健康予防医療コラム ~その他~

転機に思うこと

失敗や挫折を転機にするために

 人生には、いろいろな予期せぬ出来事が起こります。事故やトラブル、宝くじに当たる等の予期せぬ出来事による転換期もあります。宝くじに当たるとか、大抜擢されるとか、勲章を受賞するというのは思ってもみない幸せですが、大事故やトラブルはとてもつらい体験ですし、その体験から人生の方向性や人間関係、周りからの評価も大きく変わってしまうことがあります。
 
 ですから転機には、十分自分がしっかりしていないと、周りに流されてしまうことになりますし、人間関係や評価の変化に戸惑ってしまうことにもなります。受賞などのおめでたい転機でもそうです。「ヒット曲がでると親戚が増える」とある歌手が笑いながらテレビ番組で言っていました。普段は連絡してこない友人や親戚、昔の同級生などが連絡してきたり、親しげに手紙をよこしたりして、「親戚が増える」というような現象が起こるそうです。また、周りの態度や世間の人の視線もかわってくるといいます。スポーツの世界でも、国際大会でメダルを取ったりすると、「日本に帰ると世界が変わっていた」というコメントをする選手がいました。
 
 嬉しい転機ばかりではありません。転機の「転」は「転ぶ」と読み取ることもできます。大きな失敗や挫折も転機になります。会社でも個人でも大きなミスをしてしまって社会的に責任を追及され、事業が難しくなったとき、追い込まれて先が見えなくなって絶望する人もいますが、「なんとか、この危機を克服していこう」と立ち上がる人もいます。人は自分の落ち度と向き合うのはつらいものです。しかし、「なぜ失敗したのか」という事実と向き合い、真剣に考えることで、次のステップへのヒントが生まれます。本当につらい思いをすることで、「窮すれば通ず」のたとえもあるように、転機とすることができます。
 悪いときには悪いことが重なるものです。いくつか問題が連続して起こったとき、その機会を「転機」として次に行くためには、ある種の楽観性も必要でしょう。「きっと何とかなる」と思える心も必要です。
 
 「転機かな…」とため息をついたとき、そばにいた友人が笑いながら言いました。「くよくよするなよ。きっと明日はいい天気だよ」と。私は、なんだか吹っ切れた気分になって「そうだね。いい天気ですよね。人生も晴れたり曇ったりですから…」と一緒に笑ってしまいました。
 

監修:大多和 二郎 先生
掲載日:2011年04月04日

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