健康予防医療コラム ~その他~
地球の年齢
近年、都心でも温泉施設が多くなってきました。次々とボーリングして温泉が掘り当てられています。先日、ある温泉施設に行ったときのことです。温泉に入りながら壁に書いてある説明書きを読んでいると、「2400万年前の地層から出た温泉…」と書いてありました。「2400万年前?!」と、思わずお湯のにおいをかいでみると、気のせいか古いようなそんな気がしてきました。そして、お風呂に入りつつ、あれこれ考えが浮かんできました。5000年前の日本は縄文時代です。それよりもはるかに古い時代になります。縄文時代が10000年続いた時代だと聞いただけでも、想像の域を超えているのに、2400万年前となると、気が遠くなるような昔です。一方、最近のパソコン、インターネット、携帯電話の進化のスピードは目を見張るものがあります。「十年一昔」と言いますが、確かに10年前の製品は時代遅れのように感じてしまいます。めまぐるしく技術革新が起こっている現代人の生活と、一万年続いた縄文人の生活とでは、どこが違うのでしょうか?
時代がゆっくり動いているときは、親の知恵が子供の生きる上での知恵としてそのまま使えます。狩りのコツや、木の実の採れるところ、土器の作り方など、何世代にもわたって同じ知恵や技術が生きてきます。しかし、現代では、生活環境やライフスタイル、日々の仕事の仕方や意識や考え方まで急速に変化しています。ですから、「お父さんの考え方は古い」と子供が親に言うことになり、たった1世代でさえ、経験や知恵にズレが出てきてしまっています。
人間の身体の仕組みは1000年2000年でそんなに違ってはいないのに、生活スタイルがかわり過ぎているのかもしれません。そんなことを考えつつ、あらためて温泉のぬくもりやにおいをかいでのんびりしていると、「そんなに焦らなくてもいいかっ」という気持ちになってきました。
パソコンの使い方を若い社員におそるおそる教えてもらいつつ、「自分が時代について行けていない…」と負い目に感じていた人は、「時代の変化が人間には早すぎるのかも?」と視点を変えてみてはどうでしょう。とにかくのんびりお風呂につかってぼーっとすることをおすすめします。疲れたら、なにも身につけていない裸の自分を癒してあげましょう。技術革新で便利なものが増えたら、それに振り回されるのではなく、上手に道具として使って、余った時間でリラックスして、人間としての自分を大切にしていきましょう。
監修:大多和 二郎 先生
掲載日:2011年09月01日