健康予防医療コラム ~その他~
あこがれ
オリンピックや音楽コンクールやびっくり人間特集などのテレビ番組を見ていて「すごいなぁ…、自分には絶対出来ないな」と感じることがあります。
スポーツ、楽器の演奏や記憶力、ダンスや武道などの道を究めた人はその演技や競技を見ている人に感動を与え、人間の可能性を感じさせてくれます。「よし、自分もオリンピックに出て金メダルを取るぞ!」と子供の時にオリンピックを見て決心し、日々練習に励み、本当にそれを実現してしまう人もいます。すばらしいと思います。
しかし、多くの人はアスリートの競技や練習風景に対して「すごいな…」と思いつつも、「自分とは元々違う人種なんだよな」「自分はあんな厳しい練習には耐えられそうもないな…」と思っているようです。私もその一人です。自分が同じような成果をあげられるかというと、難しいかもしれませんが、そこから「人間の無限の可能性」を感じることはできます。世界新記録はどんどん更新されていきますし、今までになかった演奏、技、パフォーマンスなどが日々生まれていると言うことは、人間は常に進化を続けているのだと思います。
オリンピックとはいわなくても、いままで片付けものが苦手だった人が、少しずつ片付けに挑戦するとか、料理に自信を持てなかった人が料理教室に参加してみることくらいはやってみてもよいのではないでしょうか。生活の中で、「自分の記録更新」を試みるのは不可能ではありません。
私の知人に「大食い選手権」の番組が大好きな人がいます。その人はやせていて小食です。
「どうして好きなの?」とたずねると、「自分には絶対出来ない食べっぷりを見ていてわくわくする」というのです。「あこがれなんですよね…」といいます。ちなみにその人は、筋力や体力自慢の番組も好きです。自分にはできないけれど、「こういう人もいるんだ。がんばるぞ!」と、自分には出来ないけれど、そこから勇気と明日への力をもらうということは、「あこがれ」が人を成長させる大きなきっかけとなるということを感じさせてくれます。
今日から自分にとっての「あこがれ」を手帳にメモしたり、写真をもって歩いて、時々仕事や勉強の間に眺めてみてはどうでしょう。
「よし、やるぞ!」と勇気がわいてくるかもしれませんね。少し笑顔がでてきて、「じゃ、一緒に考えてくれる?」と顔を上げたときに、「一緒に考えよう」と、今後の対策について丁寧に話をしていくとよいと思います。
相手との関係やその人の性格にもよりますが、強く背中をたたいて応援するのもいいのですが、静かな寄り添いも心に温かく響くことばになります。
監修:大多和 二郎 先生
掲載日:2013年06月01日