健康予防医療コラム ~その他~

危機感とあせり

心のバランス感覚をもって、日々の生活を安全に

 「少しは危機感を持ったらどうなんだ!」と上司にしかられると身が引き締まる思いをするのか、それとも焦ってしまうのか・・・、人によって違っているかと思います。仕事をする上で、将来を考えていく上で、漫然と日々を送るのではなく、「このままではいけないぞ」という危機感をもつということは、手を抜かず、改善のポイントを常に意識して、向上していくためには大切なことです。そういう意味での危機感はとても重要ですね。
 
 しかし、「明日地震がきたらどうしよう・・・」、「交通事故にあった らどうしよう」、「将来年金がもらえなかったらどうしよう・・・」、「富士山が噴火したらどうしよう」などと、沢山の危機を予想して不安で仕方がなくなってしまって夜も眠れないというと、危機感がストレスになってしまっています。セキュリティーの仕事をしている人と話しをしたことがあります。その人は「我々の仕事は、少し心配性と言われるくらい、もしかしたらということを考えないと仕事にならないんです(笑)」と話してくれました。確かに、「どうにかなるさ」、「そんな悪い人はいないよ」などと気楽でいたら、防犯や安全管理の計画も甘いものになってしまうかもしれないですね。
 
 危機感というのは、もしかしたら来るかもしれない生活を脅かす危機、事故、ミスなどに対して「安全対策を立てるため」にはとても大切な感覚だと思いますが、危機感の受け止め方によっては、気持ちが不安になりすぎて動けなくなってしまうと言う両面を持っているように思います。ですから、「危機感を持て」というのは、意味のない楽観主義や、きちんと現実をみていない人には必要な助言だと思いますが、危機に押しつぶされてしまいそうな人には、むしろあせらないように「大丈夫」と安心感を持ってもらう言葉が必要でしょう。
 
 未来に希望を持ちながらも、危機感を忘れずに身を引き締め、かといって将来の不安に押しつぶされないような心のバランス感覚というものが精神的なストレスを少なくし、日々の生活の安全を保てる感覚なのでしょうね。
 「このパソコンが急に壊れたらどうしよう・・・」と原稿書きながらふと思ってしまう私も、「バックアップだけはこまめに取って、あとはパソコンを信用しよう」と、何とか「危機感とあせりのバランス」を取るようにしています。
 

監修:大多和 二郎 先生
掲載日:2011年03月01日

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