健康予防医療コラム ~その他~
励ますことば、励まされることば
友人や家族が精神的にきつい状態にあったり、失敗やミスでがっくりしているときに、励ましのことばをかけますが、どのような励ましのことばが励まされるかについて考えたことがある人は、意外と少ないようです。
実際に、「失敗をして不安だったので家族に相談したら、説教された」「友達に落ちこんでいるところに、さらに叱られた」というひとに、どんなことばをかけられたのか聞いてみると「俺の息子だったらこんなことでくよくよするな」「そんなこと信じちゃいけないよ。相手はずるい人だから…」等という答えが返ってきます。
おそらく家族や友人はがっかりしている人を目の前にして、「励まし」のことばを書けたのだとおもいます。
しかし、かけられた人は「説教された」「しかられた」「自信をなくした」「余計怖くなった」という気持ちになってしまっています。そのような経験をした人は多いとおもいますが、いかがでしょうか。
目の前に悩んでいる人がいるとアドバイスや元気づけようと思って「予想されるさらなる危機」「こうすれば良かったのではないかという助言」「切り替えを示唆することば」「相手や組織を否定することば」「気にしないようにと強く言うことば」などがかけられます。しかし、それを言われた方は、更に不安になったり、自分よりうまく対応できる人がいると聞いてがっかりしたり、切り替えられない自分を見せつけられたりという気持ちになります。
何が問題なのでしょうか? そうです。悪気はないのですが、励ます人の発言は、「これじゃダメだよ」「今のままではもっとひどくなるよ」という否定絵的、悲観的なメッセージになりがちなのです。
では、どういうことばが「励まされることば」なのでしょうか。
自信をなくしている人は、自信を持つことが大切です。ですから、「私はあなたの良さを知っているよ」「つらいだろうけど、いつも味方だよ」「今後のことにつて、一緒に考えていこう」という、相手の人格を認めたり、その人を応援する短いことばで十分なのです。その上で、相手が少し笑顔がでてきて、「じゃ、一緒に考えてくれる?」と顔を上げたときに、「一緒に考えよう」と、今後の対策について丁寧に話をしていくとよいと思います。
相手との関係やその人の性格にもよりますが、強く背中をたたいて応援するのもいいのですが、静かな寄り添いも心に温かく響くことばになります。
監修:大多和 二郎 先生
掲載日:2013年03月01日