健康予防医療コラム ~その他~

HANABI

瞬間だからこそ美しい

 夏の訪れと共に「花火大会」が各地で開催されます。日が暮れてあたりが暗くなりかけたころ始まる花火大会では、夜空を彩る大輪の花がいくつも咲き乱れ、その鮮やかな光と夜風に響き渡る音観客の歓声…それぞれ、数秒から数十秒の光の芸術を多くの人が楽しみます。
 大きな大会では、何十万人という人がその約1時間程度の光の芸術のために集います。お弁当を食べたり、ビールを飲んだり、友達と、家族と、職場の仲間とそのひとときを楽しみます。水辺で開催されることが多く、広い空と川辺、海辺の広い土地に一夜の大イベントが繰り広げられます。
 
 そんな日本人が大好きな花火ですが、花火のどこがそんなに魅力なのでしょうか? 例えば、道端に花を見つけた場合、「綺麗だな…」と見つめ続けることができます。綺麗な夕日だって、数分間はその美しい光を眺めていることができます。しかし、光の芸術の花火は、火薬の発火の美しさを眺めるものですから、刻々とその形や色が変わり、十数秒で消えてしまいます。
 もしかしたら、その艶やかさとあいまって、儚さが日本人の心の何かを刺激するのかもしれません。「ほらほら、今すごく綺麗だったよ!こっち、こっち!」というように、お弁当に気を取られていると、花火の一瞬の美しさを見逃してしまうことがあります。
 「花火」をひっくりかえすと「火花」になります。「火花を散らす」となると、ちょっと物騒ですが、これも瞬間のぶつかり合いですね。よく考えると「火花」をアートにしたのが「花火」ですよね。火薬を何も加工しなければ、ただの爆発で、火花が散るだけのものを、きちんと職人さんが加工して、1つの芸術に仕上げているのだと考えると、また花火の趣もひとしおをいう感じがします。
 
 夜空に一瞬艶やかな華が咲き、そして次の瞬間には消えていく…その美しさは花火だけではありません。久しぶりに出会った時に見せてくれる友人の笑顔。優勝した瞬間の万歳の声。美味しいアイスクリームを一口食べたときの何とも言えない幸せな感じ。その瞬間、瞬間にはじけるような心の動きがあります。
 瞬間の輝きだからこそ新鮮で美しいのだとしたら、今起こっている自分の身の回りの全てのことが瞬間の連続ですから、そんな目でみると、皆輝いて見えるかもしれませんね。今日のあなたの心の空を飾る出来事はなんでしょう?
 

監修:大多和 二郎 先生
掲載日:2011年08月01日

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