健康予防医療コラム ~その他~

緊張上手?

~今、目の前に危険はありますか?~

 あなたは緊張感をもって生活していますか? 人前で緊張しやすいですか?
 緊張感を持って物事に向き合うことは「真剣に取り組む」という意味では肯定的な意味があります。しかし、慣れない場面で失敗が許されないときなどは、緊張で肩に力が入って動作や話がぎこちなくなってしまうと、コミュニケーションや作業も滞りますので、緊張は厄介者扱いされます。反対に、ホッとしたとき、安心したときには人だけではなく、犬や猫というペットたちも緊張がほぐれて、すやすやと気持ちよさそうに体の力をぬいてゆったりと眠っています。
 そもそも人はなぜ緊張するのでしょうか。人は危険、危機が迫ったとき、恐怖を感じたときに、緊張します。緊張したときには、筋肉に力が入って全身を固めます。歯科治療を受けたことがある人なら経験があると思いますが、ドリルのウィーンという音がすると、体にビクッと力が入りますよね。また、風でドアがバタンと閉まったとき、面接試験で部屋に入った瞬間、プールの冷たい水の中に入った瞬間、人の体は緊張します。それは、身を引き締めて次の展開に対応するための動物としての反応です。ですから本来は危機場面に対応する適応的な心身の反応なのです。しかし、人間は想像力がありますから、不安で悲観的な想像をしてしまったとき、過去の体験を思い出してまた同じようなことがあると思ったときなどには、緊張しつづけてしまうことがあります。緊張がとれずに生活していると肩が凝ったり、腰が痛くなったり、そして眠りに入りにくくなることもあります。
 
 緊張感自体は状況に対応するための自然な反応です。ですから、目の前の危険や危機が去った後リラックスできれば問題ないのです。しかし、緊張が続いてしまう時には緊張感の「リセット」が必要です。動物としての体の反応ですから、体の動きや呼吸という体へのアプローチが最も効果的です。では、やってみましょう。背筋をまっすぐ伸ばしてみてください。下腹に少し力を入れて胸を広げて顔を上げてみましょう。丸まった背を伸ばして胸を開き、お腹を引き締めて体軸を立て、ちょっと肩を持ち上げてストンと落とすことを三回から五回ほど繰り返します。姿勢を整えるだけで緊張感は変わります。そしてゆっくり三回深呼吸しましょう。そして鏡の中の自分に向かって質問しましょう。「今、目の前に危険はありますか?なければ、今やることをやりましょうね。」と微笑みます。ぜひ、今日から仕事や家事の中でお試しください。
  

監修:大多和 二郎 先生
掲載日:2015年05月01日

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