健康予防医療コラム ~その他~
習うより教えろ
パソコンは年々進化を続けて、メモリーの容量もどんどん増え、処理速度もあがっています。情報処理の専門家は「これからは単純な記憶はコンピューターに任せて、人間は考えることをしていくようにすればよい」ということを言います。確かにその通りで、インターネット上にはありとあらゆる情報がありますから、自宅の本棚に百科事典をずらっと並べる必要も無くなり、沢山の書類やビデオをクローゼットに保管する必要も無くなりました。そういう意味では随分便利になったものです。
情報や知識はそれだけでは、ただの知識です。物知りと言われたとしても、ビジネスで成功するかどうかはわかりません。ダンスの映像を何回も見るだけでは踊れるようになりませんし、何度音楽をきいても、それだけでは、演奏できる技術は身につきませんね。「できる」ということになると、「教える-学ぶ」という体験が必要になります。知識が知識としてあるだけでは生きてきません。情報や知識が簡単に手に入る世の中では「知っている」だけではなく、「体得している」「知識を活用できる」ことが重視されるようになるとおもいます。
では、それにはどうしたらいいでしょう。「聞いたことは忘れる。見たことは覚える。やったことはわかる」という老子の言葉を聞いたことはありますか? おそらくあったとしても忘れているでしょう。聞いたことがあってもそれだけだと、時間とともに忘れてしまうと老子も言っていますから。老子は「やったことはわかる」といいます。聞いただけだと忘れてしまうことでも、「やったこと」つまり体験することで「わかる」というのです。学校の先生は沢山のことを知っていて、わかっています。なぜでしょう。それはいつも教えて体験を繰り返しているからです。ダンススクールの先生も料理学校の先生も教えることで日々「やったこと」の積み重ねをしています。教えることで体験できますから、理解も技能も深まっていくのです。
そう考えていくと、実は教えている先生が一番得をしているのかもしれません。だからといってすぐに誰でも先生になることはできませんよね。そこで提案です。何か知ったことを忘れたくなかったら、その感動を丁寧に人に伝えてみるのです。人にわかりやすく伝えることができて、「なるほど!すごいね」と相手と感動を共有できたとき、その知識はあなたのものです。
監修:大多和 二郎 先生
掲載日:2014年08月01日