健康予防医療コラム ~その他~
有り難いのは当たり前?
「ありがとうございます」というのは、日常買い物していると毎日聞いている言葉ですね。あまりにも日常でよく聞くので、普通になっているようですが、よくよく考えてみると、「有り難うございます」と書くのですよね。
「有り難い」と言うことは、「めったにない」という言う意味もありますから、滅多にないことを毎日のように聞いているという不思議なことが起こっているのです。
日常的ではあっても、それを「有り難い」といって感謝するというのはとても素敵なことですね。誰かに手伝ってもらったり、助言してもらったり、または商品を購入していただいたりというときに、1日何十人、時には何百人にも「有り難い」と言うことで感謝の気持ちを表しています。
もちろん、人によってはマニュアル的に「ありがとうございます」と言っている人もいるのかもしれませんが、もしこころを込めて「有り難うございます」といってたくさんの人に感謝できているとしたら、その感謝している人自身が幸せになれるような気がします。なぜなら、一つ一つの出会いや、他人からの行為や言葉に対して「有り難い」という気持ちを日々感じられるということは、沢山の人に支えられて生きているという実感をいつも感じていられるからです。そんなことをふと思いました。
ベンチに座り、一人うつむいて考え事をしている人がいました。たまたま通りかかった友人が「どうしたの?元気なさそうだけど…」と声をかけました。声をかけられたその人は、その言葉を聞いて大粒の涙をぼろぼろ流しています。友人は「やっぱり何かあったんだね…話してごらん」と横に腰掛けてにっこりしながら静かに語ります。友人の横でひとしきり泣いていた人は、しばらくして顔を上げて友人に「ありがとう。なんだかスッキリしちゃった」と笑顔でいいました。「まだ何も話していないじゃん(笑)」と友人は笑いながらいいます。「十分聞いてくれたよ。黙って寄り添ってくれたじゃない。その温かい気持ちが伝わって来て落ち着いたよ」と語りました。日常、自分は当たり前だと思っていることが、誰かにとって「有り難い」と感じる姿に、自然な人と人との支え合いを感じました。「有り難い」ことが「あたりまえ」になるとみんなが幸せになってストレスや不安も少ない社会になりそうですね。
監修:大多和 二郎 先生
掲載日:2012年05月01日