健康予防医療コラム ~その他~

雨の日に思うこと

視点を変えて「意義ある経験」に

 空からパラパラと降ってくる雨、ザーッと降ってくる夕立、しとしとと降り続く五月雨… 雨にもいろいろあります。南の島では、晴天にぽっかりと浮かんだ雲がスコールとともに通りすぎることがあります。雲が通り過ぎるとまた晴天がやってきて、虹が鮮やかに輝いているなどという風景は、自然のつくる芸術ですね。
 
 冬の関東平野はカラカラの晴天が続き、空気も乾燥しています。「この間雨が降ったのはいつだったかな?」と思ってしまうほど、何週間も雨が降らないことがあります。傘を差して鞄やズボンの裾がぬれるのを気にしながら歩くことを思うと雨もやっかいですが、乾燥した空気をしっとりさせ、ほこりっぽい町をきれいにしてくれる雨に感謝です。「水に流す」という表現がありますが、空から降る雨が街の雰囲気をリセットしてくれてホコリを流して、空気と町並みと草木をしっとりと美しくしてくれ、天然のシャワーで、街はまたお日様の光で輝きを取り戻すことができます。そう考えて、冬の冷たい雨の中を歩いていると、ただ寒いだけではなく、ちょっとさわやかな気分が味わえます。
 
 人の感じ方はそのときの考え方でかなり変わってきます。「ズボンの裾をぬらしてやっかいな雨も、天然のシャワーとして街をリセットしてくれる」というのと同じように、「まったくやっかいだな」と感じたとき、その厄介もののおかげで得ているものに注意を向けてみましょう。ちょっと練習するとできるようになります。たとえば、駅の階段で転んでしまったとき、「大丈夫ですか?」と何人かの人に助け起こされたとします。「恥ずかしい」と感じるのは仕方ありませんが、ちょっと視点を変えてみると「見ず知らずの人でもこんなに心配して助けてくれるんだな」と親切を実感できる機会になるかもしれません。
 
 失敗や、恥ずかしいこと、やっかいなことに直面したとき、無理に肯定的に考えようとすることはありませんが、失敗や恥ずかしい事態が自分にくれた学びの機会を利用していくことで、つらさや恥ずかしさも「意義ある経験」と思えるようになれるかもしれません。その場では思えなくても、一段落したら振り返ってみてはいかがでしょうか。きっと、学びのありがたさが見つかると思います。
 

監修:大多和 二郎 先生
掲載日:2012年03月01日

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