健康予防医療コラム ~その他~
安心感のキャッチボール
いつ病気に見舞われるか、災害や事故に遭うかわからない…。テレビのニュースを見ているとふと、そう思うことがあります。そんなとき、うっかりすると心に忍び込んでくるのが、「不安」です。「これからどうなってしまうんだろう」「大変なことが自分の身の回りに起こるのではないだろうか」と思ったらきりがありません。「なんとかなるさ」「その時はそのとき考えればよい」と普段は楽観的に思える人でも、身の回りに事件や事故が続いたり、仕事上で難しい問題にぶつかって、体調を崩したりすると、さすがに不安になります。
「地震がいつ起こるか」「突然事件に巻き込まれないか」と不安になったとき、地震に備えて非常持ち出し袋を用意したり、連絡先を確認するということはできても、地震が起こること自体が不安な人にとっては、それでは不安は解消しないし、突然事件に巻き込まれることを完全に防ぐということも難しいです。性格を変えるとか、考え方を変えるとか、そういうこともできればよいのですが、なかなか自分の心の感じ方や考え方の癖はなおりにくいものです。つまり、自分で不安を解消する努力だけでは限界があると言うことです。
では、どうしたら不安を少なくできるのか?「人から安心感をもらう」という方法があります。不安になっている自分の心を誰かに優しく受け止めてもらうという方法です。あまりにも単純なようですが、これは本当に効果的です。
「弱音を吐きたくない」「自分のことは自分で考えたい」「話したって事実は変わらないじゃないか」と思って、不安を人に語ったことがない人がいたら、是非試していただきたいのが、「ただ、聞いてもらう」と言うことです。解決のアドバイスを求めるのではなく、対策を協議するのではなく、ただ、ただ、自分の不安な心情を「そうだったのか、それは不安になるね…」と、聞いてもらうのです。具体的な対策やアドバイスがむしろない方がいいかもしれません。
「心を受け止めてもらう」ということは、とても安心感が得られる方法です。
ですから、不安になっている人から話を聞くときには、解決策より、ただただ、聞いてあげてください。しばらく聞いてあげると、だんだん相手は落ち着いてくると思います。落ち着いてきた時にもし、今後のことについて相談されたら一緒に考えていってあげると更によいですね。「心をキャッチ」→「安心感」と思って聞いてあげましょう。または、聞いてもらいましょう。
人と人との関係の中で安心感を与えあえる関係性って素敵ですね。
監修:大多和 二郎 先生
掲載日:2011年08月01日