮膚は未発達で薄く、傷つきやすいのです。
そのうえ、子供は小児期に成人の3倍の紫外線を浴び、また小児期は紫外線に対して過敏である事が分かっています。
ですので、子供のうちから紫外線に対する予防が必要なのです。
(一生の間に浴びる紫外線の半分を、18歳までに浴びると言われている)
先程、教えて頂いた、紫外線の影響の中で眼の病気というのがありましたが、具体的にはどのような病気が起きるか教えて下さい。
ゴーグルをつけずにスキーを行った時に起きる『雪眼』と言うものがあります。
紫外線により角膜に障害を起こした事が原因で起きる紫外線角膜炎です。
他にも将来的に翼状片と呼ばれる視力障害が起きる疾患や白内障、加齢黄斑変性症などの網膜の病変があります。
昔は太陽を沢山浴びた方が丈夫になると言われていましたが、今は安易に日光浴は出来ないですね。
そうですね。
だからといって、部屋の中にずっといても健全ではないですよね。
正しい方法で紫外線予防をすれば戸外で遊ぶのは怖い事ではありません。
あまり神経質にはならずに、しかし紫外線予防だけは忘れずにして下さい。
あと、紫外対策は夏だけ行えば大丈夫と言うわけではありません。
冬の紫外線対策も忘れずに行いましょう。
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