健康予防医療コラム ~その他~
期待感と不安
最近、期待感に胸を膨らませたことがありますか?わくわくするような期待感はとても素敵な感情です。しかし思ったような結果が得られなかった時のことを考えると不安になります。
「君に期待してるよ」という期待感、何かいいことがありそう、うまくいきそう、という自分の中にある期待感はどちらも未来に対する希望を感じています。未来に何が起こるかわかりません。今やることをやっていれば当然の結果がやってくるという人もいます。確かに大体において、物事はやっただけの成果がやってきます。しかし、思わぬアクシデントや予想外の登場人物によって思わぬ展開になることも多々あります。未来に起こることを100パーセント言い当てることはできません。そしてもう一つ、人間の心は対処できるという感覚が持てないと不安を感じます。この山を登ろうといわれた時、体力に自信がある人は楽しみになるかもしれませんが、体力に自信がない人は不安になります。達成できる感じがしないからです。心理学の研究で、成功する確率と失敗する確率が50パーセントずつの時に最もやる気が出て期待感が高まるという研究があります。成功するのも失敗するのも自分次第ということでモチベーションが高まるわけです。ところが失敗する確率が多くなると不安になってやる気がなくなっていきます。逆に成功する確率が高過ぎても、うまくいって当たり前ですのでやる気は下がってしまいます。
仕事や日常の人間関係や家庭生活では、うっかりすると同じようなことを同じような態度でこなしていく生活になりがちです。すると、「こうすればこうなるに決まっている」と思い込むような態度になりがちです。「そのうち」「いつか」と言い訳しながら日々を過ごしていると、生活の時間の流れは平坦になって、「期待感」モチベーションはどこかにいってしまいます。期待感が持てないというよりは、自分で期待感を手放してしまっているのかもしれませんね。
毎日が一か八かでは不安定すぎますが、未体験のことに触れてみて、または先延ばしにしていたことに挑戦してみて、「ちょっと先がわからない感じ」を楽しみにできたとき、そのときの期待と不安を丸ごと自分の体験として感じられることが、新鮮なこころで生きていくコツなのかもしれません。期待感だけではなくて、未来への不安もセットで引き受けることで、未来が面白みのある時間として体験できそうです。
監修:大多和 二郎 先生
掲載日:2015年08月01日