健康予防医療コラム ~その他~

伝わるこころ

~うまくいっている姿を描いて伝える~

 あなたは自分の気持ちが相手に伝わらずに悲しい思いしたことがありませんか? 口を酸っぱくして言ってもなかなか言うことを聞かない相手にもどかしさ感じたことがありませんか?
 以心伝心、テレパシーのように思っていることがそのまま伝わればこんなに気持ちよく、便利な事はありません。しかし残念ながら普通の人はそんな特殊な能力を持っていません。私たちは、会話によって相手に思いや情報や指示を伝えるしか術を持っていません。会話はキャッチボールですから、送り手と受け手の掛合いで進んでいきます。取りにくいボールを投げるとどんなに相手ががんばってもキャッチすることができません。ですから、相手の受け取りやすいボールとしてメッセージを伝えること大切です。英語で「わかった」と言う事をI see(=見える)といいますね。心が描けないことは理解できません。抽象的でなくて「描けるような」言葉こそが心に届きます。
 
 実は、「つい受け取ってしまうボール」があります。お気づきでしょうか?
 「そんなに汚い手でおにぎりを食べるとバイ菌がお腹に入ってお腹が痛くなって病気になっちゃうよ」と言われた子供は何を描くでしょうか。お腹を押さえながら「痛いよぉ、苦しいよぉ…」という場面を浮かべているでしょう。同じ意味なのですが、「手をきれいに洗っておにぎりを食べるととっても気持ちよく、おいしく食べられるよ」という言葉を聞くと、子供は何を心に描くでしょうか。きっと、美味しそうにおにぎりを食べている嬉しそうな自分を浮かべているでしょう。そうです。伝えたい意図とは別に、良くも悪くもそこに「描かれた」姿が相手の心にメッセージとして入ってしまうことが多いのです。
 ですから、相手に注意を促したい時、相手に指示をするときなどにうまくいっている姿を描いて伝えていくことで、心に無理なく確実にボールを受け取ってもらうことができます。
 ちょっとした会話のコツです。ぜひ、今日からお試しください。きっと、相手の笑顔に手ごたえを感じられるのではないかと思います。
  

監修:大多和 二郎 先生
掲載日:2016年03月01日

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