健康予防医療コラム ~その他~

疲れる心が生み出すもの

~尊重と助け合いでお互いの疲れを最小限に~

 仕事の終わりに交わされる「お疲れ様でした」という言葉を聞くと、「あー今日もやっと仕事が終わったな」とホッとした気分になる人は多いでしょう。私もそうです。ところが同じ「疲れ」という言葉でも、「あなたと話していると疲れるよ」と言われると、なんだか嫌な気分になります。精一杯仕事をした「疲れ」と、相手の態度にイライラや不満を持っているときの感じとしての「疲れ」は随分違います。どちらも「疲れ」なのですが、気分としては正反対ですね。
 休日の過ごし方もいろいろありますが、大きく「インドア派」「アウトドア派」にわけられるかもしれません。インドア派の人は、家で読書したり、DVD鑑賞したり、音楽を聴いて過ごします。休みの日こそゆったりと身体を休めながら、静かに過ごすことに喜びを見出すタイプです。アウトドア派の人は、休みにも関わらず朝早くから起きて海へ山へと時間をかけて移動し、スポーツやハイキング、イベントでの活動などに喜びを見出します。インドアの人からすると、「休みの日なのにわざわざ疲れる活動しなくてもいいのに」と感じるそうですが、アウトドアの人は、「休みの日だからこそ、日常生活ではできない身体を使った活動や、普段行けない場所に行ってみる事が楽しい」といいます。人生の中で、何に喜びを見出すか、何に価値を見出すかはもちろん自由です。色々な生き方があって、そしていろいろな人がいるから世の中おもしろいのです。ここで、そのインドアとアウトドアの人の「疲れ」に対する感じ方で見直してみると、面白いことがわかります。インドアの人は「人ごみの中に行くと疲れる」「一日中動き続けると疲れる」といいます。アウトドアの人は、「家にじっとしていると疲れが取れない」「家の中だと気持ちがドヨンとしてきて疲れる」などといいます。どちらも疲れについて語っていますが、どうやら正反対な状況に「疲れ」の感覚を感じているようです。自分の苦手とする環境や、活動には「疲れる」のかもしれません。
  
 「お疲れ様!」というときのような心地よい疲れを大切にして、自分に合わない環境や活動での疲れを少なくするような工夫が必要なのかもしれません。職場でも家庭でも「納得しないことをさせられている時」「嫌いな環境に置かれている時」は疲れるのです。嫌でもやらなければならない作業は疲れてもする必要はあります。しかし、そこに何人かがいるのなら、その作業を得意とする人や好きな人にやってもらって、自分はその人が苦手とするところを代わりにやってあげるようにするとお互いに疲れが少なくてすみそうです。そのためには、お互いの個性や価値観を尊重して、色々なタイプの人との関わりがある方がうまくいきます。
 職場でも家庭でも、改めて見回してみてください。いろいろな個性と価値観を持った人がいると思いませんか?兄弟でさえ、夫婦でさえ、かなり違います。その違いがジグソーパズルのピースのようにガッチリと噛み合った時、お互いを尊重した関係性が生まれます。尊重と助け合いでお互いの疲れを最小限にして、「今日も一日お疲れ様でした」と笑顔で一日を終われるような関係性だとしたら、疲れも吹き飛び、充実した気分で毎日を過ごせそうですね。
  

監修:大多和 二郎 先生
2017年09月01日

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