健康予防医療コラム ~その他~

引っ越し

未来に向かって深呼吸

春は引っ越しの季節です。2月から3月には新しい職場、学校に移るために住み慣れた土地を離れて新しい土地へと人が移動します。引っ越しの形も昔と今ではずいぶん違ってきました。昭和の頃は、友人や同僚が集まってトラックを借りて引っ越しを行うことも多く、知人の引っ越しとなると「手伝いますよ」ということで、わいわいがやがや梱包、運搬をして、その夜は段ボールがまだいくつも積まれている部屋で夕食を一緒にとって解散するという感じでした。今では、引っ越し業者さんが梱包から荷ほどき、掃除まですべてやってくれるパックがあり、知人の手伝いはおろか、引っ越しする本人も全く荷物を運ばないで、配置の指示だけですむという引っ越しが多くなってきました。素人が行うと、壁を傷つけたり、荷物が壊れたりしたこともありますが、プロのノウハウで運んでくださるので早いだけではなく、とても安全に確実に作業が進行していきます。素人かプロかの違いはあるものの、人が荷物を運ぶと言うことは同じです。お金を払っているとはいえ、汗をかきながら重い荷物を運んでくださる姿には頭が下がります。
 
 引っ越しの準備で荷物をまとめていると、昔の懐かしい品に出会い、しばし眺めてしまうことがありますね。「こんな写真が出てきたよ」「○○さんからもらったプレゼントだ」という具合にタイムスリップの感覚で手が止まります。
 同時に、思い切って不要なものを処分する必要にも迫られます。たくさん持って行っても収納ができない場合もありますし、家族から「使わないなら、リサイクルか処分するかにして」と言われてしまい、泣く泣く処分することもあります。そして、住み慣れた我が家から、慣れない土地、住まい、近隣の空気と出会ってなじんでいくことが必要になります。つまり、引っ越しは、過去と現在と未来、そして新旧の関係性、土地の持つ空気との入れ替わりなど、たくさんの変化が起こる人生における境目の大イベントといえるかもしれません。
 
 
 新しい土地でどんな風が吹くのでしょう。その土地の人の言葉はどんなリズムでしょう。そして家の中の空気はどんな色でしょうか。どうせ変化を迎えるのなら、その変化を楽しんで、未来に向かって深呼吸していきましょう。変化をストレスとするのか、楽しみとするのかは呼吸するときの自分の心が決めます。新しい土地での新しい出会いを楽しんでフレッシュな気分を味わってみてください。
 

監修:大多和 二郎 先生
掲載日:2012年03月01日

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